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今週の米ビルボード・アルバム・チャートは、バッド・バニーの『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』が約3か月ぶりに返り咲き、通算4週目の首位を獲得。2位には、米カリフォルニア州サン・バーナーディーノ出身のリージョナル・メキシカン・バンド=フエルサ・レヒーダの『111XPANTIA』がデビューして、チャート史上初のスペイン語によるアルバムが1位と2位を独占する快挙を達成した。
今年の1月5日にリリースされたバッド・バニーの『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』は、1月18日付のチャートで2位に初登場した後、登場2週目の1月25日付で1位に上昇。2月8日付まで3週間連続で首位を獲得して、今週のチャート(5月17日付)まで18週連続でTOP10にランクインした。
先週(5月10日付)の7位から今週1位にジャンプアップしたのは、アナログ盤リリース効果によるもので、アルバム換算ユニットは前週から123%増加の84,500に上昇し、首位獲得週を通算4週目に更新した。
今週の集計期間(2025年5月2日~5月8日)に獲得した84,500ユニットの内訳は、アルバム・セールスが48,000(前週比15,099%増加)、ストリーミング換算ユニット(SEA)が36,000(前週比3%減少/5,027万回オンデマンド再生回数)、トラックによる換算ユニット(TEA)は500(前週比8%減少)となっている。
ストリーミング・アルバム・チャートでは前週の5位から6位にワンランクダウンしたが、アルバム・セールス・チャートでは初の1位に輝いている。
前述の通り、今週セールスが急増したのはアナログ盤リリース効果によるもので、今週記録したアルバム・セールス48,000の内訳は、そのほとんどがLPの売上枚数を占めている。
ラテン・アルバムの週間セールスとしては、2019年6月22日付のチャートでサンタナの『アフリカ・スピークス』が記録した57,000枚以来の最高値を達成。なお、『アフリカ・スピークス』は当初コンサート・チケット購入者へのアルバム引き換え特典によって売上が押し上げられていたが、現在はこうした販売促進キャンペーンはチャートの対象外となっている。
アナログ盤(LP)のみの週間セールスとしては、1991年にルミネイトがデータの追跡を開始して以降、ラテン・アルバムとしての史上最高売上枚数を更新。これまでの最高値は、2024年1月27日付チャートでカリ・ウチスの『オルキデアス』が記録した20,000枚だったが、『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』はそれを大きく上回り、史上最高売上枚数を達成した。
『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』のアナログ盤は、ブルー・カラーの2枚組仕様・見開きジャケット付きのパッケージとして公式ウェブストア限定でリリースされた。価格は29.98ドルで、2025年2月初旬に予約受付を開始。「2025年4月末頃に出荷予定」とアナウンスされていたが、今週の集計期間に出荷されたことで売上枚数がチャートに反映したという経緯がある。
『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』のアナログ盤は、現在のところ公式ウェブサイトのみで販売していたが、既に完売しており、再販予定や他のサイトや店舗での取り扱いについてはアナウンスされていない。また、CDやその他のフィジカルでのリリースはまだされておらず、デジタル・ダウンロードでのみ購入可能となっている。
続いて、今週2位には米カリフォルニア州サン・バーナーディーノ出身のリージョナル・メキシカン・バンド=フエルサ・レヒーダの『111XPANTIA』がデビューして、グループ初のTOP10入りと最高位を更新。また、バッド・バニーとフエルサ・レヒーダが1位と2位にランクインしたことで、アルバム・チャート“Billboard 200”史上、69年の歴史の中で初めてスペイン語によるアルバムが1位と2位にランクインする快挙を達成した。
『111XPANTIA』が記録した初週のアルバム換算ユニットは76,000で、週間ユニットとしてもグループの最高値を更新。さらに、以下の項目についても記録を更新している。
・デュオまたはグループとしてのスペイン語によるアルバムの史上最高位を更新(これまでの最高位はマナーの『Amar Es Combatir』が2006年に記録した4位)
・リージョナル・メキシカン・アルバムとしての史上最高位を更新(これまでの最高位は、ペソ・プルマの『Génesis』が2023年に記録した3位)
2014年12月にストリーミングを追加したアルバム換算ユニット方式を導入して以降、以下のカテゴリでも史上最高の週間ユニット数を記録した。
・デュオまたはグループによるスペイン語のアルバムとしての週間最高ユニット数を記録(これまでの最高値は、サンタナの『アフリカ・スピークス』が2019年に記録した57,000ユニット)
・リージョナル・メキシカン・アルバムとしての週間最高ユニット数を記録(これまでの最高値は、ペソ・プルマの『Génesis』が2023年に記録した73,000ユニット)
『111XPANTIA』が初週で記録した76,000ユニットの内訳は、アルバム・セールスが39,000、ストリーミング換算ユニットが37,000(オンデマンド公式ストリーミング再生回数は5,044万回)で、アルバム・セールス・チャートでは2位、ストリーミング・アルバム・チャートでは5位にそれぞれ初登場した。
アルバム・セールスの週間記録(39,000)としては、1991年にルミネイトがデータの追跡を開始して以降、リージョナル・メキシカン・アルバムの最高記録を更新。なお、これまでの最高記録は1995年3月に逝去した故セレーナの『禁じられた愛(Amor Prohibido)』が記録した36,000(1995年5月6日付)だったが、約30年ぶりにその記録を更新したことになる。
『111XPANTIA』は、2025年5月2日に全12曲入りの通常版がデジタル・ダウンロード、ストリーミングとして解禁され、5月5日に3曲のボーナス・トラックを追加したデラックス版がデジタル・ダウンロード、ストリーミングとしてリリースされた。フィジカルは、公式ウェブサイト限定で以下のフォーマットがリリースされている。
