PENICILLIN、関東サーキットを締め括ったライブのレポートが到着

2022年5月7日 / 19:00

4月23日(土)@東京キネマ倶楽部 photo by 折田琢矢 (okmusic UP's)

30周年を迎えているPENICILLINが4月23日(土)、関東サーキットを締め括るライブ『The Time Machine Final』を東京キネマ倶楽部にて開催した。

1992年2月14日に産声をあげ、1996年にメジャーデビューを果たし、多数のリスナーを魅了し続けて、今年30周年を迎えたPENICILLIN。アニバーサリーを記念して、彼らが過去に行なったツアーのセットリストを再現する『The Time Machine TOUR』を実施するいうアナウンスにテンションが高まったリスナーは多かったに違いない。同ツアーは今年1年かけて行われる予定で、まずは神奈川、埼玉、千葉、東京をまわる“関東サーキット”が4月2日からスタート。そして、関東サーキットを締め括るライブが4月23日に東京キネマ倶楽部で行われた。同公演はPENICILLINの4thアルバム『UNION JAP』(2000年5月24日)のリリースに伴って行われた『Japanese Ultra Wars Tour』のセットリストを再現する形で開催。コロナ禍のライブでいながら当日は多数のリスナーが来場し、『The Time Machine TOUR』が好評を博していることを実感させる中でのライブとなった。

暗転した場内に勇壮な『スターウォーズのテーマ』が流れ、PENICILLINのメンバーがステージに姿を表す。客席から湧き起こる熱い拍手を圧するように轟音が鳴り響き、ライブはPENICILLINならではの“尖り”と耽美感を併せ持った「MONSTER」で幕を開け、オリエンタルな雰囲気が香る「理想の舌」に移る流れから始まった。シックなロングコートを身に纏い、ステージ中央に力強く立って抑揚を効かせた歌声を聴かせるHAKUEI。フィジカルなステージングとテクニカル&エモーショナルなギター・プレイのマッチングが最高にカッコいい千聖。強い存在感を発しながら心地いいビートや効果的なビート・チェンジ、流麗なフィル・ワークなどを活かしたドラミングを展開するO-JIRO。今回の『The Time Machine TOUR』は“様々な時代からタイムスリップして来た人物”というヴィジュアル・コンセプトを掲げていることもポイントで、HAKUEIはベートーベン、千聖はアメリカ西部開拓時代のカウボーイ、O-JIROは『ドラゴンボール』のチャオズ(タイムスリップなのに、なぜ?)をイメージした姿を披露。いつも以上にそれぞれのキャラクターが強いにも拘わらず3人がひとつになることで生まれるケミストリーは圧倒的で、ライブが始まると同時に東京キネマ倶楽部の場内はPENICILLINの世界へと化した。

「東京こんばんは、PENICILLINです。30周年イヤーの企画として『The Time Machine TOUR』を行っていますが、なかなか楽しいですね。過去の自分達と遭遇する感覚があって、“タイムマシン”というタイトルにふさわしいツアーになっているんじゃないかなと思います」というHAKUEIのMCが入った後、セカンド・ブロックでは爽やかかつメロディアスな「ウルトラライダー」やアグレッシブに疾走する「DEAD or ALIVE」、ダーク&ファンタジックな世界からパワフルなアップテンポに移行する「扉の向こう」などが演奏された。楽曲ごとはもちろん、曲中でも空気感が変わるメリハリの効いた展開は観応えがあるし、アンダーグランドな匂いとキャッチーさという相反する要素を融合させた独自のロック感も実にいい。様々な表情を見せながら世界観を深めていく流れに、強く惹き込まれずにいられなかった。

その後はO-JIROと千聖のMCが入った。

「今日は大体20年くらい前に戻っている感じですけど、20年前の自分達が考えていたことがわからないこともあるんですよね。“なんで、この曲順なんだろう? この曲の後にこの曲って、つながり悪くない?”っていう(笑)。そんなことを思ったり、あとは前はできていなかったことを自分が思う形に近づけることができる経験値が備わっていることに気づいたりもしました。30年やっていると、やっぱりいろいろ気づくことがあって面白いですね」(O-JIRO)。

「O-JIROさんが先に言いましたけど、“なんで、この曲順なんだろう?”というのは俺もすごく思うわ。「理想の舌」が2曲目って、絶対おかしいよね(笑)。そもそも『UNION JAP』というアルバムは非常に変わっていて、アメリカ・レコーディングを3/4以上やっていたりとか、いろんなチャレンジをしたんだよね。ギターも色んなチャレンジを相当していて、今では決してやらないこともたくさんしてる。あの時代のギタースタイルと今のギタースタイルはだいぶ違うけど、今日は今のスタイルで当時の曲を料理するよ」(千聖)。

リラックスして話すメンバーの姿が見れるのはオーディエンスにとって嬉しいことだったに違いない。O-JIROと千聖の言葉に、客席から温かみに溢れた拍手や笑いが何度となく起こることが印象的だった。

ライブ中盤では翳りを帯びたミディアム・チューンの「冷たい風」やO-JIROのしなやかビートと千聖のソリッドなギター、HAKUEIのセクシーなボーカルが一体になって独自の魅力を放つ「UFO 対 ラオウ」、アッパーなグルーブと“闇感”を融合させた「野生の証明」などが届けられた。MCで語られたとおり独創的な楽曲が多いが、難解だったり、極端にトリッキーではない辺りは実に見事。メンバー3人が自身のスタイルを貫いたうえで各曲にフィットするアプローチをチョイスしていることも含めて、彼らのセンスの良さを再確認させられた。

「もっともっと楽しんでいきましょう!」というHAKUEIのアジテーションからライブは後半に入り、エモーショナルなアップテンポの「CRASH」や、心に響くサビ・パートを配した「ロマンス」、メロディアス&パワフルな「Japanese Industrial Students」などが相次いで演奏された。激しいパフォーマンスを展開しながら爽快感に溢れたサウンドを響かせるPENICILLINと熱いリアクションで応えるオーディエンス。場内は関東サーキットのファイナルにふさわしい熱狂的な盛り上がりを見せ、心地いい余韻を残してPENICILLINは本編を締め括った。

アニバーサリー・イヤーを非常にいい形でスタートしてみせたPENICILLIN。特異な存在感からキャラクター面で語られることの多い彼らだが、秀でた音楽性を備えているからこそ30年という長きに亘って存続し続けていることを今回のライブを観てあらためて感じさせられた。そして、マニアックな世界観とベテランにふさわしい高度な演奏力を兼ね備えた現在の彼らは唯一無二の魅力を放っている。そんな彼らだけに今年1年の動きはもちろん、その先の展開にも大いに期待したいと思う。

photo by 折田琢矢

text by 村上孝之

【セットリスト】

SE Theme from STAR WARS

1 MONSTER

2 理想の舌

3 BVB

4 ウルトライダー

5 DEAD or ALIVE

6 扉の向こう

7 冷たい風

8 UFO 対ラオウ

9 野生の証明

10 CRASH

11 ロマンス

12 Japanese Industrial Students

EN1  

1 JULIET

2 Blue Impulse

EN2   

1 Chaos
【ライブ情報】

『「祭り」(〜リクエストライブ(仮)〜)』

8月07日(日) Veats SHIBUYA

後日詳細発表!


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