<インタビュー>Bozaがパナマから鳴らす新時代の音楽、自身のルーツと向き合った『サン・ブラス』

2025年11月24日 / 18:00

 パナマ出身のシンガー/ラッパー=Boza。煮えたぎるストリートの空気と繊細な旋律を共存させる独自のサウンドで注目を集め、2020年には「Hecha Pa’ Mí」がバイラル・ヒット。今年の【ラテン・グラミー賞】では、自身の楽曲「orióN」をエレクトロニック・ミュージックへと昇華したリミックスで<最優秀ラテン・エレクトロニック・ミュージック>にノミネート。伝統と革新の狭間を軽やかに行き来する彼の現在地を象徴する作品となった。そんな彼が、母国の文化・歴史・自身のルーツと改めて向き合い、その旅の終着点として“癒し”というテーマを描いた最新アルバム『サン・ブラス』について語ってくれた。

――まずは、【ラテン・グラミー賞】の<最優秀ラテン・エレクトロニック・ミュージック>部門ノミネートおめでとうございます。この部門は昨年新設されたばかりですが、今ラテン圏ではその人気は高まっているんでしょうか?

エレクトロニック音楽は今や世界的ムーブメントだと思います。大のエレクトロニック好きだし、君が言ったようにこの部門は新しいカテゴリなんだよね。自分の曲がノミネートされるなんて光栄だよ。

今回の「orióN」のリミックスは、もともとアーバンでポップな作品だったものを、Sistekと一緒にエレクトロニックに仕上げた。ずっとやりたかった挑戦でもあったし、“完全にEDMに振り切った”というより、リミックスで新しい息吹を入れたって感覚かな。

結果として新設カテゴリーのタイミングと重なって、すごくいい形で作用した。アカデミーが作品を評価してくれたことには本当に感謝してるし、これで終わりじゃない。まだまだエレクトロニック・ミュージックとのコラボは続けるつもりだよ。

――では次に、パナマの音楽シーンについて教えてください。パナマの音楽が持つ独自性って何だと思いますか?

パナマには、文化としてダンスホールやレゲエ、アフロビートの土台がある。今は多くのアーティストたちが、パナマ独自の言語表現やスタイルを世界に発信しているところなんだ。SNSの時代になって、音楽は国境を越えやすくなった。でもまだ人口も少ないし、ディアスポラも大きくないから、世界に広めていくには努力が必要なんだよね。だから今、パナマ出身アーティストがグローバルに出て、パナマの文化、言葉、リズムを世界に伝えていく役割を担っているんだ。

――グローバルに活動するアーティストが増える中で、パナマの存在感も徐々に大きくなっていますね。

そうだね。SNSのおかげで、アーティストは自分たちの音楽を広げる勇気を持てるようになった。パナマならではの“アンダーなストリート感”と“商業的な流れ”を混ぜることで、音楽が国境を越えていく。パナマの音楽は昔からローカル志向だったけど、今は違う。世界が自分たちのスタイルを受け入れ始めているのを感じるし、それが正しい方向だと思ってる。

――そして最新アルバムのタイトル『サン・ブラス』ですが、これはパナマの諸島がテーマですよね?

そう。サン・ブラスはパナマの先住民地域で、文化やルーツを象徴する場所なんだ。実はパナマ出身なのに、長い間行ったことがなかった。ずっと興味はあったけれど。365もの島があって、そこへ行くこと、そこから受け取る歴史や空気感は、自分にとってルーツとの再接続だった。曲「san blaS」を作った時、「これはアルバムの名前にもなる」と確信した。自分の文化を知り直す旅だったし、行くきっかけにもなったからね。

――アルバムには“癒し”というテーマもあるそうですが、どのように辿り着いたものですか?

このアルバムを作った一年間は、本当にいろんな出来事があった。良いことも悪いこともね。でも人生やキャリアってそういう積み重ね。どんな出来事も、成長や変化につながる。だから最後に必要なのは“癒すこと”なんだ。傷ついた部分でも、成功の余韻でも、それを整理しないと次に進めない。このアルバムは、まさにそのプロセスそのもの。だからテーマは“癒し”なんだ。


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