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韓国のボーイズグループ・NCTのメンバーのユウタが、ソロデビューを記念した初の単独ショーケースツアー【YUTA Solo Debut Showcase Tour ~HOPE~】を、10月5日の福岡公演を皮切りにスタートした。本稿では、東京公演最終日となった10月18日の東京・TOKYO DOME CITY HALLでの公演をレポートしていく。
NCT/NCT 127として2017年に韓国でデビューし、2018年に日本デビュー、そして2024年10月3日にソロデビュー・ミニアルバム『Depth』を配信リリースしたユウタ。所属する事務所のSM ENTERTAINMENTでは、今でこそジゼル(aespa)やショウタロウ(RIIZE)などの日本人メンバーが活躍しているが、ユウタはSM ENTERTAINMENTからデビューした初の日本人メンバーとして知られている。そんな彼のソロデビューには多くの関心が寄せられていた。
開演時刻になり会場が暗転すると、ステージ上のビジョンにユウタの様々な表情を見せる映像が流れ始め、観客は食い入るように見つめる。5分ほどの映像の後、バンドセットの真ん中の椅子にユウタが現れ、「New World」からライブがスタート。「Are you ready? 東京」の声に、観客が大歓声で答える。ロングコートのフードを深くかぶり、顔はほとんど見えないのに、すでにただならぬオーラがにじみ出ていた。
1曲目からあっという間に会場を彼の世界観に染めた後、「Save You」を披露。サビ前の〈Live or die/Bring it on/Bring the noise〉の掛け声で、一気に会場の一体感を増していく。ラストのサビ前でフードとマスクを外し、ユウタの表情が照明に照らされると、鳴り止まない歓声が沸き起こった。続く「Two Of Us」は、ヘッドバンギングから曲がスタート。ヘヴィでパンチ力のあるサウンドで会場全体を揺らし、それに観客も答え、未発表曲にも関わらず凄まじい盛り上がりを見せた。
「楽しんでるか、東京?」と言いながら口でグローブを外す姿に悲鳴が上がる。「今日はみんなと一緒にこの曲を歌いたいなと思います。みんなもう準備できてんの? みんな一人ひとり違っていいからな。騒いでいっちゃいな。俺たちの力見せつけてやろうぜ。let’s go!」とメッセージを届けた後、「Possiboo-hoo」へ。「みんなの声、聞かせてくれ!」という掛け声とともに、間奏では〈OH-O-HOOO〉と観客とシンガロングを繰り広げた。
続いて妖美なピアノのサウンドから披露されたのは、L’Arc~en~Cielの「浸食 -lose control-」。ユウタは以前からL’Arc~en~Cielのボーカル・HYDEのファンと公言していたが、今回の公演でも随所にHYDEへのリスペクトが感じられた。2023年6月17日に投稿されたユウタのInstagramのポストでは、HYDEとのツーショット写真とともに、コンサートの感想と「俺もいつかちぎれるぐらい首振りたいし、振らせたい」とコメントしていたが、その言葉を実現するべく、ヘッドバンギングなど、ユウタもファンも各々の楽しみ方で楽曲を堪能していたようだ。
優し気なピアノリフから始まった「PRISONER」では、ステージ上のカゴに入り歌唱。〈囚われてる Prisoner〉という歌詞のとおり楽曲の世界観とマッチした演出を、ファンは食い入るように見つめた。「Goodbye」では、ビジョンに時間が巻き戻っていく時計の映像が映し出された。NCTのメンバーとして歩んできた今までと、ソロのアーティストとしてステージに立つ時間を肯定するかのように、会場全体で赤いライトが揺れていた。
「ここからみんなで一緒に歌ってみようか? この歌みんな知ってるよな? 俺たちの力見せてやろうぜ東京!」という煽りで歌い始めたのは、HYDEが作曲・プロデュースした中島美嘉の楽曲「GLAMOROUS SKY」。ステージを左右に走ったり、客席の前列に降りたり、ユウタ自身がリミッターを外し楽しんでおり、何よりファンとともに嬉しそうに歌唱する笑顔が眩しかった。
ここまで10曲を歌い上げたユウタ。「元気か? 東京」という問いかけに「元気―!」とファンも負けじと答えると、「やっぱりスタンディングだからかしんないけど盛り上がっちゃってね、今年で29ちゃいになるんだけどね、俺もちょっとランニングマシーンとかに乗んないとダメかな?」と会場の熱さに満足気な様子。本公演はBlu-rayとして映像作品化するということで、「みんなのかわいい、かっこいい素敵な声をこのカメラたちで押さえてるんで、カメラに向かって大きい声聞かせてもらえるかな? 東京、声頂戴! もっと!」という問いかけに割れんばかりの歓声が返ってくる。
