<ライブレポート>BLUEGOATS【永遠の愛】ツアー大成功! 最高の夏の思い出を完成させた夜「だからこれは永遠の愛!」

2025年9月3日 / 18:00

 横浜アリーナを満員にするという目標を掲げ、菅波栄純(THE BACK HORN)や田仲圭太(TOPICS.LAB、ex.SCRAMBLES)などが手掛ける青春パンクを歌い叫び続けている女性アイドルグループ・BLUEGOATS(ブルーゴーツ)。2025年夏、過去最大総キャパシティへの挑戦となる東名阪ツアー【永遠の愛】を開催した。

<純然たる音楽とパフォーマンスのみの直球勝負>

 競馬観戦イベントからのライブ、文化祭からのライブ、42.195キロフルマラソンのライブ、楽器未経験メンバーがベース購入から1週間でソロライブ──ここ半年の活動を振り返るだけでも、何かしらの企画や演出ありきのライブで注目を集めてきた印象の強いBLUEGOATSだが、青春の代名詞である夏。彼女たちは純然たる音楽とパフォーマンスのみの直球勝負で、6月22日(日)東京・新宿Marble(昼夜公演)、7月12日(土)愛知・RAD HALL、7月26日(土)大阪・福島2nd LINE、8月18日(月)東京・渋谷WWWの計5公演に及ぶツアーを敢行。私は千秋楽を取材させてもらったのだが、メンバー4人(ほんま・かいな、ダイナマイト・マリン、チャンチー、ソンソナ)もオーディエンスも音楽と完全一体化し、この上なく楽しく気持ち良いグルーヴを創造し、ずっと忘れないであろう青春剥き出しの夏を体現していた。

<「泣くな、おまえ! 抱きしめに来たぞぉー!」>

 「永遠に生きられるだろうか 永遠に君のために BABY BABY BABY BABY 君を抱きしめていたい 何もかもが輝いて 手を振って BABY BABY BABY BABY 抱きしめてくれ かけがえのない愛しいひとよ」──SEの銀杏BOYZ「BABY BABY」に合わせて客席から歌い叫ばれるシンガロング。そんないつもの流れが【永遠の愛】と題された本公演においては、いつも以上に特別な意味を持って響き渡る。そして、その叫びに誘われるようにステージへ登場した4人は「今日は暴れに来ました! かかってこいよ!」と、柵によじ登り最前客の手を握って立ちながら「Everybody goodday 最近調子はどうだい」とオープニングナンバー「GOOD LUCK!!」を披露。会場中が満面の笑みで楽しげに歌い叫ぶ、これぞ青春といった光景を生み出していく。

 その後も「戦う日々」では「君たちの今日まで戦ってきた日々に!」と日常のアレコレと悪戦苦闘しながら生き抜いてきた者たちを称え、「Dynamite!!」では「泣くな、おまえ! 抱きしめに来たぞぉー!」といくつもの悔しい夜を乗り越えてきた者たちを抱擁し、「英雄の歌」では「この夏、たくさん駆け抜けてきた君たちの歌! 君たちに爆発しに来てもらいました!」と眼前に集いしすべての英雄たちを鼓舞し、泣くなと言われても泣いてしまうほどエモーショナルなシンガロングを生み出し、ノンストップで全身全霊のアクトを繰り広げてみせる。そして、チャンチーが「はじめまして【永遠の愛】ツアー、東京! はじめまして、BLUEGOATSでーす! 今日は、私は、他の誰でもないあなた。ここにいるあなたひとりひとりに今のこの瞬間、伝えたい言葉を伝えたいと思います! 私は! 私は! あなたの! あなただけの! あなたの味方だぁぁー!」「絶対にあなたをひとりになんかしないから、一緒に歌ってください!」と叫んで届けた「ガムシャラ」でも、こちらの人生を全肯定しながら全力で味方になってくれるその歌に、客席はまさしく熱狂の渦。

 その渦の中であらゆる感情を発露していた者たちは、例えば、様々なしがらみの中で自分の思うように生きられず、そのストレスを上手く吐き出すことすらできず、日々不安と葛藤に震えながら生きているのかもしれない。例えば、お金もなくて、恋人もいなくて、夢も見つからなくて、どうしようもない問題ばかり増えていって、それなのにどうしても頑張ることができなくて、自己嫌悪に悩まされながら生きているのかもしれない。例えば、夏に浮かれたフリをしながらも、実はどこにいても誰といても虚しくて寂しくて怖くて怖くて仕方なくて、それでも死ぬことも出来ずに生き続けているのかもしれない。そんなどうにもこうにも上手く生きれなくて、でも発狂する場もなくて、大人にもなりきれなくてのたうちまわっている者たちにとって、彼女たちのあまりにも無邪気で全力の愛と青春の歌は、どうしようもなくその人生に突き刺さり、ゆえにこれほどの熱狂を呼ぶのだろう。だからこそ、共に歌い叫ばずにはいられないし、それが楽しくて楽しくて泣きながら笑いながら拳を振り上げてしまうのだろう。

