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ロシアによるウクライナ侵攻に続き、イスラエルとパレスチナの対立と、現在進行形で戦争が起きている2023年。パンデミックが落ち着き始め、通常の生活が戻ってきたと思いきや、世界はさらに混乱を極めているように映ります。これまでも時代を反映させ、戦争反対/平和祈願のメッセージを込めた楽曲が多く作られてきました。改めて今、そういう曲に耳を傾けて、他人事ではなく、自分事として受け止め、より一層考えなければいけないタイミングなのかもしれません。そんな想いを胸に戦争に抗う楽曲を選んでみました。
「矛盾の上に咲く花」(’01)/ MONGOL800
通称・モンパチ ことMONGOL800の大傑作2ndアルバム『MESSAGE』収録曲で、個人的にも彼らの全楽曲の中でベスト1と言えるほど好きな楽曲だ。今年結成25周年記念として、10月14日にぴあアリーナでライヴを行なったけれど、そこでもこの曲を披露してくれ、目頭が熱くなるほど感動してしまった。《戦争の二文字は消えてゆく》《素敵な世の中をつくろうか》と歌詞の中でも具体的に記述しており、疾走感あふれるビートと相まって、真っ直ぐなメッセージが突き刺さる名曲と言っていい。
「heiwa」(’07)/RIZE
JESSE本人は「めちゃくちゃ平和ボケしている自分がいたから、そんな自分のために書いた」という。ライヴでもよく披露していた曲であり、激しい楽曲が多い中でも異彩を放つナンバーである。とりわけ、歌詞がはっきりと聞き取れる歌い回しで、強烈なメッセージソングを投げかけてくる。《ヘイワって言葉が 何か懐かしく聞こえねぇか?》と問いかけるリリックにはハッとさせられるし、“家族”や“愛”について言及した内容にも深く考えさせられる。
「Happy Xmas(War Is Over)」(’71)/John & Yoko And The Plastic Ono Band With The Harlem Community Choir
もうすぐクリスマスがやってくる。ということで、この曲は世界的に有名なクリスマスソングであると同時に、当時のベトナム戦争へのプロテストソング的に意味合いも込められた楽曲だ。副題で「戦争は終わった」と付けられているが、歌詞の中でも最後の方に《戦争は終わった/もし君が望むなら》というフレーズがあり、今を生きる我々にも問いかけているよう。メロディーや曲調がハッピーな色合いを帯びているからこそ、逆に楽曲が内包するメッセージに意識が向いてしまう。
「Blowin’ in the Wind」(’63)/ Bob Dylan
この曲も「Happy Xmas(War Is Over)」同様、ベトナム戦争へのプロテストソングなのだが、ディランは歌詞の中でずっと聴く者に問い続け、最後に《The answer is blowin’ in the wind》と歌って締め括る。答えは風に舞っている、と。ここに明確な答えはなく、また、明確な答えなんて誰にも分からない。つまり、なぜ戦争は終わらないのか。人間はなぜ戦争という行為に走ってしまうのか。それについて、ずっと考え続けることが大事なのだと、訴えているように聴こえてくる。
「ONE」(’88)/METALLICA
今や世界を代表するメタルバンドとして君臨している彼ら。この曲はバンド初のミュージックビデオとなり、非常に大きな話題を呼び、グラミー賞最優秀メタルパフォーマンス部門を受賞した。曲自体も『ジョニーは戦場に行った』にインスパイアされており、MVの中にも原作映画のシーンも差し込まれている。反戦の意味を込めたメッセージはもちろん、曲調や展開も非常にドラマティックかつストーリー性に富んでいる。今なおライヴで欠かせない重要曲になっており、文句なしのカッコ良さと言えるだろう。
TEXT:荒金良介
荒金良介 プロフィール:99年からフリーの音楽ライターとして執筆開始。愛読していた漫画『ジョジョの奇妙な冒険』(登場人物に洋楽アーティスト名が使用されていたため)をきっかけに、いきなりレッド・ツェッペリンの音源を全作品揃える。それからハード・ロック/ヘヴィ・メタルにどっぷり浸かり、その後は洋邦問わずラウド、ミクスチャー、パンクなど、激しめの音楽を中心に仕事をしてます。趣味は偏ってますが(笑)、わりと何でも聴きます。
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