<ライブレポート>「全方向美少女」大流行の乃紫、クリエイターとしてのポテンシャルを発揮した1stワンマンライブ

2024年5月2日 / 18:00

 乃紫が4月25日、東京・渋谷WWWにて1stワンマンライブを行った。

 「全方向美少女」がTikTokで大きな流行を巻き起こし、新世代のシンガーソングライターとして脚光を浴びる乃紫にとって、今回が初のライブとなる。どころか、人前に立つのもこれが初めてだという。そんな機会を目撃しようと集まった満員のオーディエンスには開演前から期待のムードが渦巻く。そして、大歓声に迎えられて登場した乃紫が見せたのは、とても初めてのステージとは思えないほどの堂々としたパフォーマンスだった。

 ライブは「ヘントウタイ」でスタート。序盤から「惑星より愛を込めて」や「学園ハイブランド」など未発表の新曲を次々と繰り出してくる。まず印象的だったのは、その音楽性が思っていた以上にロックだったこと。ギター、ベース、ドラムのバンド編成を従え、乃紫自身もエレキギターをかき鳴らし歌う。もともとTikTokを拠点に宅録から音楽活動を始めたということもあって“SNS発”なベッドルーム・ミュージシャンのイメージを持っていたのだけれど、リフ主体のロックンロールな「学園ハイブランド」などエネルギッシュな新曲の数々にはその先入観を痛快にひっくり返された。

 そして、もうひとつ印象的だったのが、音楽だけじゃないクリエイティブな仕掛けの数々があるライブだったこと。会場の渋谷WWWは地下にあるライブハウスなのだが、そこに降りていく階段にはこれまで発表してきた楽曲のイメージを伝えるようなビジュアルとコピーを添えたポスターの数々が掲示されていた。また、ステージ背後には巨大なLEDビジョンが設置され、オープニングから曲ごとに様々な映像演出が繰り広げられていた。リリックビデオ的なカラフルな映像もあれば、エモーショナルなギターロックの曲調に合わせてレトロなデジタルカメラで撮影されたムービーが映し出される未発表の新曲「月と指輪」など、MVのような没入感をもたらすものもあった。こうした曲ごとの世界観を伝えるコンセプチュアルな映像にも目を見張った。

 「何度も『緊張してる? 大丈夫?』って言われたんですけど、そんなに緊張してなくて。私よりスタッフの方が緊張してるみたいです」と大物っぷりを見せたMCに続いては、やはり未発表の新曲「何者」。ソリッドなバンドサウンドに乗せ、ラップも駆使しながらシニカルなコメントや刺々しい言葉に対峙したときのリアルな感情をストレートに歌い上げる、かなり尖ったナンバーだ。アーティストとしてのポテンシャルを感じた一曲だった。

 後半は「みんなの可愛いところ見せてね!」と披露した「接吻の手引き」など、オーディエンスを巻き込んで会場のボルテージを上げていく。曲中では「男子! 女子!」「高校生! 大学生! 社会人!」とオーディエンスに手を挙げさせていたのだが、若い女性が圧倒的に多かったことも印象的だった。

 そして、クライマックスとなったのが「全方向美少女」だ。「一緒に歌って!」と乃紫が告げると<正面で見ても横から見ても下から見てもいい女>というサビのフレーズでシンガロングが巻き起こる。ライブが始まったときにはオーディエンスの中でも「初めて乃紫の姿を見れた」という興奮のほうが上回っていたせいか盛り上がりに少々ぎこちなさも見えたけれど、あっという間に会場には一体感が生まれていた。

 さらに、熱量たっぷりのバンドサウンドに乗せて歌う「先輩」を畳み掛け、アグレッシブなギターとともに情感たっぷりのメロディを歌い上げる「A8番出口」では演出の桜吹雪が舞い上がる。熱気が最高潮を迎えるなか、ラストに「アフターオール」を披露してライブは終了。「今日は本当にありがとうございました!」と笑顔で告げ、大きな拍手と歓声に包まれて乃紫はステージを降りた。

 終演後にはファンクラブの設立と、今秋に東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)と大阪・Yogibo META VALLEYで2ndワンマンライブが開催されることも告知された。

 まだまだ乃紫というアーティストのストーリーは始まったばかりだ。おそらくこの先、フェスへの出演などを通してその真価はより広く知れ渡っていくだろう。ライブが終わったフロアには、記念すべき瞬間に立ち会えたオーディエンスたちの高揚感がしばらく残っていた。

Text:柴那典

◎公演情報
【乃紫 1st ONE MAN LIVE】
2024年4月25日(木)
東京・渋谷WWW


音楽ニュースMUSIC NEWS

【2025年邦楽ライブレポまとめ】Mrs. GREEN APPLE/Creepy Nuts/B’z/米津玄師ら 日本を沸かせたライブの数々を振り返る

J-POP2026年1月1日

 様々なアーティストが多種多様な公演内容で日本のライブシーンを彩った2025年。アニバーサリー公演や、目標としていたステージへの到達、久しぶりのパフォーマンスなど、アーティストとファンにとって心に刻まれるようなライブが多く開催された。当記事 … 続きを読む

【2025年K-POP・洋楽ライブレポまとめ】ENHYPEN/ILLIT/ビリー・アイリッシュ/リンキン・パークら 熱狂に満ちた来日公演をプレイバック

洋楽2026年1月1日

 2025年も、ライブハウスからスタジアムまで各地で海外アーティストの公演が盛り上がりを見せた。当記事では、2025年に国内で開催されたK-POP・洋楽アーティストによるライブのレポートをまとめて振り返っていく。  まずはK-POPアーティ … 続きを読む

eill、『ラブ トランジット』シーズン3主題歌「ラストシーン.」アコースティックライブ映像公開

J-POP2025年12月31日

 eillが、恋愛リアリティ番組『ラブ トランジット』シーズン3主題歌「ラストシーン.」のアコースティックライブ映像を公開した。  「ラストシーン.」は11月5日にリリースした最新EP『ACTION』に収録の楽曲。『ラブ トランジット』の世 … 続きを読む

バンド初のレコ大3連覇 偉業尽くしのMrs. GREEN APPLEのフェーズ2を振り返る

J-POP2025年12月31日

 2025年12月30日、『第67回輝く!日本レコード大賞』が発表され、Mrs. GREEN APPLE「ダーリン」が大賞に輝いた。3年連続大賞受賞はバンドとしては史上初の快挙だ。2022年3月18日の活動再開から約3年にわたって続いたフェ … 続きを読む

【第9回 ももいろ歌合戦】全出場者が決定 曲順と組分けも明らかに

J-POP2025年12月31日

 ももいろクローバーZが2025年12月31日に東京・日本武道館にて開催する【第9回 ももいろ歌合戦】の最終出場者、そして曲順と組分けが発表されている。  ももクロメンバーが豪華アーティストと共に「紅組」と「白組」に分かれて全曲フル尺歌唱で … 続きを読む

Willfriends

page top