・12曲を収録した4種類のカラー・ヴァイナル・レコード
・12曲を収録したCDの通常版
・12曲を収録した直筆サイン(リード・シンガーのみ)入りのCD
・バンドロゴ入りのTシャツとサイン入りCDを封入した2種類のデラックス・ボックスセット
・ブランドハットとサイン入りCDを封入した2種類のデラックス・ボックスセット
上記の通り、ストリーミングと様々なフィジカルで大きな注目を集めたことにより、これまでの記録を塗り替える最高値を達成した。
『111XPANTIA』からは、リード・シングルとしてリリースされた「Por Esos Ojos」が以下の各チャートでヒットを記録している。
・ラテン・ソング・チャートで最高5位を記録(2025年3月1日付)
・リージョナル・メキシカン・ソング・チャートで最高3位を記録(2025年5月10日付)
・ラテン・ストリーミング・ソング・チャートで最高5位を記録(2025年3月1日付)
・ソング・チャート“Hot 100”(総合)で最高79位を記録(2025年3月15日付)
『111XPANTIA』は、フエルサ・レヒーダにとってアルバム・チャート“Billboard 200”で通算6作目のチャートイン、通算3作目のTOP40入りしたアルバムで、TOP40にはこれまで以下の2作がランクインしている。
・『Pa las Baby’s y Belikeada』(2023年/最高14位)
・『Pero No Te Enamores』(2024年/最高25位)
・『111XPANTIA』(2025年/最高2位)
ジャンル別では、ラテン・アルバム・チャートで8作がTOP10入り(うち1作が1位)、リージョナル・メキシカン・アルバム・チャートで10作がTOP10入り(うち5作が1位)した。
ソング・チャート“Hot 100”では、これまで13曲がランクインしていて、その人気はアルバムのみならずシングルでも広く支持されている。
フエルサ・レヒーダは、ここ数年目覚ましい活躍を遂げていて、2024年には米ビルボードの年間チャートで、全ジャンルを通じて2年連続で年間最優秀デュオ/グループ・アーティストに輝いた。また、2023年にはスペイン語をメインにしたアーティストとして初めて年間最優秀デュオ/グループ・アーティストに輝き、歴史的な快挙を成し遂げている。
なお、ラテンおよびリージョナル・メキシカン・アルバムは、それぞれラテン・アルバム・チャート、およびリージョナル・メキシカン・アルバム・チャートにランクインする、またはランクインの対象となる作品として定義されている。
今週のチャートは、3位から7位までは全て1位を獲得したアルバムで構成されている。
・3位(前週2位) シザ『SOS』(52,000ユニット/前週比1%増加)
・4位(前週4位) モーガン・ウォレン『ワン・シング・アット・ア・タイム』(46,000ユニット/前週比1%減少)
・5位(前週3位) ケンドリック・ラマー『GNX』(45,000ユニット/前週比7%減少)
・6位(前週5位) サブリナ・カーペンター『ショート・アンド・スウィート』(41,000ユニット/前週比6%減少)
・7位(前週6位) ドレイク&パーティネクストドア『$ome $exy $ongs 4 U』(40,000ユニット/前週比7%減少)
上記に続き、今週8位には米テネシー州メンフィス出身のラッパー=キー・グロックの新作『Glockaveli』が初登場。以下に続く4作目のTOP10入りを果たした。
『Dum and Dummer with ヤング・ドルフ』(2019年/最高8位)
『Dum and Dummer 2 with ヤング・ドルフ』(2021年/最高8位)
『Yellow Tape 2』(2021年/最高7位)
『Glockaveli』(2025年/最高8位)
『Glockaveli』の初動ユニットは34,000で、内訳は28,000がストリーミング換算ユニット(公式オンデマンド再生回数は3,728万回)、アルバム・セールスは6,000をそれぞれ記録。ストリーミング・アルバム・チャートで12位、アルバム・セールス・チャートでは9位に、それぞれ初登場した。
『Glockaveli』は、2025年5月2日に全18曲を収録した通常版がデジタル・ダウンローおよびストリーミングとして解禁され、フィジカルは以下のフォーマットでリリースされている。
・通常版のサイン入り、サインなしCD
・3種類のアナログ盤(通常盤、カラー・ヴァイナル、サイン入りカラー・ヴァイナル)
・TシャツとCDを封入したデラックス・ボックスセット
さらに、5月4日には3曲のボーナス・トラックを追加収録したデラックス版が公式ウェブサイト限定で先行リリースされ、翌5日にはデジタル・ダウンロードとストリーミングも解禁された。
以下、モーガン・ウォレンの『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』(33,500ユニット/1%増加)は前週の10位から今週9位に上昇。デラックス版のリリース効果により先週8位に再ランクインしたシャブージーの『ホエア・アイヴ・ビーン・イズント・ホエア・アイム・ゴーイング』(32,000ユニット/前週比8%減少)は、今週10位にランクダウンした。
Text: 本家 一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは5月14日以降掲載予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』バッド・バニー
2位『111XPANTIA』フエルサ・レヒーダ
3位『SOS』シザ
4位『ワン・シング・アット・ア・タイム』モーガン・ウォレン
5位『GNX』ケンドリック・ラマー
6位『ショート・アンド・スウィート』サブリナ・カーペンター
7位『$ome $exy $ongs 4 U』ドレイク&パーティネクストドア
8位『Glockaveli』キー・グロック
9位『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』モーガン・ウォレン
10位『ホエア・アイヴ・ビーン・イズント・ホエア・アイム・ゴーイング』シャブージー
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