<ライブレポート>GLAY、ライブツアー【HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023 -The Ghost of GLAY-】終幕 「君らが夢を見ていくことが僕らの夢」

2023年6月16日 / 20:00

 GLAYが、6月11日に【HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023 -The Ghost of GLAY-】の最終公演を東京ガーデンシアターで開催した。

 2016年から2017年まで、計3度目に渡って開催された【Supernova】のライブツアー以来、約6年ぶりとなる【HIGHCOMMUNICATIONS TOUR】。今回は3月2日、地元・北海道の帯広市民文化ホールでの初日公演を皮切りに、全国22か所・32公演に渡るロングツアーだ。“あえてコンセプトを決めない自由度の高いライブパフォーマンスを行なう” 【HIGHCOMMUNICATIONS TOUR】だからこそ、 コロナ禍を経たGLAYの表現する音楽がいつも以上に表面化したライブだった。

 定刻通りに暗転すると、ステージ上の巨大な紗幕に映し出されたのは、COLLAGE ARTIST/VIDEO DIRECTORのイノウエマナとART DIRECTOR/VISUAL ARTISTの井上絢名による“輪廻転生”をテーマにデザインされた、61stシングル『HC 2023 episode 1 -THE GHOST/限界突破-』のジャケット写真だ。秒針の音と共に映像が進むと、JIRO(Ba.)のグルーヴィなベースが聴こえてきた。30周年を目前としたGLAYによる新基軸の楽曲「THE GHOST」でライブがスタート。妙幕には4人とシンクロしたゴーストの姿が映し出され、楽曲の魅力を引き立てていく。ダークなムードなまま、前回の【GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2017 -Never Ending Supernova-】でも二曲目に添えられた「THE FRUSTRATED」に繋いでいった。

 紗幕が上がり、黒いコートを脱いだ4人は勢いよく前に飛び出した。「ただいま! 盛り上がっていこうぜ!」とTERU(Vo.)が叫ぶと「Lovers change fighters, cool」「嫉妬」と激しいナンバーが披露されていく。ステージ上にそびえ立つ6機のMarshallキャビネットから放たれる、TAKURO (Gt.)のGibson Firebirdによる獰猛なサウンドもたまらない。「ついにきたぜファイナル! 暴れる準備はできいるか!?」と再びTERUが告げると、コールアンドレスポンスがお決まりのライブ定番曲「FAME IS DEAD」へ。進行するに連れてテンションも上がっていき、JIRO は首を振りダウンピッキングを炸裂、HISASHI(Gt.)はxbone – Justiceを天高く掲げ、TAKUROは用意されたバズーカ砲でプレゼントを観客に向かって打ち上げた。そして「TAKUROが欲しい~JIRO が欲しい~HISASHIが欲しい~GLAYが欲しい~」とサビの歌詞を書き換えてステージを盛り上げていく。

 中盤は、第2部とも呼べるぐらいのレパートリーが続いた。先ほどまでとは一転してミドルバラード「恋」からスタート。それに続くのは“過酷な運命から目をそらさず受け入れないといけない”という想いが込められた「氷の翼」、【HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2003】以来に披露された「CHILDREN IN THE WAR」など、メッセージ性の強い楽曲たち。「pure soul」では、“今いる自分を支えてくれた人 この歌が聴こえてるだろうか?”とTERUがいつも以上に強く歌っているシーンが特に印象的だった。「いつも支えてくれてありがとう!」とTERU が感謝の言葉を述べて、第2部が完結。いままで東日本大震災や熊本地震など悲しい出来事が起こった時でも、人の心に届く音楽を奏でてきたGLAY。今回はコロナ禍という日本、世界中が苦しんだ境地に節目をつけるかのようなセットリストだったと感じた。

