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アジアのビルボードパートナーが一堂に会する初のカンファレンス【Billboard ASIA Conference 2025】が6月27日に東京・ビルボードライブ東京にて開催された。
今回のイベントでは、チャート事業に加えて【ビルボード・ミュージックアワード】など国際的な影響力を持つイベントも数多く手がけるUS、音楽やコスメ、フードなど自国のコンテンツを強みにブランドとのコラボレーションを展開する韓国、親会社となるテンセントの音楽コンテンツ戦略の期待を背負う中国、大手放送メディアがライセンスを保有するフィリピン、そしてチャート事業とライブ事業を主軸とする日本、それぞれの代表が強みやネットワークについてプレゼンテーションを行った。以下、同イベントの模様をお届けする。
プレゼンテーション1:アン・バーニスカ(モダン・メディアグループ COO)
最初に登壇したのは、ビルボード・フィリピンを代表するモダン・メディアグループCOOのアン・バーニスカ氏。ビルボード・フィリピンは、大手マルチメディア企業AGC Power Holdings傘下のメディアブランドであり、同社が擁する様々なブランドとのシナジーにより、広告やイベント事業を中心に若年層ユーザーの獲得に成功している。バーニスカ氏によると、フィリピンはアジアの音楽が欧米に輸出される際の“トリガー・マーケット”であり、日本音楽のファンダムもすでに形成されはじめているという。現地イベントへの参加や、フィリピン人アーティストとのコラボレーションを通じて、さらなる認知拡大が期待できると語った。
プレゼンテーション2:グージー・チマ(PMC Vice President, International Markets)
続いて登壇したのは、ビルボード・チャイナを統括するPMCのヴァイス・プレジデントであるグージー・チマ氏。中国のインターネット・エコシステムにおいて欠かせない地位を持つテンセントを親会社に、ビルボード・チャイナはbilibiliやRednoteなど中国の注目のプラットフォームをはじめ、様々ソーシャル・メディアに事業を展開している。また、女性エンパワーメントにも力を入れており、今年に初となる【ビルボード・ウィメン・イン・ミュージック】の中国版を開催する予定だ。日本音楽に関しては、アニメやドラマを通して認知が広がっており、中国で公演を行った海外アーティストの中で、日本人アーティストはトップ3に入るなど、現地フェスへの出演も増えているという。中国市場に向けたコンテンツ発信やコラボレーションを増やし、コンサートやイベントの共催などができれば、この巨大な市場に秘めている可能性をさらに引き出せるだろう。
プレゼンテーション3:キム・ユナ(ビルボード・コリアCEO)
ビルボード・コリアを代表するキム・ユナ氏は、グローバルに成功を収めてきた韓国音楽産業の次なる挑戦と展望について語った。キム氏によると、現在韓国の音楽産業が抱えている課題は、伝統的な消費モデルから、持続可能なファンベース・モデルへ転換することだ。そのためビルボード・コリアは、音楽産業のインフラとなるデータ事業や、インタラクティブなコンテンツとイベントの展開などを中心に、韓国音楽の未来に重要な役割を担っている。また、BTSやBLACKPINKの成功例を挙げ、ライブ・デジタル・ハイブリッドといった多面的なエンゲージメントこそが、グローバルヒットの鍵であると説明。フィリピンと中国と同様に、韓国でも日本音楽のリスナー層が拡大している。アーティストと現地ファンの間にインタラクティブな接点を作ることで、持続可能なファンダムを築き、日本音楽のグローバル進出を後押しできるという。
プレゼンテーション4:マイク・ヴァン(ビルボード CEO)
小休憩の後、マイク・ヴァン氏が4人目のプレゼンターとして登場した。130年以上の歴史を持つ米ビルボードは、“Billboard Hot 100”と“Billboard 200”を軸とした多数の音楽チャートの展開、さらには独自のアワード【ビルボード・ミュージックアワード】を30年以上にわたって開催。これらを通して現在は世界的に展開しているビルボードというブランドを確立させている。ヴァン氏は自身のこれまでの歩みと経験談を交えつつ、米ビルボードの事業概要やパートナーシップ、ブランドのグローバル展開の現状と今後の成長戦略を説明。アジア圏は爆発的な成長のポテンシャルを秘めた市場であると語るヴァン氏は、各国のビルボードと連携しながら、データやチャートに関する支援やイベントの開催、レーベルとの連携などを通して、アジアのアーティストの海外展開をサポートしていくとした上で、各国がポップスだけでなく他ジャンルもプッシュしていくことも推奨した。
プレゼンテーション5:礒崎誠二(阪神コンテンツリンク ビルボード事業本部 上席部長)
磯崎氏はまず、5月に初開催された【MUSIC AWARDS JAPAN】(以下【MAJ】)の結果レポートとして、アワード関連楽曲のストリーミング動向を発表。受賞曲とパフォーマンス曲の中で、開催後にストリーミングの増加率と増加数トップ5(国内&国外)を公開し、その傾向と違いに関する解説を行った。また、LUMINATEの”CONNECT”サービスを用いて日別の再生数推移を表示し、開催日に対してどのタイミングから効果が現れているかを説明。国外を含む他の主要アワードにおける傾向とも比較し、【MAJ】は国外に対する訴求力を伸ばしていく余地が残っていると話した。【MAJ】を一つのIPとし、それを“線”として繋げていき、最終的には様々なアーティストが様々な国々で聴かれるような“面”を作り出していく流れの始まりを示す結果に今回はなっていると説明した。また、磯崎氏は最後にBillboard JAPANの新たな取り組みとして、今秋に書籍チャートを立ち上げることを発表。紙の書籍(書店/EC)と電子書籍、サブスクリプション、図書館での貸し出しなどを合算した総合ブックチャートは日本だけでなく、ビルボードの歴史上でも初の取り組みとなる。
なお、本カンファレンスは7月4日までアーカイブ配信が行われており、全編を見ることができる。
Text by Haruki Saito, ian li
Photos by かとうりこ
◎配信情報
Streaming +『Billboard ASIA Conference』
2025年6月27日(金)18:30~21:00
アーカイブ期間:7月4日(金)23:59まで
イベントページ:https://bit.ly/bbasiastream25
受付:https://eplus.jp/billboard-asia-conference-st/
チケット:3,000円(tax in.)
※当日は、同時通訳で配信させていただきます。
アーカイブ期間中の音声も、同時通訳のままとなりますのでご了承くださいませ。
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