<ライブレポート>Ado/新しい学校のリーダーズ/YOASOBIが一堂に会した【matsuri '25: Japanese Music Experience LOS ANGELES】

2025年3月21日 / 17:00

 現地時間2025年3月16日、米ロサンゼルスのPeacock Theaterで一般社団法人カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会(CEIPA)によるイベント【matsuri ’25: Japanese Music Experience LOS ANGELES】が開催され、Adoと新しい学校のリーダーズ、YOASOBIの3組が出演した。

 ステージ上のスクリーンに「YOASOBI」と書かれた横断幕が映し出されると会場に集まった7,000人のファンから歓声が上がった。その横断幕が怪獣の手に引きちぎられながら、低音と共に怪しげな音楽が迫ってくる。そこへ「超現実の世界へようこそ」とアナウンスが流れ、ステージ中央にikuraとAyaseが登場するとファンはペンライトを振ったり、叫んだりとこれから始まる演奏への期待を表現した。そして、一瞬の静寂を経て「セブンティーン」のイントロが流れるとikuraが「【matsuri ’25】へようこそ。日本から来たYOASOBIです。 LAのみんな、楽しむ準備はできている?」と英語で煽ると、客席から「オイ、オイ」という掛け声が発生し、この日のトップバッターとして素晴らしいスタートを切った。

 「今回は日本からやって来た3組のアーティスト、Ado、新しい学校、YOASOBIで日本のJ-POPの音楽をみなさんと一緒に、最高な音楽を楽しめたらと思ってやって来ました」と今回のイベントの趣旨を説明した後、次の曲では一体感を感じたいので携帯のライトを照らしてとリクエストし、「たぶん」を披露した。

 「勇者」に続き、ライブでの疾走感と低音が心地よい「怪物」へ。「J-POPのアーティストとして、日本の音楽を世界に広げようと挑戦しています。みんなと共有できて、とても、とても、幸せです。ありがとうございます。一緒に歌いましょう」というikuraの英語のMCを挟み、「夜に駆ける」での爽快感、「群青」での合唱の一体感、そして「アイドル」でのオーディエンスのエネルギーと熱狂感が会場内に満ちた。ラスト3曲は圧巻の流れで、現在世界で公演を行えば即チケットが完売する日本のトップアーティストとしての存在を裏付けるものだった。

 15分間ほどのステージ転換が終わると、学校のチャイムが鳴り、新しい学校のリーダーズが白い旗をなびかせて客席の通路から登場。4人がステージ上で揃うと、トランペットに合わせてSUZUKAが「Hello everyone. We are 新しい学校。Everybody, are you ready?」と挨拶、「青春日本代表」という文字がスクリーンに映し出され「Change」でスタートした。冒頭から腕を振り回し、息の揃ったコレオグラフィーを披露。「Fly High」ではRINの「LA, are you ready? Jump!」という掛け声で会場は縦揺れ。「Arigato」で各メンバーが箒をマイクスタンド代わりに歌ったり、ギターのように弾いたりする姿は学生の頃を思い出させ、クスッと笑ってしまう演出だ。続いて、大ヒット曲「オトナブルー」のイントロでは待ってましたとばかりの反応が客席からあり、首振りダンスと特徴的な4人揃った振り付けで観客を魅了した。

 SUZUKAの掛け声で「Everybody, GANBATTE! Woo!」と会場も一体となって連呼したところで、「Toryanse」。イントロではファンのペンライトがステージに向かって振られ、和楽器の電子音と共に軽快なリズムで盛り上がった。またセットの途中では、歌詞に合わせて「Everybody Jump!」や「Say Yeah!」、「Say Change!」と自信を持って観客を煽る様子はさすがだ。

