<ライブレポート>りりあ。、等身大の歌で届けた初ワンマン Aru.(ミテイノハナシ)とのデュエットも披露

2024年5月7日 / 12:00

 りりあ。が初の単独ライブ【First OneMan Live「記録の記憶」】を4月29日、東京・青山月見ル君想フにて開催した。これまで配信ライブや限られたイベントにのみ出演してきたりりあ。だが、彼女が人前に出て本格的なライブを実施するのはこれが初めて。会場には普段から彼女の楽曲を愛聴している若い世代のファンが多数集結し、彼女の登場を待ち望んだ。

 定刻を過ぎた頃、オープニングSEにあわせてステージを覆う紗幕に時計をモチーフにした映像が映し出される。しばらくすると、紗幕の向こうにギターを抱えたりりあ。のシルエットが浮かび上がり、フロアからは悲鳴にも似た歓声が発生。そして、「君の隣で。」の一節をアカペラで歌い始めると同時に紗幕が下り、ついにりりあ。が姿を現す。アコースティック・ギター1本で繊細な歌声を届ける彼女を前に、感動した表情を浮かべるオーディエンス。そんな温かな空気の中で、2番のAメロで歌詞を間違えてしまい、思わず笑ってしまう一幕も。しかし、このハプニングが功を奏し、以降はリラックスモードでライブは進行していった。

 続く「貴方の側に。」では、ピアニストをサポートメンバーに迎えて披露。ピアノ伴奏に繊細なギターを重ねると、りりあ。はさらにその上に切ない歌声を乗せていく。アコースティック・アレンジで表現される今回のライブ・バージョンでは、彼女が思い描く楽曲の世界観の芯をじっくり味わうことができ、客席からは感嘆の声が沸き起こった。

 2曲終えたところでMCに突入したりりあ。は、「初っ端から歌詞を間違えてしまって。まあ、いつもどおりなんですけど(笑)」と笑顔を見せる。続けて、「今回は弾き語りじゃない曲も持ってきました!」と口にすると、自身がフィーチャリング・シンガーとして参加したMAISONdesの「夏風に溶ける」を歌唱。ギターを置いた彼女は、アーバンなバックトラックに乗せて体を緩やかに動かし、気持ち良さげに歌う。そこから羽生まゐごとのコラボ曲「オノマトペ」へつなげると、その意外な選曲に客席がざわめく。ファルセットを織り交ぜながらも、随所に力強さがにじんだその歌声は、楽曲の世界観を表現するような赤い照明演出との相性もバッチリ。この2曲はアコースティック色濃厚な今回のワンマンライブにおいて、よいアクセントとして作用した。

 再びアコースティック・ギターを抱えたりりあ。は、「次からしんみりした曲が続きます」と言って椅子に座り、自身にとってはじまりの1曲である「浮気されたけどまだ好きって曲。」を切々と弾き語りし始める。音数の少ないギター・アレンジは、彼女が描こうとする世界観と絶妙にマッチし、歌詞の説得力はより増すことに。続いて「私じゃなかったんだね。」を演奏し始めると、フロアからは嗚咽のような声が漏れ出す。淡いブルーの照明が後ろから差す中で、りりあ。は感情をたっぷり込めて歌っていく。今回は小規模のライブハウスということもあって、オープニング以外は至ってシンプルな演出が施されており、これによって歌詞の内容が聴き手にダイレクトに刺さったのではないだろうか。かくいう筆者も、りりあ。が紡ぐ切ない失恋物語が容易にイメージでき、あやうく涙腺が崩壊するところだった。

 若干しんみりした空気がフロアに漂う中、彼女の名前を大声で呼ぶファンの姿も見受けられ、そんな観客に対して笑顔で「りりあ。だよー! マイクなしでも聞こえるでしょ?(笑)」とおどけてみせる。しかし、「蛙化現象に悩んでる女の子の話。」で再び独特の歌世界が展開されると、オーディエンスは静かに彼女の歌に耳を傾けることに。再びピアニストを迎えて演奏された「素直になりたい子の話。」では、リズミカルな曲調にあわせてクラップも沸き起こり、会場の一体感が一気に高まっていった。

 「なんとなんと、早いことに次の曲が最後になります」とりりあ。が告げると、フロアからは「えーっ!?」と不満の声が上がる。すると、「次の曲はリハーサルを何回もやってきたんですけど、そのたびに泣いてしまって。今日も泣いちゃうかもしれないけど、そのときは皆さん笑ってください」のメッセージに続けて、本編ラストナンバー「最後のバイバイ。」をピアノ伴奏のみで歌唱。どうしようもないほどに切なく悲しい歌詞を、りりあ。は没入感たっぷりに歌い上げる。そんな感情的な歌声を前に、フロアには涙を流す観客の姿も多数見受けられた。そして、最後のフレーズを歌い切ると、彼女は深々とお辞儀してステージを去っていった。

 来場者からのアンコールを求める声援とクラップを受け、ステージに再登場したりりあ。は「『アンコールありがとう!』と一度言ってみたかった(笑)」と再び笑みを浮かべる。そして、ライブグッズの紹介に続いて、重大発表として10月から11月にかけて3都市をまわる初の全国ツアー【First OneMan LiveTour「約束」】を開催することをアナウンス。このツアーはギター、ベース、ピアノ、ドラムのフルバンド編成で行われることが告げられると、フロアからは一段と大きな喜びの声が上がった。

 会場がハッピーな空気で包まれたところで、アンコールは「恋って難しい。」にてスタート。バックトラックに乗せて手振りを交えながら歌うりりあ。だが、2番からはサプライズ・ゲストとしてAru.(ミテイノハナシ)が登場し、デュエットが展開される。夢のコラボレーションが目の前で実現していることに、オーディエンスも喜びを隠せない様子で、ステージに向けて送られるクラップもより一層大きく鳴り響くこととなった。

 その後も観客からAru.への質問を集うなど、アットホームなMCが繰り広げられる。そして、最後にりりあ。が「本当の本当の本当に、次が最後です。あっという間だね。最後に相応しい曲を持ってきたので、聴いてください」と告げて、「じゃあね、またね。」をギター弾き語りで披露。繊細で伸びやかな歌声で表現されるこの曲は、これぞりりあ。と断言したくなるような1曲であり、この曲でライブを締めくくるというのも頷けるものがある。切なくも美しい歌世界をたっぷり堪能したところで、1時間強におよぶりりあ。の初ワンマンライブは大成功のうちに幕を下ろした。

 りりあ。はテレビドラマ『JKと六法全書』の主題歌として書き下ろした新曲「騙されないからね。」を、4月20日に配信リリース。この曲を通じて彼女の歌声が、今までよりも幅広い層に届き始めている。ここから秋の初ワンマンツアーまでの間に、彼女の歌がどこまで広まっていくのか、非常に楽しみなところだ。

Texy by 西廣智一
Photos by 飛鳥井 里奈

◎セットリスト
1. 君の隣で。
2. 貴方の側に。
3. 夏風に溶ける
4. オノマトペ
5. 浮気されたけどまだ好きって曲。
6. 私じゃなかったんだね。
7. 蛙化現象に悩んでる女の子の話。
8. 素直になりたい子の話。
9. 最後のバイバイ。
<アンコール>
10. 恋って難しい。feat.Aru.(ミテイノハナシ)
11. じゃあね、またね。

◎公演情報
【First OneMan LiveTour「約束」】
2024年10月13日(日)愛知・ 名古屋BOTTOM LINE
2024年11月2日(土)大阪・ HEP HALL
2024年11月6日(水)東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE


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