ボブ・ディラン、「Mr. Tambourine Man」歌詞草稿が約8,000万円で落札

2025年1月21日 / 12:15

 ボブ・ディランの「Mr. Tambourine Man」の歌詞の原案が、最初にレコーディングされてからほぼ60年後、オークションで合計508,000ドル(約8,000万円)で落札された。

 この歌詞は、米ジャーナリストの故アル・アロノヴィッツが個人的に収集していた数々のボブ・ディラン関連の他の品々とともにジュリエンズ・オークションズで販売された。この中にはサイン入りの油絵や多数のオリジナル・アート作品なども含まれていた。1964年にディランをザ・ビートルズに紹介し、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの初代マネージャーとしても知られるアロノヴィッツは、1973年の記事で「Mr. Tambourine Man」とのユニークなつながりについて語っている。その記事のオリジナル版もこの品々の一部として出品されていた。

 「ボブ・ディランは、ニュージャージー州バークレーハイツにある私の家で、ある夜、途切れることなく吸い続ける煙草の煙が渦巻く中、私の白いフォーマイカ(メラミン化粧板)のブレクファスト・バーに置かれたポータブル・タイプライターの前に座って“Mr. Tambourine Man”を書いた。私が盗んだカナリア色の“サタデー・イブニング・ポスト”のコピー用紙に、骨ばった爪の長い指で言葉を打ち込み、その間ずっと、マーヴィン・ゲイが“Can I Get a Witness?”を歌っているのが、彼がいる隣の部屋の6フィート・スピーカーから何度も何度も繰り返し聞こえていた。レコードが終わるたびにボブはタイプライターから立ち上がり、針を最初に戻していた」とアロノヴィッツは綴っている。

 そして彼は、「私は、出だしを失敗したくしゃくしゃの原稿でいっぱいになったゴミ箱をブレクファスト・バーで見つけた。それを裏口からゴミ箱に捨てようとした時、私はささやきかけるような感情に捕らえられた。それはまるで幽霊のような力で気づかせ、時折そっと冷たくさせるそよ風のようだった。私はくしゃくしゃに丸められた紙を取り、それを伸ばし、突拍子もなく飛躍する文を読み、着地しなかった飛躍に一人で微笑み、その紙をファイル・フォルダに入れた。今でもどこかに保管してある」と続けている。

 販売された歌詞は、黄色い紙2枚にタイプされた歌詞の3つの草稿から構成されており、ディランの執筆プロセスを垣間見ることができる。入手可能な情報から、この歌詞は1964年3月にさかのぼると考えられている。

 ディランは1964年に「Mr. Tambourine Man」をプライベートで演奏し始め、最終的に1965年1月15日に数テイクを録音した。この楽曲は、1965年4月にリリースされたディランの5thアルバム『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』のアコースティック・サイドの最初の曲として収録された。

 同じアルバムに収録された「Subterranean Homesick Blues」がディランのシングル曲として初めて米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100″にランクインしたが、「Mr. Tambourine Man」は同チャートで1位を獲得した初のシングルとなった(同月にザ・バーズがカバー曲をデビュー・シングルとしてリリースしたものが首位を獲得した)。

 歌詞の落札は、ここ数か月の間に起きたディラン関連の出来事のひとつに過ぎない。ジェームズ・マンゴールド監督による伝記映画『名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN』により、尊敬を集めるアーティストのプロフィールと遺産が世間から再注目されている。この伝記映画を発端とするディランへの反応は広範囲に及び、非常に大きなものとなった。彼の音楽カタログは、現地時間2024年12月26日に終わる週に全米でのオンデマンド・ストリーミングが1,160万回となった。


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