<ライブレポート>中島健人 ソロ初のホールツアーで見せたU:nityとの近く、深い絆――【“N / bias” 巡】東京ファイナル

2025年8月8日 / 17:00

 中島健人が、7月17日に【KENTO NAKAJIMA 1st Tour 2025 “N / bias” 巡】ファイナル公演を東京・LINE CUBE SHIBUYAにて開催した。

 今年1月に、ソロデビュー後初のワンマン公演【KENTO NAKAJIMA 1st Live 2025 “N / bias”】を東京・有明アリーナにて3DAYS開催していた中島健人。同公演で開催発表をおこなっていた今回のツアーは、ホール規模ならではの近さで、彼とファンであるU:nityの距離が物理的にも、心理的にも近いことを証明するような内容となった。昼夜2公演での実施となった7月17日公演のうち、本稿では昼公演の模様をレポートする。

 ライブは、有明アリーナ公演の幕間で描かれたストーリーに続くムービーで幕を開ける。同公演中、中島が涙ながらに宣言した「俺、多分、死ぬまでアイドルだわ」という言葉から、ストーリーは“悪役”扱いされ追われる身であった彼が一転、”英雄”として世間から注目の的になるという場面からスタート。VTRの中島からの振りを合図に、「CANDY ~Can U be my BABY~」でステージにリアルの中島が姿を現した。オールホワイトのセットアップにシルバーのインナーをまとい、手には衣装と合わせた色合いのエレガントなキャンディが。キャンディについたフリンジがたなびくさまが肉眼でもくっきり見えるほど、ホールならではの近い距離にさっそく驚かされると、「SHE IS…LOVE」では、3階席まで入ったU:nityたちの全力の「ケンティー!」コールがステージへ降り注ぐ。曲終わりには、彼の脇を固めるダンサーチーム“N’s Performer”が手に持ったライトで中島の周りをハート型に囲むキュートな演出も。

 しかし、距離の近さを感じる演出はこれだけではなかった。「Hey!! Summer Honey」では、なんと突如ステージを降り、客席を練り歩くサプライズが。驚く観客と時にハイタッチを交わしながら、途中のコール&レスポンスパートでは「渋谷、もっと声出してみて!」と煽り、会場の熱気をどんどん上げていく。この日の渋谷は日差しが強く汗ばむ陽気であったのだが、そんな夏のムードを会場の中にも運んできたかのような一曲だった。

 「皆さんにとって、自分の存在や、自分を見ることが支えだったり、力になってくればいいなと思っています」と自身の活動への姿勢について語ると、続いたのは「ヒトゴト feat. Kento Nakajima」。〈自分は自分らしく/笑ったもん勝ちでしょ〉と、自ら紡いだ詞でU:nityを優しく包み込んだ。「Raise Your Light」はコール&レスポンスの掛け合いが高度な一曲で、中島も「U:nity、一緒に歌える?」と鼓舞。その期待に応えるように声で応えるオーディエンスたち。その歌声に、曲終わりには「最高の歌をありがとう!」と嬉しそうな声で感謝を告げた。

 大活躍のヒーロー中島健人に、「?」と書かれた謎の覆面男が忍び寄る……という不穏なムービーを挟むと、今度は先ほどの白い衣装とは一転、黒のセットアップに着替え「MONTAGE」を披露。セットアップのジャケットの背中にかたどられた「N」の文字を続く「Bye Bye Me」で印象的に魅せたあとは、イントロの時点であちこちから悲鳴が上がった「Mission」を、そのジャケットを脱いだTシャツ姿で披露。しかし、2番サビのタイミングではそのTシャツを破り捨て、素肌をあらわにするというワイルドすぎるパフォーマンスをみせた。曲終わり、燃え尽きたようにステージに仰向けになる中島を、衝撃のあまりただ見つめるU:nityたち。そこから、今度は「みんな見てて!」とステージで着替え始める彼を観客全員で見守る少々独特な時間を挟みつつ、夏の仕事は「汗が止まんない」ことについてや、音楽番組出演時に参加している他アーティストとのダンスチャレンジが「新しい自分を発見できて楽しい」と感じている話など、自身の近況トークで会場を笑顔で満たしていく。

 すると突然、ステージ中央のモニターに、先ほどムービー内で中島に忍び寄っていた覆面男“Mr.ハテナ”の姿が。Mr.ハテナの指示で、これまで中島のブログ「KenTeaTime」へ投稿された写真より出題される(かなりの難しめの)2択クイズが始まると、観客も手に持ったペンライトで、焦る中島をサポートする。見事全問正解し、ご褒美であるチーフマネージャーの手料理をゲットすると、さっそく口にして「愛情の味!」と笑顔をこぼした。

 ここで、「数ある夢の中の1ページ、見せちゃおうかな?」と中島の意味深な発言とともに映像が流れ出すと、ソロ初の海外公演となる【KENTO NAKAJIMA 1st Live 2025 in TAIPEI “N / bias” 凱】を台北・Zepp New Taipeiで開催することを発表。特大サプライズに、客席からは絶叫に近い歓喜の声が上がった。台北へライブとして訪れることはこの公演が初めてで、その後に宣言した「世界中にU:nityのみんなを自慢したい!」という彼の思いを叶える一歩を踏み出すこととなった。

