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音楽活動開始から16年、メジャーデビューから10周年を迎えた2025年いっぱいで、歌唱活動を休止する井上苑子。そんな彼女の休止前最後となる全国ツアー【井上苑子10th Anniversary Tour ~10年前は高校生。大人になったね~】が今秋開催され、そのファイナルとなる特別公演が10月5日(日)東京・品川ステラボールにて行われた。
<「味方でいてあげたい」相思相愛を絵に描いたような光景>
今年3月に【井上苑子10周年はじまるよライブ in shibuya eggman】を開催し、泣いて笑ってあらゆる感情を剥き出しにして歌っている姿が印象的だった井上苑子。7月のベストアルバム『Inoue Sonoko BEST -#27-』リリースタイミングのインタビューでは「ここ数年、ずっとあんな感じなんですよ。自分が思ったように歌えないから、なんでこんなにお客さんが喜んでくれているのか正直分かんないというか、私はその状況を素直に喜べなくて。「ごめんなさい」と思いながら向き合っちゃっていたというか……。でも、全力ではありました。それは間違いないんですけど、こんなに応援してくれているからには、もっと質の良いライブをお届けしたいって思うじゃないですか。だから、騙しだましで歌うのはやめて、きっぱり休んで、自分も自分にストレスが溜まらない状態にしてあげて、また歌が歌えるようにしたいなと思ったんです。」と歌唱活動休止の理由を語っていた。
※<インタビュー>井上苑子「剥き出しで駆け抜ける1年にしたいです!」10周年記念アルバムや活動休止決断の全貌語る
https://www.billboard-japan.com/special/detail/4886
また、今回の件を心配してくれたファンについて「ファンの人はどんどんどんどん家族になっていっています。のこのこズ(※井上苑子ファンの呼称)という名前のある家族みたいな。大きなお家の中でみんなと一緒にいる仲間っていう感じがして。私の原動力でもあれば、精神安定剤でもある。音楽で繋がった人たちなんですけど、今や音楽だけで繋がっている関係じゃないと思っていて。ファンクラブイベントも2曲ぐらい歌って、ひたすらしゃべったり、ゲームしたりしているし(笑)。あと、みんなの人生を結構知っちゃっているんで……(涙を溢れさせながら)それが嬉しいし……みんな、しあわせでいてほしい人です。……みんなの味方でいてあげたい。そういう存在です。だから、私も頑張れる。みんなが元気でいられるように、私も元気でいたい。」とコメント。
この度のツアーファイナルには、そんな愛すべき全国各地の老若男女のファンたちが会場に大集結。ひぐちけい(g)、shizupi(b)、一葉/Kazuha(key)、山本真綺(dr)といった大好きなバンドメンバーを従えてポップ&キュートなドレス姿で登場した井上苑子は、大好きなみんなへ「あふれ出す この想いを 声にして 君に全部伝えたい 大好きだって」と満面の笑みで「HeartBeat」を歌い叫んでいく。「皆さん、今日は来てくれて本当にありがとうございます!」とその後も「線香花火」「だいすき。」と自らもギターを掻き鳴らしながら、その胸を叩きながら全力の歌声を響かせ、それに呼応するように客席からも全力のハンドクラップやシンガロングが巻き起こり、このうえなくハートフルな一体感を早くも創造。彼女が「みんなの味方でいてあげたい」と想うようにファンのみんなも彼女へのありったけの想いをぶつけていく、相思相愛を絵に描いたような光景が眼前に広がっていた。
<井上苑子もファンのみんなも涙した剥き出しのライブ>
「皆さん、こんばんは! 井上苑子です! 品川ステラボールまで遊びに来てくれてありがとうございます! 今日さ、大事な日なんですよ。ツアーの最後やし、活動休止前の最後のバンドワンマンなんで、ほんまに大事なんですけど、あんまりそんなに気負いたくないなと思って、あんまり何にも考えてきてないんですよ。見ての通り(笑)。なので、楽しんで帰りたいと思います! みんなも楽しんで帰ってねぇー!」と実に彼女らしい挨拶のあとは、2015年のメジャーデビュー以降の名曲たち「ナツコイ」「ふたり」「エール」をみんなと楽しげに歌い合いながら、はしゃぎ合いながら、多幸感に溢れたグルーヴを生み出していく。また、水野良樹(いきものがかり)が手掛けたラブソング「せかいでいちばん」では、例えば「あなたと出会えてよかった なんどだって心から言えるよ」「ずっとそばにいたいよ あなたのことが好きだよ」といったフレーズたちがファンひとりひとりへのメッセージのように響き渡り、客席には涙する人たちの姿も見受けられた。