<「あなたの人生に一生残るような“永遠”を」>

 マリン「はじめまして、BLUEGOATSです! ツアーも今日で最後。友達に連れられて初めて観に来た人もいる。地方から遊びに来てくれた人。そして、いつもライブに遊びに来てくれる人。たくさんの出逢いがあったこのツアー、その中でひとつだけ心残りなことがあって。毎公演、遊びに来てくれていた人がこのツアーファイナルだけ、急な仕事ができて「今日行けないんだよね」って。仕事で行けないなんて結構あたりまえのことで、でも、なんかすごく悔しくって。それを聞いたときに私は、この先のことが少しだけ怖くなった。何が言いたいかって言うと、ここにいるあなたとも明日会えるかどうか分からない日が来るかもしれない。あなたの横にいる友達もいつか会えなくなる日が来るかもしれない。たくさんの別れがあって、たくさんの出逢いがある。今日来れなかった人がいて、それでも今日私はここで初めての人にたくさん出逢えた。私はあなたのことをよく知らないけど、それでも、永遠なんてあるかどうか分からないからこそ、私はあなたの人生に一生残るような“永遠”を今日歌いに来ました!」

 そう彼女が語り「あなたと歌えるこの時間が一生続きますように──」そんな想いを込めて4人で歌い出した曲は「FOREVER YOUNG」。会えない日があっても、どんなに別れや出逢いを繰り返しても、君が一緒に歌い続けてくれるなら、その歌は終わらない歌になる。永遠の歌になる。そんな“永遠”を実感させてくれたあと「誰もあなたを笑わない」でさらに会場をスパークさせると、今度はソンソナが語り出した。

 ソンソナ「今日はツアーファイナルということで、まずこうして無事に集まれたことが嬉しいです。会いにきてくれて本当にありがとう! みんなー、やっと会えたね! 本当に今日までずっとずっと早く会いたかったです! 私ね、きっと、明日も「すぐ会いたい」って思ってしまうと思う。今日、ここに立って、今日、君の顔を見て、改めてそう思いました。そう思わせてくれた君に今日この場でしっかり伝えたい歌、ちゃんと届けたい歌を歌います。今、目の前にいてくれる君へ──「おまじない」。いつも大きな愛でBLUEGOATSを支えてくれているみんな。君に素直な気持ちを書いた歌です。BLUEGOATSから永遠に続く魔法の歌です。」

 ソンソナが未経験のベース購入から1週間でソロライブを開催し、必死に練習をしたベースの演奏と共に披露したことも記憶に新しい「おまじない」だが、この日は永遠に続く魔法の歌として「いつでもそばにいるよ」と何度も告げながら、この歌が君の不安や孤独を取り除けるよう、切実な表情と歌声で届けていく4人と、最後に「これからもずーっと君のそばにいます。私と君の永遠に途切れない約束です!」と笑顔で小指を突き出すソンソナの姿が印象的だった。

<【永遠の愛】に対するアンサー>

 そして「渋谷! 柔らかくて温かい時間を一緒につくってくれてありがとう。大切な人で頭いーっぱいにして聴いてください! 私はあなたに「愛してる」を伝えたい」と、代表曲のひとつ「夢で逢えたら」をお届け。4人はもちろんオーディエンスも共に「愛してる!」と歌い合いながら、会場中を熱量の高すぎる愛で埋め尽くしていく。そんな愛を浴びながら、今度はかいながその愛について語り始める。
 
 かいな「私は愛について考えるのがすごく好きで。でも、考えたって考えたって、いまだに(愛が何なのか)分かったためしがない。でも、まぎれもなく今ここにいるあなたのその目は、その歌は、私たちに、そして、自分たちを「愛してる」と伝えてくれていると思う。みんな、そういう目をしてる。それだけは分かる。だから、これが、これが愛なんだと思う。今日、ファイナルのツアーのタイトルに「永遠の愛」と付けた。永遠って本当にあんのかな。私はさ、ないと思ってんだよ。永遠なんて。だって、ここにいる誰かは……誰かっていうか、全員、いつか居なくなるし、今日この時間だって終わるし、永遠に続くもんなんかひとつもない。けど、私は「絶対」っていうのも信じてない。だから、永遠だってあるんじゃないかと思う。絶対がなければ、永遠がないなんてのもないと思う! 続くと思う! それは、あなたひとりひとりの気持ち! そして、私の気持ち! BLUEGOATSの気持ち! それだけは何があったってきっと永遠に続いていくと思う! だからこれは永遠の愛!」

