<ライブレポート>DEAN FUJIOKA、初のビルボードライブ・ツアー完走

2024年10月9日 / 21:00

 ミュージシャンや俳優、モデル、映画プロデューサーなど様々な分野で活躍し続けるDEAN FUJIOKAが、初のビルボードライブ・ツアーを開催した。

 ミュージシャンとしては2013年に日本で本格的な活動をスタートし、昨年はその10周年のアニバーサリー・イヤー。2枚組となる初のベストアルバム『Stars of the Lid』のリリースや、それを携え初の日本武道館ライブ『DEAN FUJIOKA Live 2023 “Stars of the Lid” at 日本武道館』の開催などが話題になったのも記憶に新しい。今回、東京、大阪、横浜の3会場で行われたビルボードライブ・ツアーは、それぞれ2ステージを2日ずつ、合計12ステージとなるが全てが満員。DEAN本人もMCで「狭き門をくぐり抜け、よくお越しくださいました」と感謝の言葉を述べていたように、激しいチケット争奪戦を勝ち抜いたオーディエンスの熱気が終始場内に満ち溢れていた。

 筆者が観たのは神奈川・ビルボードライブ横浜初日の1stステージ。自身の楽曲「Sweet Talk」から拝借し「Sweet Talk Band」と名付けたバンドのメンバーは、バンドマスターで三浦大知やゴスペラーズ、EXILEなどのサポートも務めてきた上條頌(Gt)を筆頭に、T-SQUAREのメンバーでDREAMS COME TRUEやLittle Glee Monsterらのツアーにも参加してきた坂東慧(Dr)、さらに滝元堅志(Ba)、PENNY-K(Key)、石田まり(Key)、かわ島崇文(Sax)、さらにTHE SOULMATICの寺澤由依(Chor)、チャーリー岡村(Chor)の8人。定刻となり、まずは彼らがステージに登場し軽く肩慣らしのセッションを繰り広げた後、遅れてDEANがステージに登場すると、会場からは大きな歓声と拍手が巻き起こった。

 ヘンリーネックの白いシャツに白のダブルジャケットをはおり、黒いパンツというスタイリッシュな装いで登場したDEAN。スポットライトに照らされ、眩しそうに手をかざすその姿は、そのライトの奥に隠れたゴーストを探し求めるかのよう。披露したのはもちろん「Searching For The Ghost」。ドラマ『シャーロック』のオープニング・テーマとして、2019年にリリースされたスリリングなソウルチューンだ。ビートに合わせてステップを踏み、両手を使ってまるでジェスチャーのように歌詞世界を体現していく。客席のあちこちで、サイリウムを振りながら固唾を呑んで見守るオーディエンスに応えるように、彼はさらに一歩前に進み、まるで舞台上の物語に引き込むように視線を送り込んだ。

 続く「Teleportation」では、一転して軽快なリズムが会場を満たす。それに合わせて体を揺らしながら、DEANが両手を高く上げてハンドクラップを誘うと会場は一体感に包まれた。抑揚たっぷりのポップなメロディを、伸びやかかつソウルフルに歌い上げる彼に、あちこちから声援が飛び交う。

  「日本武道館の公演からおよそ1年ぶりのワンマンです。だいぶ時間が経ってしまったけど……でも見てくださいよ、この距離感!」と、ステージとテーブルの距離の近さをユーモラスに強調すると、会場は一気に和やかなムードに。「ちょっと踏み外したら大事故になりかねないし、油断するといろんなものを(前のテーブルに)飛ばしてしまいそう。勢い余って最前列の人を蹴り上げたりしないように気をつけなければ……」とさらにジョークを重ねると、「(蹴り上げても)いいよー!」とオーディエンスも乗ってくる。「いやいや、初のビルボードライブなのにいきなり出禁になっちゃうよ!」とDEANがツッコミ返し、会場は大きな笑いに包まれた。

 そんなファンとの親密でユーモアたっぷりのやり取りと、演奏が始まった途端に見せるエモーショナルかつ華麗なパフォーマンス。このギャップもまた、DEANの魅力の一つといえよう。

 その後もベストアルバム『Stars of the Lid』に収録されている彼の代表曲を軸としながら、ライブは進んでいった。DEANは豊かな低音ボイスから、伸びやかなテナーボイス、かと思えば突き抜けるような美しいファルセットボイスまで、様々な声色を使い分けて楽曲の世界観をドラマティックに表現。特にネオソウル風味のヘヴィなナンバー「Shelly」では、コーラス隊を率いてカーティス・メイフィールドやプリンスも「かくや」と言わんばかりのハイトーンボイスを披露し、フロアからは割れんばかりの拍手が巻き起こった。

 ベストアルバムの表題曲で、書き下ろしの新曲でもある「Stars of the Lid」の後半ではオーディエンスとシンガロングして再び会場を一体感に包みこむ。アンコールは、曲だけでなく長めの「トークコーナー」も設け、DEANも重要な役どころで出演している映画『ラストマイル』の気になる撮影エピソードトークなどで、オーディエンスを大いに沸かせていた。

 さらに、アンコールでは「ポゴシプタ」をフル韓国語でカヴァー。ラストはNHK連続テレビ小説『あさが来た』よりDEANが演じた五代友厚の名言「グッバイゆうても、また会える!」を全員でコール&レスポンスしてこの日のライブを締め括った。

Text:黒田隆憲
Photo:Masanori Naruse
 

◎公演情報
【DEAN FUJIOKA】
8月7日(水)、8日(木)大阪・ビルボードライブ大阪
8月11日(日)、12日(月・祝)東京・ビルボードライブ東京
8月26(月)、27日(火)神奈川・ビルボードライブ横浜
※全公演終了


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