「今日は泣きそうじゃなかったんです。朝からずっと。だけど、泣きそうです。すみません。やっぱり私は……(涙を溢れさせながら)ごめん、しゃべれません」と膝から崩れ落ちる苑子。それでも「やっぱりしゃべります!」と笑いを誘いながら「次の曲はカバーさせていただいている曲で……人生でいろんな問題が起きる。みんなもそうかもしれないですけど、そんなときに「こんなに力になる曲をカバーさせてもらえてたんや」と思って……」と、槇原敬之のカバー「どんなときも。」を一葉/Kazuhaが奏でるピアノの音色と共に歌い始める。これもまたアニバーサリーイヤー、歌唱活動休止前のライブという状況もあって、すべてのフレーズが井上苑子の人生そのものの歌として聴こえてきて、彼女も幾度となくその声を震わせていたが、我々も涙を堪えられず。さらには、Mrs.GREEN APPLE「点描の唄(feat.井上苑子)」のソロバージョンを同じくピアノとボーカルだけの編成で披露し、泣き叫ぶように、のたうちまわるように全身全霊で熱唱するその剥き出しの姿と歌声の凄まじさは、この日のハイライトと言っても過言ではない、生涯忘れないレベルの衝撃を我々の心に深く刻んだ。
<今だから言えること 今だから思うこと 自然なわたし>
「10周年記念のベストアルバムを夏に出しました。そのベストアルバムを聴いた人が楽しめるライブにしようと思っていたので、今日はベストアルバムの曲ばっかりをやります。その中でも、自分の中で大人への第一歩になった曲かなと思います」と、彼女が再びフルバンドメンバーと共に届けたのは「ぜんぶ。」。文字通り、ありったけの想いをぜんぶ溢れさせるように歌い上げ、その後も「赤いマフラー」「おんなのこ」と切なくも真っ直ぐなラブソングをドラマティックに響かせていくと、次のブロックでは「大切な君へ」を皮切りに「ハレトケ~グッデイ~Meet Sauce~キミマミレ~ハレトケ」とひぐちけいがアレンジしたスペシャルメドレーも畳み掛け、爆発的なバンドサウンドとどこまでも開放的なボーカル、それに負けじと歓喜乱舞するオーディエンスが一体となってゴキゲンすぎる音楽空間が生まれていく。まさしくお祭り騒ぎ。いっぱい泣いて、いっぱい笑って、いっぱい楽しむ。この振り幅こそ井上苑子のポップミュージックの魅力である。
「私と(歌唱活動休止前)最後のバンドライブ、悔いないですかぁー! みんな、盛り上がってますかぁー!(もちろん大歓声)嬉しいなぁ。こんなに来てくれたから、みんなのこと知りたいんです!」とファンひとりひとりとコミュニケーションを取っていく苑子。毎回ライブに来てくれる人から今日初めて来てくれた人まで個々に話しかけていくアーティストも珍しい(笑)。ファンのことを「大きなお家の中でみんなと一緒にいる仲間」と称していた彼女だが、本当にその通りの関係性。
そんな家族みたいな仲間たちに向けて「まだ私がお休みを発表する前に出した曲で、その頃は……(涙が溢れる)ごめんなさい。情緒が不安定で(笑)。胸の中でまだいろんなしこりがあったときに、書きたいことをたくさん詰め込ませてもらった曲です」と疾走するバンドサウンドに乗せて「アライブ」を届ける。「言葉にすると弱くなるから 涙ばっかり溢れちゃうけど わたしはわたし」と、ありのままの自分で新しい景色に向かってどこまでも突き進んでいこうとするその歌に誰もが呼応し、さらには「何も繕わずに、本当に心の中を書こう」と初めて彼女が思って作詞し、柳沢亮太(SUPER BEAVER)が作曲した重要曲「右足」でもって、「今 期待も不安も抱えて わたしは行く」その意思を後押しするように会場は大スパーク。
そして「私はここまでやってきて本当によかったなと思います。こんなにたくさんの皆さんに出逢えたし、今日はこうやって皆さんに来ていただけて本当に嬉しいですし、この先、私は休みますけれども、さらにすごい女になってみせる。すごい女になってみせるわ!」と宣言したあと、彼女は「10月1日「ナチュラル」という曲を出しました。6月にお休みを発表させていただいて、その新曲「ナチュラル」はSUPER BEAVERの柳沢さんに書いていただいているんですけれども「今の苑子ちゃんが歌える曲。そして、これからも歌っていける曲を書くよ」って。で、歌詞の土台となる私の今の気持ちをバァーって書かせていただいて、それを曲にしてくださりました。本当に有難くって、感謝です。私の大事な曲になりました。私のこの曲と今日のライブがちょっとでも勇気になってくれたらいいなと思います。一緒にこれからも戦っていきましょう」と、本編最後にその曲を歌い始めた。
今だから言えること 今だから思うこと。苦悩も葛藤もすべて抱きしめて、だからこそ認めることができた自分自身のあらゆる想いを歌い叫んで、そのぜんぶを「自然なわたし」と胸を張る彼女のその姿にこの瞬間、どれだけの人が勇気をもらったことだろう。
<再会の約束「今よりもスーパーウーマンになっています」>
