エンターテインメント・ウェブマガジン
SuGの39日間限定復活ツアー完遂後「不道徳」「怠惰 feat.GOMESS」「悪党feat. ADE SARIVAN」と新たな世界観の作品を立て続けにリリース。5月25日には最新シングル「SLY DEVIL feat.Mek from Saint After Six,BLVELY」を発表し、そのタイトルを冠した世界ツアー【SLY DEVIL WORLD TOUR】を直前に控えた武瑠のオフィシャルインタビューをお届けする。
<SuG限定復活ツアー完遂後の精力的な活動と葛藤>
--「不道徳」がiTunes Store(台湾)のJ-POPトップミュージックビデオ1位、総合J-POPトップミュージックビデオ1位を獲得しました。なぜ台湾で今この曲が注目を集めているんですかね?
武瑠:普通にちょっとよく分からないです(笑)。しかも徐々にランクアップしていったんじゃなくて、圏外から一気に1位にランクインした感じなので、イマイチ理由が分からないんですよね。何かで紹介されたのかもしれないですけど、その何かも分からなくて。でも、これと言ったプロモーションもしていない台湾でこういう結果が出たのは嬉しいです。
--SuGの39日間限定復活ツアー完遂後、その「不道徳」を武瑠名義の1stシングルとしてリリースして以降、今日まで怒涛のスケジュールが続いていますが、どんなモードで活動している感じですか?
武瑠:ずっと制作していて、ライブもしていて、そんな中で海外ツアーの準備もしていたので、ひとつひとつのことを思い出せないぐらいなんですよ(笑)。海外に関してはいろんなトラブルがあって、とにかく状況が2転3転していくし。お互い第二外国語でやり取りしているから、細かいニュアンスが伝わらなくてすれ違うこともあるし。あと、時差があるから早朝に連絡しなきゃいけなかったり。そんな中でリリースラッシュしているので、本当は6月にも新曲を出そうと思っていたんですけど、ひとつひとつ綺麗にプロモーションできていないなと思ったのと、そもそも今の時代に合った広げ方についても捉え切れていないので、ちょっと考える時間ほしいなと思って辞めたんです。
--ちなみにそれはどんな楽曲なんですか?
武瑠:勢いでサクっと出したくないクオリティのバラードなんですよ。「ぼくのじゃない」以来の。それをどんな風に届けるべきなのか今練っているところなんですけど、今はさらに違う新曲を同時並行で制作していて(笑)。ただ、これだけ畳み掛けるように制作はしているんですけど、何かを決定したり、アイデアを出したりするのに以前より時間がかかるようになっていて。その理由としては、単純に題材を過去に塗り潰してきちゃっているんですよね。例えば「ハロウィンのこういう感じ……それはSuGの「Pastel Horror Yum Yum Show」でもうやってる」「安全ピンで繋げた何か……それも「不完全Beautyfool Days」でやってるわ」「恋愛の歌詞を書こう。あ、この単語や文法は「ぼくのじゃない」で使ってる」みたいな。
--SuGの結成からカウントすると17年。幾多数多の独自の表現方法をしてきていますからね。
武瑠:トータルで190曲ぐらい制作しているし、自分のファッションブランド『million dollar orchestra』とかのクリエイティヴも含めると、とんでもない数のアイデアや好きな言葉を過去に使ってきている。そういう意味で今は物凄くハードルが上がってきているので、以前と同じスピードでは以前より高いクオリティのモノは創れないんです。
<WACKのASPや最新のXGを見て「時代とのチューニング」>
--だから、キャリアを長年積んできた人たちはリリースの速度を落とすわけじゃないですか。でも、武瑠くんは怒涛のリリースラッシュしちゃってるっていう(笑)。
武瑠:ペースが凄すぎますよね(笑)。曲の根幹は出来ちゃうんですよ! 音楽は生まれ続けている。でも、それに対するMV撮影とかの案を考えるのがキツいんですよね。どういうコンセプトにするか。どういう撮り方をするか。どういうテーマでスタイリングやデザインを組んでいくか。スタッフィングはどうするか。これがマジでしんどい。自分で「3D音楽」を掲げて、曲だけじゃなく総合で表現することをずっとやってきたので、これはもうやるしかないんですけどね。よくこのペースでやっていたなと思いますよ。
--以前はなんでそのペースでやれていたんだと思います?
