<ライブレポート>Official髭男dism、リベンジ果たした1年4か月ぶりワンマン「僕らはいつでもこのステージの上で待ってます!」

2021年7月10日 / 22:00

 Official髭男dismが、【Road to 「one – man tour 2021-2022」】を6月23日、24日、神奈川・ぴあアリーナMMにて開催した。

 本公演は、2020年2月22日に行われた全国ホールツアーの鳥取公演以来、1年4か月ぶりとなる有観客ライブ。同ホールツアー後、バンドは初のアリーナツアーを開催予定だったが、止むを得ず開催は見合せに。しかし、今年の4月に開催されたファンクラブ限定のオンラインライブで、新たな全国アリーナツアーと、その前哨戦となる今回の公演の開催が発表された。本公演は、23日夜、24日昼・夜の3公演が行われ、本項では24日夜公演の模様をレポートする。

※本公演は7月18日(日)までアーカイブ配信がございます。以下、セットリスト・演出のネタバレがございますので、未視聴の方はご注意ください。

 開演直前、会場BGMにはマイ・ケミカル・ロマンス「Welcome To The Black Parade」が流れる。マーチングバンドのリズムから、アップテンポなポップ・パンクへ曲調が切り替わると、どこからともなく手拍子が巻き起こり、フロアの期待値は早くもマックスに。

 曲が終わると同時に暗転し、幻想的なオリジナルのSEから、1曲目「I LOVE…」のイントロへ突入。会場の照明が一気に明るくなり、ステージ上には楢﨑誠(Ba./Sax)、松浦匡希(Drs.)、藤原聡(Vo./Pf.)、小笹大輔(Gt.)のヒゲダンメンバー4人と、善岡慧一(Pf.)、アンディ・ウルフ(Sax./Fl.)、湯本淳希(Tp.)、川島稔弘(Trb.)、ぬましょう(Perc.)、宮田“レフティ”リョウ(Key./Ba.)のサポートメンバー計10人が登場する。さらに、バックスクリーンにライブタイトルが大きく映し出されると、会場は瞬く間に興奮に包まれた。腕を目いっぱい前に伸ばし、スタンド席の一番遠くまで届けるよう歌い上げる藤原や、一音一音を力強く、そして生き生きと演奏するメンバーたち。その姿からは、直接自分たちの音楽を届けられる喜びと、この1年4か月の間に溜め続けてきた、ただならぬエネルギーを感じた。

 今回は1年4か月ぶりのライブともあり、セットリストには有観客では初披露となる楽曲が並んだ。リズム隊2人が鳴らす、キックとベースの低音がアリーナ映えする「HELLO」、爽快感溢れるミドルチューン「パラボラ」、そして白眉だったのが「Laughter」だ。曲が始まると、バックスクリーンには少女2人が出演するMVのアナザーストーリー的な映像が流れ、さらにアリーナ席の外周に設置されたライトが、まるで鳥かごのように客席を囲む。演奏、映像、舞台演出と、複数の媒体で心を揺さぶられるのはリアルライブならではで、特別な感動があるが、どんな演出にも負けない楽曲の鮮烈さにも驚かされる。

 セットリストの折り返し地点、ライブ初披露となった「Cry Baby」は、まさにこの日の山場だった。リリース直後からめまぐるしく変わる曲調が注目されていた本曲だが、ライブで聞くと、その豪快且つスリリングな展開により一層圧倒される。大量のスモークが焚かれたり、スクリーンには土砂降りの雨と稲妻が映し出されたり、ステージ上の緊迫感がどんどん高まっていくなか、タフに演奏を繰り広げるメンバーたちの姿は、どこかこの歌の主人公と重なる部分もあり。昨年のツアーの“リベンジ”へと向かう、今回の公演を象徴するような一曲にも思えた。

