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11月5日~7日に開催された【第21回東京国際ミュージック・マーケット】にて、日本の音楽マーケット分析・ライブエンタメ最新事情のセミナーが開催された。
今回のセミナーでは、コンサートプロモーターズ協会の常務理事、長井延裕氏とビルボードジャパンの礒﨑誠二が登壇。以下、同イベントの模様をお届けする。
はじめに、礒﨑から世界の音楽マーケットの現状が説明された。1位のアメリカは、突出したシェアを獲得しており、2023年以降、米国におけるライブエンタメの総収益がストリーミングを中心としたコンテンツ収益を上回ったとのこと。一方、日本においても、ライブエンタメは2014年から音楽マーケットを牽引し成長してきた。また、日本のマーケットの特徴として、フィジカル売上のシェアが米国より高く、顧客単価の高い層が日本の音楽マーケットを支えていると推測できるという。
礒﨑は、アメリカの人口が日本の約3倍に対して、音楽市場の規模は約8倍であることから見ると、日本のマーケットがさらに成長する可能性もありうると指摘。さらに、「(海外アーティストの)さらなる成長を実現するキーとなるのは、いかに可処分所得の高い層にリーチするかだ」と指摘し、日本のマーケットに秘めた成長可能性を考えると、K-POPが日本で成功したのと同じように、他国の楽曲・アーティストが日本でのシェアを拡大していくことは不可能ではないと述べた。
後半では、長井氏から日本のライブエンタメ産業の現状と今後の予測が述べられた。長井氏によると、現在、公演数、動員数、総収益のすべてがコロナ禍から回復し、コロナ前の2019年を上回っている。2023年の総動員数は5,000万人、総収益は5,000億円を超えており、その要因としてKアリーナ横浜やぴあアリーナMMをはじめとするアリーナ級の会場が多数首都圏に新設されたこと、コロナ禍によって大きく影響されたホールやライブハウスでの公演数もコロナ前の水準に回復したことが挙げられた。また、K-POPアーティストによる大規模公演も、ライブエンタメの成長に寄与しており、K-POPの公演数は全体の1.9%程度にもかかわらず、売上は全体の13%となっていると指摘した。
そして、長井氏は音楽フェスも近年動員数と市場規模の両方で成長を見せていると説明。礒﨑は、ビルボードジャパンのチャートにカラオケ指標を加えた原因が、当時、大学生たちがカラオケで新曲の情報を知ることが多かったことを例に挙げ、音楽フェスや短尺動画と同じく現在のリスナーにとって新しい音楽と出会う場となっていると付け加えた。2人によると、音楽の聴き方の変容と、ライブエンタメの体験との相関関係を解明することが、日本だけではなく、各国のマーケットを拡大する上で重要な課題になる。また、リスナーの可処分所得および可処分時間は有限であることから、体験価値の高い音楽フェスの重要性が増し、さらに成長していく余地はあるだろうと長井氏は分析した。
最後は、「今後の日本におけるライブエンタメの発展」をテーマに、二人の対談が行われた。話題は多岐にわたり、チケット価格の多様化、人口動態変化の影響、地方公演施設整備、そして海外アーティストとのコラボイベントなどが挙げられた。
日本人アーティストの海外進出を後押しする日本政府の政策や、ビルボードジャパンのグローバル・チャートをはじめとするデータの蓄積は、着実に進んできている。そんな中、さらに来年は5月に【MUSIC AWARDS JAPAN】が初開催。日本と海外との連携がさらに活性化されることが期待できるセッションだった。
◎イベント情報
【第21回東京国際ミュージック・マーケット ビジネスセミナー
日本の音楽マーケット分析・ライブエンタメ最新事情】
2024年11月7日(木)
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