ボビー・コールドウェルが71歳で死去、「風のシルエット」などヒット多数

2023年3月16日 / 13:15

 1978年のヒット曲「What You Won’t Do For Love」(邦題:風のシルエット)で知られるソウル・シンガー・ソングライターのボビー・コールドウェルが71歳で死去したことがわかった。妻のメアリー・コールドウェルが、現地時間2023年3月15日午前のツイートで発表した。

 彼女は、「ボビーはここ自宅で息を引き取りました。私は彼が去る時、しっかりと抱きしめていました。私は一生心から悲しむでしょう。長年にわたって多くの祈りを捧げてくれた皆さんに感謝します。彼は“FLOXED”でした、それのせいで6年2か月の間健康を害していました。マイ・ラブ、神と共にお眠りください」と綴っている。

 コールドウェルの妻は、彼が患っていた病名を明かしていないが、Regenerative Medicine L.A.(再生医療L.A.)治療センターによると、“Floxed”(フロックスド)とは一般的に、シプロフロキサシン、レヴァキン(Levaquin)、アベロックスなどのフルオロキノロン系抗生物質を摂取することで発生する症状を指すという。コールドウェルの死因に関する追加情報は報道時点で得られていない。

 ロバート・ハンター・コールドウェルは、1951年4月15日に米ニューヨークで生まれた。1970年代前半にリトル・リチャードのリズム・ギタリストとして最初の大きなチャンスを掴み、70年代後半にソロになると、TKレコードからデビューしてすぐにシングル「What You Won’t Do For Love」をヒットさせた。この楽曲は米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で9位を記録した。

 2005年の米NPRとのインタビューでコールドウェルは、米マイアミを拠点とし、主にブラックR&Bアーティストが所属していたTKレコードが、当初彼が“白人であることを知られたくなかった”ことを明かしたが、セルフ・タイトルのデビュー作のジャケットに彼の写真が使われていないのはこれが理由だろう。さらに、コールドウェルの代表曲となったなめらかでジャジーなバラード「What You Won’t Do for Love」は、当初レコードに収録される予定がなかったことも明かしている。TKレコードのボス、ヘンリー・ストーンを喜ばせるために急いで共作しリリースされたこの楽曲は、コールドウェルの“ブルー・アイド・ソウル”スターとしての名声を確固たるものにし、その後、ボーイズIIメンからマイケル・ボルトン、ロイ・エアーズ、スノウ・アレグラまでがカバーし、故トゥパック・シャクールも「Do For Love」でサンプリングした。

 彼は1980年にも、アルバム『Cat in the Hat』に収録された優しいピアノ・ポップス「Open Your Eyes」で再び成功を収めた。この楽曲は、後にコモンのアルバム『Like Water for Chocolate』の「The Light」で、プロデューサーの故J・ディラによってサンプリングされた。

 コールドウェルはまた、ポップスにスムース・ジャズ、R&B、ブラジリアン/アイランドのバイブスをミックスしたサウンドについて、マイアミで“ハイチ、レゲエ、ラテン、ポップス、R&B”とあらゆる音楽を吸収して育ったこと、また不動産屋の母親の顧客だった、レゲエのアイコン的存在の故ボブ・マーリーと親しくなったことが、彼特有のグルーヴを見つけることにつながったとNPRに語った。

 彼は1980年代、1990年代、そして最後の作品集となった2015年の『Cool Uncle』がリリースされた2010年代半ばまで、ずっとアルバムを発表し続けた。また、1986年にヒットしたデュエット曲「The Next Time I Fall」をエイミー・グラントとシカゴのピーター・セテラのために共作した。このスマッシュ・ヒットはHot 100で首位を獲得し、【グラミー賞】の<最優秀ポップ・パフォーマンス賞(デュオまたはグループ)>にノミネートされた。また、ニール・ダイアモンド、ボズ・スキャッグス、ロイ・エアーズ、シカゴ、故ナタリー・コールなどにも曲を書いたり、共作したりしている。


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