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2022年の年間Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で、上半期に引き続き、Aimerの「残響散歌」が総合首位を獲得した。
今年の国内シーンを振り返ると、主なトピックは「アニメやドラマタイアップ曲のメガヒット」「オーディション系グループの躍進」「動画プロモーションに本腰を入れたジャニーズ」「動画がノンタイアップ曲のヒットを加速」の4点だ。これらは年間“JAPAN HOT 100”にどう顕れたのだろう。
<トップ10の5曲がタイアップ>
TVアニメ『鬼滅の刃』遊郭編のオープニング・テーマである「残響散歌」を始めとして、ドラマ『SUPER RICH』の主題歌の優里「ベテルギウス」は3位、アニメ『SPY×FAMILY』第1クールのオープニング主題歌のOfficial髭男dism 「ミックスナッツ」は4位、アニメ映画『ONE PIECE FILM RED』主題歌のAdo「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」は7位、アニメ映画『劇場版 呪術廻戦 0』主題歌のKing Gnu「一途」は10位となり、トップ10の内5曲がタイアップ曲だ。
昨年度は4曲だったため、今年は1曲増加したにすぎないのだが、記憶に新しい『ONE PIECE FILM RED』や『SPY×FAMILY』などから明らかなように、一つの作品から複数の楽曲がヒットする傾向が強まっており、例えば『ONE PIECE FILM RED』からはAdoが5曲を100位内に送りこみ、『劇場版 呪術廻戦 0』からはKing Gnu「一途」と「逆夢」(13位)、『SPY×FAMILY』からは「ミックスナッツ」と星野源「喜劇」(50位)がチャートイン。これらは、ストリーミングが浸透し、楽曲数が限定されがちなシングルやアルバムに紐づかないタイアップ展開が可能になったことが原因で、この傾向は今秋クールのアニメ『チェンソーマン』や『ぼっち・ざ・ろっく!』でも続いている。これが効果的なミックス型プロモーション方法として続いていくことは確実で、来年も同様のメガヒットが生まれる可能性も高いだろう。
<躍進するオーディション系グループの課題は>
今年前半のウィークリーチャートで目立ったのは、オーディション番組出身グループだった。『THE FIRST』からBE:FIRSTの「Bye-Good-Bye」は総合29位、『Girls Planet 999』からKep1erの「WA DA DA」が46位、『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』からINIの「CALL 119」が57位だった。他にも、JO1、ENHYPEN、Stray Kids、OWV、NiziUなどが挙げられるが、いずれの楽曲も100位圏外だった。これは、年間累計ポイントを合計する年間チャートの設計上、週単位では高ポイントを獲得し高順位につけるものの、継続してポイントを蓄積できずに年間では圏外となるパターンが多いことが原因だ。
各指標順位を詳しくみてみると、「Bye-Good-Bye」はラジオ8位、シングル50位、ダウンロード36位、ストリーミング49位、ルックアップ77位、Twitter 12位、動画16位で、「WA DA DA」はストリーミング41位、動画25位、「CALL 119」はラジオ69位、シングル7位、ストリーミング96位、ルックアップ65位、Twitter 4位と、ストリーミングや動画でのポイントが継続的に高くなければ年間チャートの上位を守ることは年々難しくなっている。ここに、オーディション系グループの課題がありそうだ。
<動画プロモーションに本腰を入れたジャニーズの今後>
21年度“JAPAN HOT 100”では、ジャニーズ系アーティストは7曲が100位以内にチャートインした一方で、今年度は、なにわ男子「初心LOVE」(79位)、Snow Man「ブラザービート」(84位)の2曲に留まった。各指標では「初心LOVE」はシングル35位、ルックアップ1位、動画3位、カラオケ77位で、「ブラザービート」はシングル6位、ルックアップ5位、Twitter 49位、動画7位という結果に。
前述したオーディション系グループと同じく、シングルやルックアップ指標でのポイントが高い一方で、ジャニーズ系は、昨年後半より本格化させたTikTokやYouTubeを組み合わせたプロモーション展開により動画指標で高ポイントをマークし、シングルの追加購入促進と併せて、ダウンロードとストリーミング未解禁による無加算(YouTubeにおける聴取でストリーミングポイントを加算することは可能だが「初心LOVE」以外は圏外で無得点だった)を継続的にカバーするスタンスを強めている。11月にシングルが発売されたKing & Prince「ツキヨミ」が総合100位圏外とはいえ、今年度年間でシングル10位、ルックアップ7位、Twitter 78位、動画69位にチャートインしていることから、この効果が徐々に顕れてきている。来年度は、こちらを堅持するグループと、Travis Japanのようにダウンロードとストリーミングの解禁に踏み切るグループに分かれるのではないだろうか。
<ノンタイアップ曲のヒットを拡散させる指標とは>
ヒットはタイアップやコアファンからしか生まれないのか、という疑問は、YouTubeやTikTokといった動画プラットフォームの浸透により覆されつつある。だが、動画指標だけが重要なのではない。総合2位のTani Yuuki「W/X/Y」や、5位の優里「ドライフラワー」、6位のSaucy Dog「シンデレラボーイ」、8位のマカロニえんぴつ「なんでもないよ、」、9位のback number「水平線」と、トップ10内のノンタイアップ5曲はYouTubeの閲覧数を徐々に伸ばし、それを受けて投稿動画を急増させたTikTokが動画閲覧数にフィードバックを起こし、ダウンロードやストリーミングに繋がっていくというロングランヒットに結実させた。
そして、もうひとつ見逃せない指標がカラオケだ。この指標では「W/X/Y」(32位)、「ドライフラワー」(1位)、「シンデレラボーイ」(2位)、「なんでもないよ、」(14位)、「水平線」(3位)と、いずれも高順位であり、これらのような流行り始めた楽曲を共有・拡散する場として、カラオケが大きな役割を果たしていることを示している。タイアップがあれば、たくさんのコアファンがいれば確実にヒットする、というわけではない。これらノンタイアップ曲のヒットは、この当然の事実を改めて教えてくれる。
来年度の上半期や年間チャートの上位に進出するだろう、Official髭男dism「Subtitle」は総合27位に、米津玄師「KICK BACK」は30位に既に登場。激動するシーンの只中から生まれてくるたくさんのヒット曲に来年も出会えることを楽しみにしたい。
Text by 礒崎誠二
◎Aimer コメント
デビュー以来ずっと一緒に歩んできたチームで作ったこの楽曲を、当時想像していた以上にたくさんの方に聴いていただけたこと、本当に嬉しく、胸が熱くなります。とても光栄です。
【Billboard JAPAN HOT 100 of the Year 2022】トップ10
1位「残響散歌」Aimer
2位「W/X/Y」Tani Yuuki
3位「ベテルギウス」優里
4位「ミックスナッツ」Official髭男dism
5位「ドライフラワー」優里
6位「シンデレラボーイ」Saucy Dog
7位「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」Ado
8位「なんでもないよ、」マカロニえんぴつ
9位「水平線」back number
10位「一途」King Gnu
集計期間:2021年11月29日(月)~2022年11月27日(日)
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