 東京の大都市がスクリーンに登場した後、「Tokyo Calling」がスタート。SUZUKAはステージから客席に降り、観客の間を練り歩きながら熱唱し、「We are marching」の歌詞に合わせてステージにマーチングしながら戻ってくる姿には鳥肌が立った。最後の曲「One Heart」では、「最高(SAIKO)」がスクリーンに表示されると観客も合わせて歌い、「AG want to take you higher」という歌詞がアイク&ティナ・ターナー「夜明けの願い」の日本現代版を彷彿させると言っても過言ではない、音楽で最高に高揚できる1曲だ。

 新しい学校のリーダーズのパフォーマンスを観ていると、本ライブ前に開催されたプレスカンファレンスで、クリエイティブマンのロブ・ケルソ氏が「英語は壁ではありません。今まで言い訳にしていた英語ができないことはもう通用しないのです。ラテン語で歌われる音楽をはじめ、色々な国の言語の音楽が受け入れられています」という発言に納得せずにはいられない。彼女たちは「ガンバッテ」や「SAIKO」など短い日本語の単語で観客とコール・アンド・リスポンスをしたり、「Everybody Jump!」や「Say Yeah!」などの英語で煽ったり海外公演で観客をどう楽しませるかをよく理解している。そこに加え、4人の息の合ったダンス、SUZUKAの歌唱力、各メンバーの個性があるから、チープにも大袈裟にも見えない。日本人が観ても、アメリカ人が観ても、誰が観ても最高に楽しいエンターテインメントに昇華している。そう感じるライブだった。

 次のステージ転換を経てAdo Boxがステージ中央に現れると、いよいよトリのAdoが登場。大ヒット曲「唱」でライブがスタートし、2曲目に「新時代」、1年前に北米ツアーで観た時よりもスピードも早く、歌唱もよりパワフルで尖って聞こえた「うっせぇわ」、「ラッキー・ブルート」と一気に駆け抜けていく。続いて披露された「ルル」では、Ado Boxに彼女がイスに座って踊りながら歌う様子が映し出され、視覚的にも観客が楽しめられるように工夫されていた。

 そして会場から「Let’s go, Ado」の声援が起こると、この日初めてとなるMCが挟まれた。去年1か月間、ロサンゼルスに住んだことは人生で最高の出来事だったこと、In-N-Outのハンバーガー、Macy’s(アメリカにある百貨店)がお気に入りという彼女の人柄が分かるエピソードが披露された。そして「新しい学校とYOASOBIとステージをともにできることを誇りに思います」と今日のイベントへの出演機会に感謝した。「今日は私たち日本の音楽と文化を体験しに来てくれて本当に嬉しいです。これからも私たち日本の音楽を、文化を愛してくれるととっても嬉しいです。今日は本当に最高の夜でした。ありがとうございました」と挨拶し、最後の曲で一緒に歌って踊ろうと言って「踊」を披露した。

 匿名性で顔を見せないアーティストがステージに箱に入ってパフォーマンスするなんて以前は考えられなかった。しかし、多くの人がAdoの音楽を聴いているのは事実で、彼女が海外コンサートを発表するとチケットを買い求めるファンは大勢いる。カンファレンスで【コーチェラ】やカリフォルニア公演を手がける大手イベントプロモーター、Goldenvoiceのリージョナル・フェスティバル部ヴァイス・プレジデントであるエレン・ルー氏が、プロモーターとして、今聞かれている音楽やアーティストをブッキングするようにフェスティバルも変化をしていかなければならないと言ったことと合致する。だから、Adoも昨年初のワールドツアーを大成功させ、今夏にはさらに大きい会場となるアリーナで2回目のワールドツアーを行うことができるのだ。

 今回の【matsuri ’25】に出演した3組ともすでに北米でのライブの実績があるアーティストだったが、この3組を一気に見られるのはなんとも贅沢で貴重な体験だった。そして、これからどんな日本のアーティストがこの3組に続いて世界で活躍するのか、日本人として応援せずにはいられない一夜となった。

Text by Tomoya Ogawa
Photos of YOASOBI and ATARASHII GAKKO! by YURI HASEGAWA
Photos of Ado by Viola Kam (V’z Twinkle)


Ado

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