そんな「自然なわたし」でライブ本編を駆け抜けた彼女に向けて「いのうえ! そんちゃん! いのうえ! そんちゃん!」と叫び続ける会場中のファンたち。その声に誘われるように笑顔で「アンコール、ありがとう!」と再びステージに現れた苑子は、ツアーグッズ紹介を挟みつつ「私、ずっとこの曲が大好きなんです! それでは聴いてください!」と、舞い上がる花びらのようにその腕を振り上げていくみんなの姿に見惚れながら、その胸に込み上げる想いを「ファンタジック」に乗せて歌い届けていく。さらには「青とオレンジ」でその勢いをさらに加速させながら大好きなみんなへ「君と居たい ただそれだけだよ」と伝えると、大きな拍手喝采に包まれながら「ありがとうございました! 井上苑子でしたぁー!」とスクリーンに流れるエンドロールと共に【井上苑子10th Anniversary Tour ~10年前は高校生。大人になったね~】は完結──
するかと思いきや「それでは、本当に本当に本当に最後の曲をやりましょう!」と、先の「君と居たい ただそれだけだよ」という想いをさらに大爆発させた「君がいればOK!~サマサマキュンキュン大作戦~」でこの日最大のお祭り騒ぎ! みんなでタオルを振り回しながら、全力のコール&レスポンス&シンガロングを繰り広げながら「いつもありがとう……10周年ツアー、本当にありがとうございました! これを私は元気の源にして来年は生きます! ありがとうございましたぁー!」と客席にまで突入しながら感謝の言葉を届け、最後は「いいじゃん 君がいればOK!」と伝え合う最高にハッピーでホープフルな時間を過ごすのであった。そんな井上苑子とその仲間であるファンたちでしか生み出せないライブを完遂すると、バンドメンバーひとりひとりと抱き合い、会場中のみんなで「元気でいようね~!」と記念撮影。
そして「また井上苑子のライブに遊びに来てもらえると嬉しいです。そのときはもっともっと今よりもスーパーウーマンになっていますので、楽しみにしていてください。みんなもスーパーマンになってね。ありがとうございました!」と再会の約束を交わし、彼女は「バイバーイ!」と満面の笑みでステージをあとにした。ここまで笑いと涙の絶えないライブも珍しいが、それこそいつどんなときも「自然なわたし」で今を生きる井上苑子に相応しいツアーファイナルであったと言えよう。なお、12月11日には、BLUE NOTE PLACE(東京)でのバースデーライブ【Inoue Sonoko Birthday Piano Live 2025】も控えているので、ぜひそちらも注目してほしい。そして、年内いっぱいで歌唱活動は休止期間に入るが、井上苑子の波乱万丈ながらも愉快な音楽人生はまだまだ続いていく。どれほどのスーパーウーマンになってステージへ帰ってくるのか、ぜひ楽しみにして待っていてもらいたい。
取材&テキスト:平賀哲雄
カメラマン:Shotaro Matsumoto
◎ライブ【井上苑子 10th Anniversary Tour ~10年前は高校生。大人になったね~】ツアーファイナル
2025年10月5日(日)品川ステラボール セットリスト:
01.HeartBeat
02.線香花火
03.だいすき。
04.ナツコイ
05.ふたり
06.エール
07.せかいでいちばん
08.どんなときも。(槇原敬之カバー)
09.点描の唄(井上苑子 Solo ver.)
10.ぜんぶ。
11.赤いマフラー
12.おんなのこ
13.大切な君へ
14.ハレトケ~グッデイ~Meet Sauce~キミマミレ~ハレトケ
15.アライブ
16.右足
17.ナチュラル
EN1.ファンタジック
EN2.青とオレンジ
WEN1.君がいればOK!~サマサマキュンキュン大作戦~
◎イベント情報
ライブ【Inoue Sonoko Birthday Piano Live 2025】
2025年12月11日(木)BLUE NOTE PLACE(東京)
1stステージ OPEN:18:00 / START 18:45
2ndステージ OPEN:20:15 / START 21:00
チケット料金:1F席 10,000円(tax in)2F席 9,000(tax in)
※料金は1名様あたりの金額となります。
別途、お1人様1オーダー以上を頂戴いたします。
※ご予約はウェブサイトからのみ承ります。
(お電話による予約受付は実施いたしません)
◎井上苑子「ナチュラル」Official Live Video
https://youtu.be/Zuvo7uG_CWs
◎井上苑子 オフィシャルサイト
http://www.inoue-sonoko.com/
◎井上苑子 X公式アカウント
https://x.com/inouesonoko
◎井上苑子 Instagram公式アカウント
https://www.instagram.com/inouesonoko/
◎井上苑子 TikTok公式アカウント
https://www.tiktok.com/@inoue_sonoko
◎井上苑子 YouTube公式チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCibrWECN6eRGztK-1x9T58A
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