 ライブはまだまだ終わっていない。シングル『HC 2023 episode 1 -THE GHOST/限界突破-』のもう一つの表題曲「限界突破」から始まった終盤パート。TAKUROとToshi(Dr.)が向かいあって奏でるシーンを見せた「JUSTICE (from) GUILTY」、HISASHIのTALBOから光線銃が鳴り響く「黒く塗れ!」など、ロックナンバーが次々にパフォーマンスされていく。ここまでほぼノンストップで進み、いよいよ最初のMCへ。「ツアー32本目、無事にファイナルを迎えることができました。最初はどんな感じになるのかと思いましたが、みんな楽しくできて、いいバンドなんだなと思いました。僕たちは音楽に真摯に向き合っています。君らが夢を見ていくことが僕らの夢。一緒に夢を見ていこうぜ!」と熱い想いを打ち明け、「BEAUTIFUL DREAMER」が始まった。勢いよくキャノン砲から銀紙が噴射される。舞台となった東京ガーデンシアターは、大型ホールの中でもステージと観客席の距離が近い。「確かにいま!」と全員で歌い上げ、心の距離もぐっと縮まっていくのを感じた。そんな観客の姿を見たTERUは「皆さんの声、笑顔を見れてGLAYをやってきて良かった」と笑顔を見せる。そして「次も頑張ろうと思えるのは、皆さんがこの指に集まってくれるからです」と、ラストは「Satellite of love」を披露。“繋いだその指を離さないで… どうかお願い…”と、TERUはロングビブラートを届け、感謝の気持ちが込められた歌唱を見せてくれた。

 11月からアリーナツアー【GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023 -The Ghost Hunter-】を開催することが発表されたアンコール。ここではツアーの思い出をメンバー一人一人が語った。TERUの「次のツアーはToshiかわからないけど…(笑)」という振りから、Toshiは「今日もこのMC最後ですね……(笑)。終わるのは寂しいです。ここまでできたのはスタッフ、皆さんのメッセージのおかげです。本当に感謝しています!」とコメント。度々GLAYを支えてきた村山☆潤(Key.)は「お付き合いして10年。初めてホールツアーをやれて楽しかったです。Toshiさんと同じくこれからもサポートできればなと思います!」、JIROは「無事にファイナルを迎えられて嬉しいです。アリーナツアーではもっとみんなが歌える曲をセトリに入れます!」と語る。HISASHIは「最後くらい真面目にやりま…せん! Netflixを見てました(笑)」とタブレットを出し、ふざけ倒す。TAKUROは「次の約束があるのはいいものですね。GLAYの新たなフィールド、一歩を掴めると思い、アリーナツアーをやります! 企んでいるロックナンバーもあるので!」と期待を膨らませる発言をしてくれた。最後にTERUは「これからも10年、20年と楽しくやっていきます。もう皆さんは家族のようなので、お付き合いください!」と語った。

 アンコール一発目は新曲「Buddy」が披露された。イントロで「Buddy!」と叫ぶTERUの愛らしい姿に観客も声を上げる。また、コロナ禍にHISASHIがTERUに「声を出せるようになったらやろうよ」と言っていたという「SOUL LOVE」では、ラストサビを観客全員が歌い上げた。また一つ全員の夢が叶った後は、約10年ぶりにお披露目となった「原色の空」、ツアーのタイトル曲「HIGHCOMMUNICATIONS」が続いていった。

 最後は、4人が横一列に並び「また会う日まで行ってきます!」と叫んで、「行ってらっしゃい!」と観客が声を大きくして答える。再び妙幕が下り、4人のシルエットから魂が抜けていき、ツアー終幕を告げる映像が流れた。また巡り巡って、今後は「The Ghost Hunter」として帰ってくる彼らを心より待ちたい。

Text:Tatsuya Tanami
Photo:岡田裕介/田辺佳子

◎公演情報
【HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023 -The Ghost of GLAY-】
2023年6月11日(日)
東京・東京ガーデンシアター
<セットリスト>
M1. THE GHOST
M2. THE FRUSTRATED
M3. Lovers change fighters, cool
M4. 嫉妬
M5. 華よ嵐よ
M6. FAME IS DEAD
M7. 恋
M8. 氷の翼
M9. CHILDREN IN THE WAR
M10. I will~
M11. pure soul
M12. 限界突破
M13. JUSTICE [FROM] GUILTY
M14. 黒く塗れ!
M15. DOPE
M16. BEAUTIFUL DREAMER
M17. Satellite of love
≪アンコール≫
M18. Buddy
M19. SOUL LOVE
M20. 原色の空(Cloudy Sky)
M21. HIGHCOMMUNICATIONS


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