武瑠:sleepyheadの最初の2年とかも明らかに無茶なオーバーワークをしていたんですよ。それは怒りとかネガティヴな感情を燃料にしていたからで、正常なモードだったら絶対に無理だったと思うんです。生き急いでいたというか。さっき、渋谷でWACKの「無茶しないと、WACK WACKできない。」という広告を見て「めっちゃ分かる!」と思いましたもん(笑)。あのときは明らかに無茶をしていた。でも、今の戦い方としては、無茶はちょっと違うような気がしていて。もっと削ぎ落として精査していくべきだなと。
--具体的に言うと?
武瑠:それこそWACKのASPとか、最新のXGとか、20年前ぐらいのファッションやカルチャーをリミックスしているような人たちが今すごい出てきていて。あれって自分の根幹にあるファッションやカルチャーなんですよ。見た目は盛っているのに音数少ない感じとかもすごく今っぽいし、そのバランス感も含めて自分の趣味と時代がハマってきている感じがするんです。それは過去にあんまりなかった感覚で、今は自分がやりたいことをやればど真ん中っぽく映るのかなって。ずっと時代の一歩先や二歩先をやってきていたと思うんですけど、今は半歩先ぐらい。だから時代とチューニングが合ってきた。なので、そういうことを精度を上げてやっていきたいんですけど、今の体制でそれを量産するのは難しくて。
--それは時間が足りないから?
武瑠:やっぱり時間ですね。クリエイティヴに集中できればやれると思うんですけど、例えば最近だと会社の決算があったり、それこそ海外のイベンターとのやり取りがあったり、そういう事務的な作業や社長としてやらなきゃいけないこともたくさんあるので、今はそこをどうクリアーしていくかが課題ですね。打開案はあるんですけど、それもどうするか今考え中です。
<中島みゆきの名曲と『進撃の巨人』着想の新曲>
--そんな中で「不道徳」「怠惰 feat.GOMESS」「悪党 feat. ADE SARIVAN」そして、最新シングル「SLY DEVIL feat.Mek from Saint After Six,BLVELY」とリリースしてきたわけですけど、タイトルだけ並べてみると完全に悪い奴ですよね(笑)。
武瑠:別に狙っていたわけじゃないんですけどね(笑)。でも、基本的にヴィランが好きなんで。悪魔のほうが好きなんですよね。ドロドロした悪魔が好きなわけじゃないんですけど、例えばSuGのときは『キック・アス』とかを完全に意識していて。ポップなダークヒーローみたいな。そのあと、sleepyheadでは『ダークナイト』みたいな上質な闇がテーマになっていて。で、今はまた自分自身をアイコン化するモードに戻ってきているのかなと思いますね。でも「SLY DEVIL」に関しては、ただバンカラ(生バンドのカラオケ)しながら呑んでいたときに、みんなで中島みゆきさんの「空と君のあいだに」を歌っていて。「君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる」という歌詞が改めてめっちゃ良いなと思ったんですよ!
--まさかの『家なき子』主題歌がモチーフ?
武瑠:完全にそのフレーズが着想ですね。それと、そのときに観ていた『進撃の巨人』。エレンの為だったら人類なんて関係ない、私はエレンを守るっていうミカサの在り方。そもそも絶対的な正義って存在しないわけで、どっちかが100%正しいってことはなくて。それをテーマに描いたのが『進撃の巨人』だと思うんですけど、何が正しくて間違っているかは分からない。でも、中島みゆきさんの「君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる」という歌詞と同様、ミカサの想いだけは絶対的に信じられるものなのかなって。とは言え、自分は悪になりきれないというか、ひとつだけの価値基準で生きていけないなと悩むこともあるんで、憧れみたいなものもあって「SLY DEVIL」は生まれたんだと思います。
--「ひとつだけの価値基準で生きていけない」とどんなときに悩んだりします?