 すっかりハッピーなムードに包まれた会場は、続く「Jasmine Tea」でしっとりチルな雰囲気にチェンジ。かと思うと、「こっからもっと声出せんの!?」と観客を煽ってダンス曲「Heartbeats」でアッパーにぶち上げ、ダンサー紹介のブレイクを挟むと、聞こえてきたのは自身でも“強み”と語る、美しいファルセットボイスのハミング。幻想的な「迷夢」が始まり……と、テイストの異なる楽曲を重ねていく。「迷夢」では中島の立つステージと客席の間に靄を思わせる紗幕がかかり、そこに映し出される映像とともに、紗幕の先にいる中島がゴンドラのようなものでふよふよと景色を彷徨うという演出がおこなわれ、そのファンタジックな世界へ没入させられた。

 ふたたびムービーが始まると、夢に迷い込んだ少年を助ける中島が、迫り来るMr.ハテナをついに倒す。そしてたどり着いたのは波音が響く青い海……というところで、「碧暦」がスタート。自身の“大切な色”でもある青を取り入れたブルゾンをまとい、〈不完全でも Oh/終われない〉と繰り返すさまには、改めてアイドルとして突き進む中島の決意が滲んでいるように感じた。曲の途中には、そんな彼を祝うように紙吹雪が吹き上がる。

 その後のMCで、中島は「俺、すげえやつになりたいのよ」と語り始めた。自身のファン――U:nityにも、「周りから、本当にU:nityってすごいんだって思われてほしい!」とともに高めあう存在でいてほしい、という願いを明かすと、「俺は正直もう……闇は晴れたと思う。これからはきれいな光を一緒に見に行こう」と、有明アリーナで涙をこぼしていた姿から、自信にあふれたいつもの“ケンティー”らしい姿で宣言。曲が始まる直前には「死ぬまでついてこいよ!」と叫び、そのまま「ピカレスク」で本編を終えた。

 熱い「健人!」コールが巻き起こる中、アンコールは「jealous」で明るくスタート。そのパフォーマンス中、「目線が定まらなかった」ところがあったことをその後のMCで明かすと、客席に見学に来ていた“親友”、岩本照(Snow Man)を嬉しそうに紹介。「俺の色々な時を支えてくれた親友です!」との中島の言葉に続き、U:nityたちからも岩本へ「ありがとうー!」と感謝の言葉が飛び交う温かい一幕もあった。そんなU:nityとの絆を歌った「Unite」で金吹雪も舞い、アンコールも終了……と思いきや、終演を知らせるアナウンスにも負けず「健人」コールを続けるU:nityたち。そんな声に応え中島が姿を現すと、最後は「俺はこれからもみんなの一番星になる!」との宣言を形にした「JUST KENTY☆」で、とことんハッピーなムードで今度こそライブは終演を迎えた。

 以前、中島はホールツアーが始まった頃のインタビューで「機構や演出が多用できないホールは、皆さんの歓声が最強の演出なんです」と語っていた。その通り、公演中の彼は有明アリーナ公演のときよりもU:nityたちの“声”をしきりに求め、「一緒に」最高な時間を作ろう、と呼びかけていた。ライブは、そのアーティストの哲学を五感で感じに行く場所であると私は思うのだが、中島健人の場合は、ホールという彼にはいささか手狭な規模でツアーをするにあたり、いちばん大切なものが会場にいる観客――U:nityの存在であるということを、U:nity自身にも五感で感じてもらいたかったのかもしれない。

 中島健人は、彼の発言や行動の端々から感じられるとおり、人々の憧れの存在である“アイドル”で在り続けるということに誰よりも意識的である。それと同じくらい、自らを愛してくれるU:nityたちを肯定し、自らと同じところへ――あえて言うなら「引き上げ」ようとしている人だ。だからこそ「JUST KENTY☆」と自らの名を冠した楽曲で、“一番星”として輝くのは自身だけでなく、〈君〉もなのだと語りかけるのだと思う。中島とU:nityのまぶしい絆が形になったような2時間半であった。

Text:Maiko Murata
Photo:田中聖太郎

◎公演情報
【KENTO NAKAJIMA 1st Tour 2025 “N / bias” 巡】
2025年7月17日(木) 東京・LINE CUBE SHIBUYA

▼セットリスト
1. CANDY ~Can U be my BABY~ (New Vocal Mix 2024)
2. SHE IS…LOVE
3. Hey!! Summer Honey
4. ヒトゴト feat. Kento Nakajima
5. Raise Your Light
6. MONTAGE
7. Bye Bye Me
8. Mission
9. Jasmine Tea
10. Heartbeats
11. 迷夢
12. 碧暦
13. ピカレスク

En1. jealous
En2. Unite

WEn. JUST KENTY☆


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