 こうして今回のツアーコンセプトである【永遠の愛】に対する答えを導き出したあと、4人は最新曲「∞の愛」を披露。永遠に続く無限大の愛を満面の笑みで歌い叫び、その開放感と爆発力でもって「君の唄で生きていたい」「東京タワー」「青春時代」「解散」「アイラブユー」「TOMORROW」とキラーチューンを惜しみなく畳み掛け、とんでもない多幸感を生み出していく。冒頭に書いた通り、4人もオーディエンスも音楽と完全一体化し、この上なく楽しく気持ち良いグルーヴを創造し、ずっと忘れないであろう青春剥き出しの夏を体現してみせた本編クライマックス。……正直に書くと、もうこのタイミングで私は取材者という身でありながら、メモを取るのも放棄してはしゃぎまわってしまっていたので(ごめんなさい)細かいことはよく憶えていないのだが、文字通り「誰もが」そうなってしまうほどにこの日この瞬間、音楽が人の心を際限なく突き動かしていく為に必要不可欠なものなのであれば、BLUEGOATSは音楽そのものだった。

<「今日はいい日だな」最高の夏の思い出、完成>

 そんなスペシャルな領域へ到達したBLUEGOATSは、客席からの大声で響き渡る「おまじない」を聴きながら再びステージへ。そして「YOLO」「嘘ひとつ言えたなら」を【永遠の愛】ツアーの締め括りに届けていく。最後の最後まであらゆる感情をその歌とパフォーマンスで体現し、それをオーディエンスと純度100%以上の愛でもってシンクロさせ、それこそ永遠に忘れないような、この先の人生でも永遠に我々の背中を押し続けるであろう、最高の夏の思い出を完成させる4人。その有意義すぎる光景と音楽の一部になって、自分も「今日はいい日だな」と共に口ずさんでみたら涙が溢れた。その理由はきっと、自分もどうにもこうにも上手く生きれなくて、大人にもなりきれなくてのたうちまわっている人間のひとりだからだ。そして、決して楽しいことばかりじゃなかった、むしろ「こんなにしんどい夏なんか早く終わってしまえばいい。生きるのしんどい」とすら思っていた2025年夏の終わりに、BLUEGOATSが心の底から「楽しい!」と思えるライブを見せてくれたから。私にとって本当に「最高の夏をありがとう」と叫びたいぐらい、いい日だったのだ。

 こんな風にこの日のライブに救われたのは、自分だけじゃないだろう。また、BLUEGOATSにまだ出逢えていない人の中にも、BLUEGOATSによってネガティブな感情や状況をポジティブなものへと転換できる人はたくさんいるはずだ。【永遠の愛】ツアーはこれにて完結してしまったが、10月からは【青春を、もう一度】なる次なるツアーの開催が決定している。それ以外にも日々様々なイベントに出演しているので、この記事を読んで少しでも共感してくれたり、興味を持ってくれていたら、ぜひとも彼女たちの現場へ足を運んでみてほしい。

取材&テキスト:平賀哲雄
写真:すずき大すけ

◎ライブ【永遠の愛】ツアーファイナル
8月18日(月)東京・渋谷WWW セットリスト:
01.GOOD LUCK!!
02.戦う日々
03.春はあけぼの
04.It Won’t Be Long
05.Dynamite!!
06.英雄の歌
07.ガムシャラ
08.涙の海を越えて
09.青春の真ん中に君がいる
10.FOREVER YOUNG
11.誰もあなたを笑わない
12.おまじない
13.夢で逢えたら
14.∞の愛
15.君の唄で生きていたい
16.東京タワー
17.青春時代
18.解散
19.アイラブユー
20.TOMORROW
21.YOLO
22.嘘ひとつ言えたなら

◎イベント情報

BLUEGOATS LIVE TOUR【青春を、もう一度】
10月5日(日)東京・shibuya CYCLONE
OPEN 18:30 / START 19:00
10月11日(土)愛知・RAD HALL
OPEN 19:00 / START 19:30
11月6日(木)東京・下北沢シャングリラ
OPEN 19:00 / START 19:30
12月27日(土)大阪・Live House Pangea
OPEN 18:00 START 18:30
2025年1月28日(水)???
https://bluegoats.jp/news/42b2d55b-1493-4dc4-b35b-7456fd62a7f5

◎アオヤギチャンネル | BLUEGOATS
https://www.youtube.com/@BLUEGOATS


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