武瑠:前みたいに「これやって嫌われてもいいや」って思えなくなっているんですよ。「この人たちを助けてあげなきゃいけないしな」とか「この人たちに助けてもらってるしな」って思うから、かつての「明日死んでもいいや」マインドとは違う戦い方をしなきゃいけないんですよね。アルバムと小説で描いた『センチメンタルワールズエンド』までは「いつ死んでも構わない」と思って活動していたし、今もその感覚が完全になくなったわけではないんですけど、そのモードから踏み出そうと思っての今なので。あと、単純に今の時代「嫌われてもいいや」と思ってめっちゃケンカしたり、酷いことされたからって酷いことを言い返したりしたら、その相手の心が壊れちゃたりするじゃないですか。だから、やり返しちゃいけない。許せないような失敗をされても指摘しちゃいけない(笑)。
--殴り合って最後はシェイクハンドの時代じゃないものね(笑)。
武瑠:それやったらもう一発で終わりじゃないですか。ただ、今の時代は気を遣わなきゃいけない範囲が際限なくなってきていますよね。誰にも嫌われないように、誰も傷つけないように生きていかなきゃいけない。その八方塞がり感のストレスが自分の派手な世界観をまたバーン!と打ち出させたんでしょうね。あまりに窮屈で「もういいや、嫌われても!」と爆発してしまいそうな感覚があって「SLY DEVIL」が生まれたのかも(笑)。
<「ただ楽しい音楽を……そんなの無理だ!」>
--その爆発感は感じました(笑)。
武瑠:新章「深世界」を掲げて活動してきて、来年にリリースするであろうアルバムのタイトルが自分の中で先日決まったんですけど、結果的に「深世界」じゃなくなりました。当初は、SuG限定復活とかも通して『センチメンタルワールズエンド』の先の世界に繋がっていく『深世界』というアルバムにしようと思っていたんですよ。もっとハッピーな気持ちで世の中のことをより知って、もっとポジティブなモノを届けていく。それを理想論として掲げていたんですけど、毎日SNSとか見てると頭おかしくなりそうになるし、負の力に塗れている世界が目の前に広がっているから「ただ楽しい音楽を……そんなの無理だ!」と思って(笑)。知れば知るほど怖いことがいっぱいありすぎるから。そんな中で何を描けばいいんだろうと考えながら「不道徳」「怠惰」「悪党」「SLY DEVIL」と曲が揃ってきた段階で「次のテーマはこれだな」と思えるものが出てきたんですよね。それを次のアルバムのタイトルにしようと決めました。
--そのアルバムの一端も担うであろう「SLY DEVIL」。フィーチャリングアーティストとしてタイのMek from Saint After Six、武瑠くんのファンにもお馴染みのギタリスト・tatsu(BLVELY)が参加。ジャケットアートとキャラクターデザインにイラストレーター・雪下まゆ、イラストの悪魔の3DモデリングにKatsuma(coldrain)、そのアニメーションをstrings VYが担当と多数のクリエイターが携わっています。
武瑠:世界観は90年代のスタイリングとかに寄せていったんですけど、キャラクターやアニメーションを創る作業があったので、いつにも増して大変でしたね。当初は別の人とMVの企画を立てたんですけど、曲の世界観と合わなかったからボツにして、今挙げてもらった面々とやり直したりもしたので。時間がなくて速攻で進めなきゃいけなかったから、自分でビデオコンテを作ったんですよ。在りものの動画とか引っ張ってきて「この感じでお願いします!」ってみんなに共有して。分業での制作になったんですけど、本当にみんな参加してくれてよかったです!
--これまで国内アーティストをフィーチャリングアーティストに迎えることは多々ありましたが、タイのMekとはどのような経緯でコラボレーションすることになったんですか?
