<ライブレポート>Furui Rihoの全国ツアーが開幕 ハッピーがギュッと詰まったライブで会場を一つに

2025年9月22日 / 18:00

 9月7日、Furui Rihoが神奈川・横浜Bay Hallで全国ツアー【Furui Riho Live Tour 2025 -Dear my friends-】をスタートさせた。【Furui Riho Live Tour 2025 -Dear my friends-】は11月24日の東京・EX THEATER ROPPONGIまで全国12か所を巡る、Furuiにとって過去最大規模のライブツアー。因みに北海道3公演のうち9月15日の小樽と11月6日の札幌は早々にソールドアウトとなり、地元・北海道での絶大なる人気が窺える。

 ツアー初日の会場となった神奈川・横浜Bay Hallはスタンディングで約1,100名を収容するライブハウスだが、フロアのみならずPAより後ろのエリアまで立ち客でビッシリ。Furuiは7月6日に放送が開始された京都アニメーション制作のTVアニメ『CITY THE ANIMATION』のオープニング主題歌である「Hello」を7月30日にシングルでリリースしたが、この初のアニメタイアップの訴求効果もあってか、ライブ中盤に「今日初めて観に来た人いますか?」と彼女がオーディエンスに問うたときには少なくない数の人が手を挙げていた。その曲「Hello」の歌い出しは、<Hello,dear my friends>。今回のツアー・タイトルはここから付けられたものだ。

 バンドメンバーはハナブサユウキ(Key)、坂本遥(Gt)、KOBY SHY(Ba)、守真人(Dr)。過去のツアーではコーラスでFuruiの妹のMa-changが加わることも少なくなかったが、今回はお馴染みの4人のミュージシャンの引き締まった演奏とFuruiの歌だけで装飾なく攻めていく形だ。

 ドラマチックなオープニングSEが流れるなかでまずバンドメンバー4人がステージに登場し、ギターの遥(はるか)が曲に合わせて手拍子を促すと、観客の多くがそれに応える。そんななかで主役のFuruiが弾けるように登場すると大歓声が起こり、そのように初っ端から高めの温度でライブがスタートした。このあとの公演を楽しみにしている人が多いだろうから、ネタバレを避けるべく曲目は明かさずにレポートすることとしよう。

 1曲目からFuruiは左へ右へとよく動き、台の上に飛び乗ったりもして歌う。弾むメロディ部分では声を弾ませ、しっとりした部分は歌表現もしっとりと。声の出力の加減によってメリハリを効かせ、サビではフロアのみんなが手を挙げて前後に。1曲目とは思えない一体感が早速現出した。太いベース音で始まるファンキーな2曲目の頭では「横浜、みんなの声、聞かせて! エブリバディ・セイ・イェー・イェ」と煽ってコール&レスポンス。「もう少しいけますか横浜!? エブリバディ・セイ・イェー・イェ」と繰り返して煽れば観客の声はさらに大きくなって熱度があがり、弾力性あるボーカルを感じながらカラダを揺らす人も多かった。続く3曲目はニュー・ジャック・スウィングをベースにしたダンサブルな曲であった故、さらに盛り上がる。因みに横浜ベイホールはかつてテディ・ライリー率いるGUYのようなニュー・ジャック・スウィングの代名詞的存在がライブを行なったりもしたハコ。そのあたりを体験してきた筆者には、Furuiのその曲がベイホールにこの上なく相応しく感じられた。続く4曲目もソー・ファンキー! サビ部分でみんなが手を挙げて振り、ギターの遥とベースのコバことKOBY SHYは前に出ての演奏で温度を上げた。

 「凄い! 凄いぞ! あったかい!」「どうしてみんな、そんなに優しいの!?」と、この日のオーディエンスの熱さに感激した様子のFurui。続けてこう話した。「今日はみんなで一緒に楽しみたいと思って準備をしてきました。【Dear my friends Tour】はですね、「Hello」という曲をこの前出しまして、その1行目の歌詞を持ってきたタイトルなんですけど。「Hello」はみんなで一緒に笑顔になるというようなイメージで作った曲なので、今日は実際みんながそれを体験できるライブにしたいなと思っています」。そしてここではアコースティックで始まるミディアム・スローの曲を。丁寧に感情を込めての歌唱が沁み渡った。

 続くファンキーなビートに乗せてFuruiが「今日は最高のバンドが私のそばにいてくれています」とメンバーをひとりずつ紹介すると、それぞれが軽くソロ演奏を披露。サビのフレーズを観客にも歌わせる。それに続く次のアップテンポ曲でもまたみんなが手を挙げて前後に振っていた。その曲の終盤はハナブーことハナブサユウキのソウルフルな鍵盤ソロも光っていた。そして次のライブ初披露曲ではこれまでになかった新しい一体感の形を見せた。Furui Riho楽曲のなかでは飛び抜けてBPMの速いその曲で、彼女はレゲエのライブにおけるヘリコプターのように黄色いタオルをグルグル振り回しながら歌ったのだ。合わせて観客の多くもそれぞれで準備していたタオルをグルグル。歌い終えると、「ちょっと待って」と息を切らした様子のFurui。「タオル振り回すのってこんなに疲れるんだ!?」と、感想を正直に漏らす彼女に笑いが起きた。

