ボブ・ディラン、デビュー60周年を記念して新ビデオ「サブタレニアン・ホームシック・ブルース2022」が公開

2022年5月9日 / 09:00

 ボブ・ディランのレコード・デビュー60周年を記念して、新たな映像作品「サブタレニアン・ホームシック・ブルース2022」が制作された。

 このプロジェクトには、ブルース・スプリンクスティーン、パティ・スミス、ジム・ジャームッシュ、ヴィム・ヴェンダース、日本からは浦沢直樹、みうらじゅんなど幅広い分野から多くのアーティストが参加しており、歌詞を書き込んだキューカードが強烈な印象を残したオリジナル・ビデオからインスピレーションを受け、動的なコラージュを活かした作品に仕上げられている。このビデオ公開と同時に、ディランを象徴するアイテムの一つであるレイバンのウェイファーラーをフィーチャーした双方向型POV体験を可能とするAR(拡張現実)フィルターも発表された。

 インディペンデントな活動を展開するクリエイティヴ・エージェンシー『イントロ』とソニー・ミュージックのジョシュ・チュースによって制作が進められたビデオは、D.A.ペネベイカーが監督した『ドント・ルック・バック』(ディランの1965年UKツアーをシネマ・ヴェリテの手法で記録した画期的なドキュメンタリー作品)の伝説的なオープニング・シーンへのオマージュであり、現代を代表する芸術家、映像制作者、漫画家、ミュージシャン、グラフィック・デザイナーたちが創作した新しい歌詞キューカードが活かされている。ペネベイカーによるそのオリジナル・クリップで使われたキューカードは、歌詞に登場する言葉やフレーズを、意図的な綴り間違い、駄洒落、隠しジョークを含めて手書きしたものとなっている。

 「サブタレニアン・ホームシック・ブルース2022」では、ジュリアン・ハウス、パティ・スミス、ZEP、ケイ・アダムス、フランシス・カブレル、ヴィム・ヴェンダース、アンソニー・ブリル、浦沢直樹、マイケル・ジュー、ジョン・スクワイア、アザゼル・ジェイコブス、ブルース・スプリンクスティーン、フューチュラ、ノエル・フィールディング、ジム・ジャームッシュ、ボビー・ギレスピー、パリ・ルデゥ、ヴォルフガング・ニーデッケン、みうらじゅん、ケイト・ギブ、ジョナサン・バーンブルック、デイヴ・シュリグリー、エリック・ヘイズらが再解釈し、新たにデザインしたキューカードがフィーチャーされている。

 「サブタレニアン・ホームシック・ブルース2022」と同時に、ディラン・ファンのために開発されたARレンズ・フィルターがインスタグラムとスナップチャットで使用可能と発表された。ビデオからの10秒間の映像のループを背景に、ディランを象徴するアイテムの一つであるレイバンのサングラスをバーチャル試着できるというものだ。

 新映像作品「サブタレニアン・ホームシック・ブルース2022」とARレンズ・フィルターは、新たに立ち上げられた『ディラン60』マイクロサイトで確認することができる。このサイトではまた、オリジナルの歌詞入りキューカードと新たにデザインされたキューカードとそれぞれの作者、そして、ボブ・ディランの後方でアレン・ギンズバーグとボブ・ニューワースが特別出演しているオリジナル・クリップも公開されている。

 1965年発表の『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』(ディランにとって、コロムビアでの5作目となるアルバム)からのリード・トラックであり、ファースト・シングルとなった「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」は、彼が本格的にエレクトリック・サウンドを打ち出した時期を代表する曲の一つで、初のTOP40ヒットとなった。画期的な作品で、強い影響力を持つこの曲は、ラップの先駆けとして語られることも多い。また、ディランがカメラを見つめながら、歌詞の書き込まれたキューカードを放り投げ続けていくプロモーション・クリップは、ミュージック・ビデオの歴史のなかで、その礎となった作品と位置づけられている。

 2022年5月10日には、米オクラホマ州タルサにボブ・ディラン・センターがオープン予定となっている。オルソン・クンディグ設計の同センターでは、ボブ・ディランが70年以上にわたって創造し、所有してきた10万点を超す文化的至宝を所蔵し、展示する。長く聴き継がれてきた名曲の手書きの歌詞草稿、完全未発表の録音作品、未公開のパフォーマンス映像、これまで誰の目にも触れてこなかった貴重な写真、ヴィジュアル・アート作品など、世界でもっとも重要な文化人の一人として歩みつづけてきたその比類なきキャリアのすべてをカバーしたアイテムの数々が揃えられている。

 なお、日本独自企画として60年代の名盤がアナログ・レコードで発売されることが決定した。発売中の『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』、5月25日発売の『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』、6月22日発売の『ブロンド・オン・ブロンド』の3枚がデビュー60周年記念の第一弾発売商品となっている。 


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