武瑠:Mekはシンプルに友達なんですよ! いきなりインスタフォローされて「有名人っぽいな。誰だろう?」と思いながらリフォローして。で、タイに行ったときに「案内してよ」ってお願いしたら来てくれて、それで一緒に遊んで。Mekが来日したときは俺が日本を案内して。そんな友好関係が数年間あった中で「いつか一緒に音楽やりたいね」とよく話していたんですよ。ただ、Mekは大きな事務所に所属していたから難しくて、でも去年独立したから遂にやれることになったんです。それで、Mekはラウドっぽい音楽が好きだから、ラウドとハイパーポップのあいだの感覚で1曲創ろうと思って。tatsu(BLVELY)もMekと仲良くなっていたから「じゃあ、3人でやろうか。tatsu、こういう感じの曲を書いてみてよ」とお願いしたら良い曲が上がってきて、8割ぐらいはそこで完成していたんですよね。
--tatsu(BLVELY)メインの作曲だったんですね。
武瑠:で、最後に85点を100点の曲に仕上げる作業をするべく、今回もアレンジャーで参加してくれているTokiの家に集まって、すごく細かい調整を重ねていった結果「これならいける!」と。それで「2番ぜんぶ歌って」ってMekに振って、実はタイ語での歌唱も試してみたんですけど、やっぱり英語のほうがハマって。そこから何とか来日スケジュールをつくってMVの撮影にも参加してもらったんです。で、寿司を奢りました(笑)。
--公私ともにエンジョイしてもらったと(笑)。では、最後に、そんな新曲のタイトルを携えた【SLY DEVIL WORLD TOUR】への意気込みも含め、読者の皆さんにメッセージをお願いします!
武瑠:今、曲のアイデアが出過ぎて自分に振り回されている感じなんですけど(笑)、7月8日スタートで初めてのワールドツアーがあるので、海外でのライブで成長した姿を8月2日の渋谷と10日の京都で見せられたなと思っています。関西でのワンマンライブも久しぶりなんですよ。で、ワールドツアーのファイナルが京都ってなんかオシャレじゃないですか。それでMOJOでやらせて頂くことにしたんですけど、それも楽しみにしていてほしいし、数年ぶりになるブランドの展示会も渋谷と京都でやるんで、ぜひ遊びに来て下さい!
Interviewer:平賀哲雄
◎武瑠「SLY DEVIL feat.Mek from Saint After Six,BLVELY」MV
https://www.youtube.com/watch?v=RpXpMup_kEY
◎イベント情報
ワールドツアー【SLY DEVIL WORLD TOUR】
7月8日(月)アメリカ・ロサンゼルス
7月14日(日)メキシコ・メキシコシティ
7月19日(金)ブラジル・サンパウロ
8月2日(金)渋谷・チェルシーホテル
8月10日(土)京都・京都MOJO
https://www.takeru-official.tokyo/news/slywtour/
◎リリース情報
「SLY DEVIL feat.Mek from Saint After Six,BLVELY」
2024/5/25 DIGITAL RELEASE
https://www.takeru-official.tokyo/news/slydevil/
J-POP2024年10月15日
神聖かまってちゃんが、ニューアルバム『団地テーゼ』を、2025年1月15日に配信リリース、1月22日にCDリリースする。 今作は、5年ぶり11枚目のオリジナルフルアルバム。既に配信されている、の子(vo,g)がポエトリーラッパーのGOM … 続きを読む
J-POP2024年10月15日
SKY-HIと、チェコのシンガー/ソングライター/プロデューサーであるミコラス(MIKOLAS)のコラボレーション楽曲「LALALALALALALALALALA (Tokyo Version)」が、2024年10月25日に配信リリースされ … 続きを読む
J-POP2024年10月15日
超特急が、2024年11月6日にリリースとなるニューシングル『AwA AwA』のメンバーソロ盤ジャケット写真を一挙公開した。 今作には、挑戦するすべての人にエールを送るポジティブソング「AwA AwA」に加え、クリスマスソングのカバーを … 続きを読む
J-POP2024年10月15日
サカナクションが出演するドキュメンタリー番組『山口一郎 “うつ”からの再出発 ~サカナクション「怪獣」との格闘~』が、2024年10月25日にNHK BSで放送される。 本番組は、5月に放送されたNHKスペシャル『山口一郎 “うつ”と生 … 続きを読む
J-POP2024年10月15日
龍宮城が、2024年10月23日に新曲「裏島」を先行配信リリースする。 新曲「裏島」は、11月27日にリリースとなる1stアルバム『裏島』のタイトル曲。アルバムには既発曲のほか、アヴちゃん(女王蜂)プロデュースの新曲が収録され、2025 … 続きを読む