 ここで「今日初めて観に来た人いますか? このなかで地元の方は?」と質問し、前方の観客のひとりを指して、「そこのショートの髪の方、お名前なんですか?」と直接聞くFurui。そして「いきなりなんですけど、最近人生で感じていることとか気づいたことってありますか?」とその女性に質問を。女性が「ちょっとずつやればうまくいく!」と答えると、Furuiは「なんか歌詞になりそう。それ、曲にしてみようかな。今、即興で演奏してみたいので、もうちょっとアイデアください。それを思ったときはどんな気持ちでした? “優しい”とか“悔しい”とか“ハッピー”とか、なんか感じたことはありますか?」。その問いに対して女性が「楽しい」と答えると、Furuiは「“ちょっとずつやればうまくいく”=“楽しい”ですね」と確認し、「じゃあ、ベース、いける?」とベースのKOBY SHYに合図。ベース→ピアノ→ドラムス→ギターと、そこでバンドメンバーたちが即興で音を乗せ始めたのだが、これがまさしく“少しずつ物事がうまくいって、楽しくなってくる”という雰囲気が表現されたサウンド&曲調だった。聴きながらFuruiも「歌ってみようかな」と言い、フリースタイルでそこに歌を乗せ始めた。<私は歌を始めて、もう何年目だろ~。最初は全然うまくいかなくてさ~ / どきどきしながらステージに立って~、頭が真っ白になりながら歌ってた。だけど だけど ちょっとずつやったら、こんなに みんなに 愛されてた~。ちょっとずつやればいいんだ~>。なんて見事なフリースタイル・シンギング! 観客全員が「おおっ」と声を上げて大拍手。「お題」を受けて見事な即興で歌にするFuruiのその能力に舌を巻いた。こんな才能があったとは。

 さらにこのあと、もうひとつのサプライズがあった。Furuiはワンマンライブで毎回何かしらの新しい“挑戦”をしているのだが、今回もある初挑戦をして見せたのだ。が、それを楽しみにしている人もいるだろうから、ここでは書かないでおこう。それに続いての祝福感ある曲が終わるとライブも終盤戦に。根強い人気を持つ2020年のシングル曲ではみんながまた腕をあげて振り、Furuiの代表曲と言っていい次の曲はあたたかさが会場を満たした。「今日はみなさんに会えて本当に嬉しかったです」という挨拶のあと、本編ラストは多くの人が楽しみにしていたであろうあの曲だ。みんなの大きな手拍子の音のなか、希望と喜びを込めたその曲を彼女は高らかに歌って会場をひとつにした。

 鳴り止まない拍手に応えてのアンコールでは、まずバンドがAOR的なインスト曲を演奏。その流れからFuruiが「もう少し遊んでいきますか!?」と煽ってアップテンポの曲を。同曲の後半ではギターの遥とベースのKOBY SHYが台に乗って弾き、さらにはFuruiと3人でステージの右へ左へとステップを踏みながら演奏した。そして最後の曲の前にはこんな話を。

 「次が本当に最後の曲なんですけど、たぶんこの会場で一番名残惜しいのは私だと思います。本当に終わってほしくない。こんなに終わってほしくないのは自分のライブで初めてかもしれない」「みんながこうやって一緒にいてくれて、一緒に音楽を楽しんでくれて嬉しいです。アーティスト活動をしていると一方通行のように感じることもあるんですけど、そんなことはないなって。一緒に作ろう、共に手を繋いで笑っていたいというのが今回願っていたことであり、テーマでもあったので、それが叶えられている気がして本当に嬉しいです」。そんな思いも込めつつの最後の曲の終盤、ピアノに乗せて美しいファルセットで歌われたところには彼女の祈りが込められてもいるようだった。

 トータル1時間半。あっという間な気もしたが、ハッピーがギュッと詰まった濃密なライブだった。「Hello」発表時のインタビューで「ライブを楽しめるようになったのは、わりと最近。2年前くらいから徐々に」と正直に話していたFuruiだったが、先の即興の歌の通り、「ちょっとずつ」やっていくなかで「うまくいく」ようになり、今では伸び伸びと、どこまでもオープンマインドで楽しめるようになった。そう、彼女はこの夜、歌うこと、パフォーマンスすることを心底楽しんでいた。そのことがよくわかるライブで、それが「こんなに終わってほしくないのは初めてかもしれない」という言葉に繋がったのだ。バンドの高質なアンサンブルも彼女のそうした気持ちを押し上げていただろう。いやそれにしても、この日のオーディエンスとの一体感は驚くほどのものだった。ライブはステージの上と下とで作るもの。それを実感させられる素晴らしいエネルギーの循環があった。これでもまだツアー初日。11月のファイナルにはどれほどのクオリティになっているのか、楽しみだ。

Text by 内本順一
Photo by nakata tatsuki

◎公演情報
【Furui Riho Live Tour 2025 -Dear my friends-】
9月7日(日)神奈川・横浜Bay Hall
9月13日(土)北海道・函館club COCOA
9月15日(月祝)北海道・小樽GOLDSTONE
9月20日(土)宮城・仙台MACANA
10月4日(土)福岡・DRUM Be-1
10月11日(土)香川・高松DIME
10月18日(土)名古屋・NAGOYA CLUB QUATTRO
11月2日(日)広島・SECOND CRUTCH
11月3日(月祝)岡山・IMAGE
11月6日(木)北海道・PENNY LANE24
11月15日(土)大阪・BIGCAT
11月24日(月休)東京・EX THEATER ROPPONGI


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