シンディ・ローパー／The B-52’s／H・ウィリアムス、全米で広がる反トランスジェンダー法の可決を批判

　シンディ・ローパーとThe B-52’sが、米共和党がトランスジェンダー・コミュニティーを標的としたり、ドラァグ・アーティストを禁止しようとする新法を全米各地で通過させている動きに対して、反対の声を上げるアーティストたちの輪に加わった。

　米The Hillによると、長年LGBTQのアライであるシンディは、ITKエンターテインメントに対し、「全ての人に平等を、でなければ誰も本当に平等ではありません。ヒトラーはこうやって始めたんです。皆を排除していった」と指摘した。ヒトラーのナチス・ドイツでは、同性愛者を“国家の敵”とし、多くが収監されたり強制収容所で殺されたりした。シンディは、“市民の権利のために戦い続ける”ことが不可欠であると述べている。

　また、LBGTQ関連の大義を長年支持してきたThe B-52’sは、2023年3月8日に発表した鋭い言葉遣いの声明で、「我々The B-52’sは、トランスフォビアを蔓延させ、トランスジェンダーの人々やドラァグ・アーティストに対する差別を促進させる多数の新しい法案が米国で提出されたことを深く憂慮している。我々はこれらの法案を強く非難し、LGBTQ+コミュニティーと連帯する」と宣言している。

　ケイト・ピアソン、フレッド・シュナイダー、シンディ・ウィルソンらからなるバンドはさらに、「21世紀にもなり、性自認や性的指向に基づく個人の権利を弱めようとする露骨な試みを目撃していることは受け入れがたい。これらの法案は、影響を受ける個人の基本的人権を侵害するだけでなく、私たちの社会に存在すべきではない憎しみと不寛容の有害な文化を永続させるものだ」と続け、フォロワーに対し、法案を糾弾し、LGBTQ+コミュニティーを支援するために、自分たちと一緒に行動することを求めた。「共に、私たちが共有する本質を反映し、全ての人にとって真に公正で、インクルーシブで、歓迎する社会の構築に向けて取り組もう」と彼らは訴えている。

　The B-52’sが声明を発表する1週間前に、テネシー州のビル・リー州知事が物議を醸すふたつの法律に署名した。ひとつは未成年者へのジェンダー・アファメーション・ケアを禁止する法律、もうひとつはドラァグ・クイーンが“成人ではない人にキャバレーのパフォーマンスが見られる可能性がある”公共スペースでパフォーマンスを行うことを防ぐことを目的としたものだ。

　この法律は、これらの展示を、“トップレス・ダンサー、ゴーゴー・ダンサー、エキゾチック・ダンサー、ストリッパー、好色な趣味に訴える娯楽を提供する男役または女形、または同様のエンターテイナーを、対価を得て行われたか否かにかかわらずフィーチャーするパフォーマンス”と定義している。この法律は、子どもたちに脅威を与えないLGBTQパフォーマーに対する不当な攻撃であり、パフォーマーの米憲法修正第1条で保障された権利（表現と宗教の自由）を侵害するものだと、批判者たちは訴えている。 

　米ヒューマン・ライツ・キャンペーンによると、テネシー州は米国のどの州よりも多くの反LGBTQ法を可決している。同州出身のパラモアのシンガー、ヘイリー・ウィリアムスは今週、インスタグラム・ストーリーズで同州知事を批判し、「またしても私たちの州は、後退的な、不可解なほどに有害な2つの法案を可決してしまった。この戦いで、私たちはクィア・コミュニティーの友人や家族の受け入れのためだけでなく、彼ら一人ひとりの根本的な受容とエンパワーメントのためにLGBTQIA+の家族や地元のLGBTQIA+の団体と連帯する。ドラァグは犯罪ではない。若者を含む全ての人のために、ジェンダーを肯定する医療は必要なものだ」と綴った。

　ヘイリーは、マレン・モリス、シェリル・クロウ、ジェイソン・イズベル、ブリタニー・ハワード、ジュリアン・ベイカーなどが出演する、テネシー州のLGBTQ団体を支援する3月20日の慈善公演【Love Rising】に出演する。