その熱気を保ったまま、「やっちまうか、東京!? やれんの!?」の煽りから始まったのは、ミニアルバムのリード曲「Off The Mask」。会場に赤いレーザービームが飛び交い、ラウドなサウンドとエネルギー大放出の歌声が響く。〈全てを脱ぎ捨てて〉と歌いながらトップスを脱ぎ、〈誰に何も「言わせねえよ!!」〉とシャウト。会場全体がこの日一番の盛り上がりを見せた。続く「Butterfly (Depth Ver.)」では、打って変わって感情の芯を震わすような情緒的な歌声を聞かせる。一筋のスポットライトが、彼の金髪を照らしていたのがとても綺麗だった。
一度ステージから去った後、Tシャツとジーンズに着替えたユウタが再登場。「12曲続けてお見せしたんですけど、今回のアルバムで、これから俺が1アーティストとしてこういう姿でやっていくんだっていうのが頭の中にずっとあったので、パフォーマンスを見ていただきたくてショーケースをさせていただくことになりました。ありがとうございます!」と挨拶すると、「ショーケースにしては曲数多いよね? コンサートの予行練習みたいな感じでね。来年はコンサートしたいからね」と嬉しい言葉も漏らした。「TMIを言うとね、大先輩でもある小沢の兄貴(小沢仁志)と青柳翔さんが見に来てくれててね、いつもの150倍くらい緊張したよ!」と大先輩の前でパフォーマンスをした緊張を吐露する場面も。そして12曲を振り返りながら、NCT 127とは違う新たな世界にみんなを招待したいという思いを込めて「New World」から公演をスタートさせたこと、今までで一番「Possiboo-hoo」の掛け声が大きかったこと、「Prayer」では何かにすがって生きていくしかない人間の弱さを表現したかったことなどを語った。
ファンからの質問に回答するコーナーでは、「歳を重ねてから人と仲良くなるきっかけはどんなことが多い?」という質問に「俺ね、本当に友達少ないの。そっちの方がみんなも嬉しいでしょ?(笑)」とファンの気持ちに寄り添う返答に、会場からは笑いが起こった。「新しいことにはどんな意気込みで挑戦している?」という質問には、今回のショーケースツアーに挑戦することが怖かったことを明かした。「本当に怖くて、どうしようと思った夜もあったし、不安との闘いの日々でもあったんだけど、人って新しいことに挑戦してそれを乗り越えていく、それでしか成長できないと思ったんだよね。不安とどういう風に向き合って戦っていくか。本当に、辛いときにはここにいるスタッフにすごく支えられています。周りの人に助けてもらいながら新しい自分と向き合って、成長していく人生になれるとすごく素敵だよね」という回答には拍手が沸き起こった。
30分間のトークコーナーもあっという間に終了し、最後に「BAD EUPHORIA」を披露。ステージの端から端まで走り回り、シンガロングを煽り、会場全体で大合唱が巻き起こる。「最高、ここにいるみんな、俺のこと好きなんだろ!? 次東京に帰ってくるときはもっともっと腕上げて、もっと最高のパフォーマンスをみんなにお見せするんで、お前ら首洗って待っとけよ!」、「愛してるぞお前ら!」とファンに特大の愛を伝え、鳴り止まない拍手の中、ステージを後にした。
アルバム収録曲含め、披露された楽曲は、NCT 127とはまた違ったパンキッシュな楽曲が多かったが、サウンドとは裏腹に会場は始終とても温かな心地よさがあった。きっと、彼の持つ特有の優しさと、培ったファンとの絆がゆるぎない強さでそこにあったからだろう。ライブが終了した後、彼が表現したかった音楽、見たかった景色はこれだったのかとすごく腑に落ちたと同時に、ユウタのソロアーティストとしての今後に、より期待が高まった夜だった。
Text by Sakika Kumagai
Photos by 田中聖太郎写真事務所
◎セットリスト
【YUTA Solo Debut Showcase Tour ~HOPE~】
※2024年10月18日(金)公演
1. New World
2. Save You
3. Two Of Us
4. Possiboo-hoo
5. 浸食 -lose control-
6. Prayer
7. LAST SONG
8. PRISONER
9. Goodbye
10. GLAMOROUS SKY
11. Off The Mask
12. Butterfly (Depth Ver.)
13. BAD EUPHORIA
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