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クリス・マーティンは、非常に落ち着いた人物として知られている。コールドプレイのボーカルである彼は常にリラックスした様子で、ポジティブなエネルギーと“ハグしようぜ”という雰囲気を絶えず放ち、過去2年間にわたってバンドの記録的な【ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ】ツアーで、世界中のスタジアムを連夜満員にしてきた。
そして米ローリング・ストーンの最新のカバー・ストーリーでも、彼は大部分でまったく動じることなく、バンドの音楽が何を意味し、世界が彼らの活動理念をどのように受け止めているのかを徹底的に受け入れているように見える。すなわち、平和と愛こそが答えだ。
クリスは同誌に対し、「世界平和についてこういったことを言っているとき、僕は自分自身の内面についても語っているんです。自分を憎まないようにするのは日々の取り組みです。外からの批判はともかく、内なる批判もあります。それが僕らの今の使命なんです、すべてに対するアプローチが愛であることを示す旗を意識的に掲げようとしています。その哲学をあれほど多くの人々の前で擁護することができるグループはそれほど多くありません。だから僕らがそれをやる。そして自分もそれを聞かなければならないんです。諦めて、苦々しく思うようになって、ひねくれて隠れて、みんなを嫌いになってしまわないように。そんなことはしたくないけれど、とても誘惑に駆られます」と述べている。
この特集記事の大半はおなじみの話題、つまりコールドプレイが“クールではない”ことについて言及されている。だが結成28年、アルバム総売上枚数1億枚、これまでのツアーで1,000万枚以上のチケットを売り上げてきた今、クリスは改めてコールドプレイらしさに前向きに取り組み、人々がバンドについて何を言おうと、何を考えようとまったく気にしないと言いきった。
バンドのトレードマークであるハッピーな世界平和の戦士のようなヴァイブスから変化を求められることについて、「“まあ、少しはこう見せたり、ああ話したりした方がいいかもしれない”というようなこともありましたが、今では、ただ“ノー”って感じです。送られてきたものに従うだけ。それがとても自由な場所なんです。もしパペット人形に歌を歌わせたいなら、まあ、これを好まない人もいるでしょう。例えば僕の母もその一人です。でも僕が言いたいのは、“まあ、あなたのことは大好きだし、これはやるんですよ”というのが僕の旅の一部だということなんです」とクリスは語った。
確かに彼らはツアーでパペットと一緒に歌い、テーマに沿った衣装を身にまとっている。そして最新アルバム『ムーン・ミュージック』を宣伝するためにQVCに出演した。しかしクリスにとって、時に嘲笑的な中傷の矢は“あなたはやりたいようにすればいいし、自分もやりたいようにする”というゲームの一部であり、不思議なほど落ち着いたこのシンガーはそれを受け入れるようになったと語っている。彼は、「もし誰もが(同じものを好きでなければならない)社会に住んでいたらひどいことです。僕らはとても、とても安全な的なんです。僕らは反撃しません。イギリス出身の白人の中流階級の男4人組です。(我が国民が)してきたことのツケをある程度払うのは当然です。僕らが世界中で演奏できるのには理由があり、その一部は必ずしも健全なものではありません」と語っている。
【ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ】ツアーは、紙吹雪、踊る宇宙人、4回の花火、動くダンスフロア、サテライト・ステージを動かすエクササイズ・バイクといった圧倒的な視覚的エンターテイメントに満ちており、抗いがたいほどスウィートで感動的な瞬間が十分に用意されていることからミッキーマウスのスターライト・パレードのようにも感じられることがある。だがこれに関してもクリスはまったく気にしていない。
「その演出もすべてその一部なのかもしれません。“OK、ここでは数時間だけ、誰もがお互いを憎み合わない場所で存在しよう”という意味では、少しディズニーランド的です」と彼は述べ、「地球上で2番目に幸せな場所。著作権、コールドプレイ」と続けた。
クリスは、息子のモーゼス(18歳)をよくからかっていることや、娘のアップル(20歳)への尽きせぬ愛情など、ほとんどの話題についてオープンに語っているが、長年の恋人で婚約が報じられている女優のダコタ・ジョンソンとの関係については別だ。二人の関係が冷めてしまったのではないかというタブロイド紙の噂を受け、クリスはローリング・ストーンに対し、それは自分が語るべきことではないと述べた。
彼は、「(恋愛は)すべてにおいて非常に大きな要素であると言っておくことが重要です。それを大切に、プライベートなこととしておくのが正しいと感じるとしても、その力を否定しているわけではありません」と語った。しかしインタビュアーは、クリスが会話の中で、最近一緒にケイシー・マスグレイヴスのアルバム『ゴールデン・アワー』を聴いたことなど、ダコタについて何度か軽く言及していたと指摘している。また、彼が“ほんの一握り”しかいないという親友の中にはコールドプレイのマネージャー、バンド・メンバー、子どもたち、そしてダコタがいると明かした。
クリスはまた、ポップ・スターダムの栄枯盛衰のサイクルと、それがもたらす代償についても痛感しており、“自分の立場を思い知らされる”ような、他のミュージシャンたちを謙虚な気持ちにさせ、インスピレーションを与えるような新人やアルバムが毎年リリースされると指摘している。彼にとって、今年それはチャペル・ローンだった。突然注目を浴びるようになったことに苦労していると率直に語っているチャペルについて、クリスは、「彼女が大丈夫だといいのですが」と気遣った。
「若い人にとって、特に(ソロ・アーティスト)の場合は大変でしょうね」と彼は付け加え、長年の友人でありバンド仲間であるベーシストのガイ・ベリーマン、ギタリストのジョニー・バックランド、ドラマーのウィル・チャンピオンが一緒にいてくれたことに感謝した。
最後にクリスは、地球上で最も愛され、最も酷評されるバンドであることの緊張感をこう要約した。「最初は3人のファンのいるバンドで、バーにいた1人の男が“お前らはクソだ”と思った。そして、3,000人のファンのいるバンドになり、ネット上で10人のやつらが“お前らはクソだ”と思っている状態になる。そして世界最大のバンドになればなるほど、世界で最も人気のないバンドにもなるんです。そこから逃れることはできない。勝つことだけを求めれば、決して勝つことはできません。光が強ければ強いほど、影は濃くなるんです」と彼は述べた。
また、彼は再びバンドにはあと2枚のアルバムしか残っていないという見解を繰り返した。彼とマネージャーのフィル・ハーべイが共同執筆しているアニメーション・ミュージカルと、バンドの原点に戻った最終的なセルフタイトル・アルバムだ。「このアルバムのジャケットは1999年から知っていました」と、コールドプレイの初期を彷彿とさせるこのイメージについて語った。
とはいえ、コールドプレイのアルバムに収録されなかった曲を集めたアルバム『Alphabetica』をぜひリリースしたいとも思っているようだ。このアルバムでは、これまで未収録だったアウトテイクや孤立した楽曲がアルファベット順に並ぶことになる。彼は、「Qがつく予備の曲がないんですよね。それが僕の悩みの種です」と嘆いている。
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