 「今日という日に来るまでいろんな挫折もありましたけど、今日この時間みんなと一緒に過ごせたことで全部報われて、大きなお釣りをもらえたと思ってます」と、オンラインライブ時のMC(参照:Official髭男dism、ファンとメンバーが選んだ名曲揃いのFCライブ開催)に絡め、オーディエンスに感謝を伝えた藤原。ここからはオンラインライブでも演奏していた「夕暮れ沿い」のビックバンドアレンジバージョン、「ノーダウト」のスカアレンジバージョンを続けて披露。「ノーダウト」の2番Aメロでは、いきなりレゲエ調に切り替わり、楢﨑がドレッドヘアーのカツラをつけて登場するなど、遊び心が垣間見られた。

 フロアのテンションが最高潮となった矢先に投下されたのは、ヒゲダン史上最も熱いハードロックチューン「FIRE GROUND」。けたたましいコーラスに合わせて、多くのオーディエンスが拳を突き上げる。小笹による恒例のギター速弾きソロから、藤原がサビのラスト<残ったのはどっちだ?>でメタルシンガーさながらのハイトーンを繰り出し、会場の熱はさらにヒートアップする。続けて「声を出せない今日だからこそ一緒に歌いたい」(藤原)と始まった「Stand By You」では、ぴったりと揃った会場中のクラップが、まるで一つの楽器のようにバンドのアンサンブルに溶け込む。コール&レスポンスはできなくとも、バンドとオーディエンスの結びつきを強く感じるワンシーンだった。

 「この1年と4か月は、あまりにも長い時間でした。俺たちは何者で誰に必要とされているのか、わからなくなってしまう時も、時にはありました。だけど、インスタライブやオンラインライブをやったりして、みんなの声を聞くことができました。1年4か月の間の中でも、俺たちのことを知らなかった人も俺たちの音楽を聴いてくれるようになりました。そんな日々なら、何の否定もすることはない。俺たちにできることは、音楽を作って、みんなのイヤホンやスピーカーの中で待ち続けることだと思いました」と、ライブができなかった日々を振り返った藤原。改めてこの日集まってくれた人達へ感謝の気持ちを伝え、最後は「ラストソング」で本編を締めくくった。アウトロでは、スマートフォンのライトが客席を埋め尽くし、暖かな雰囲気が会場を包み込んだ。

 アンコールでは、8月18日にニューアルバム『Editorial』をリリースすることを発表。嬉しいサプライズに、跳んで喜ぶお客さんの姿も見られた。そして、ニューアルバムにも収録される「Universe」で、ライブはフィナーレを迎える。「やっぱりこの空間が大事だと思ったし、これからも守っていきたいと思いました。もしまたライブに来れなくなることがあっても、悔やまないでほしいと思います。とにかく、自分の選択に胸を張ることを大事にして下さい。その胸を張るために、今日のライブや僕達の音楽がその足しになってくれていればと思います。僕らはいつでもこのステージの上で待ってます!」(藤原)

 9月より開催される全国ツアー【Official髭男dism one – man tour 2021-2022 – Editorial -】は、またこのぴあアリーナMMからスタートする。

Photo by TAKAHIRO TAKINAMI

◎公演情報
【Official髭男dism Road to 「one – man tour 2021-2022」】
2021年6月23日(水)24日(木)
神奈川・ぴあアリーナMM
<セットリスト>
01. I LOVE…
02. HELLO
03. パラボラ
04. イエスタデイ
05. Laughter
06. Rowan
07. Pretender
08. Cry Baby
09. 旅は道連れ
10. 夕暮れ沿い
11. ノーダウト
12. FIRE GROUND
13. Stand By You
14. ラストソング
En1. 宿命
En2. Universe

<プレイリスト>
https://hgdn.lnk.to/Road_to_omt2021-2022
※プレイリスト公開を記念したTwitterシェアキャンペーン実施中
https://higedan.com/information/10321/

◎リリース情報
アルバム『Editorial』
2021/08/18 RELEASE
<CD>
PCCA.06057 / 3300円(tax in.)
<CD+DVD>
PCCA.06056 / 5500円(tax in.)
<CD+Blu-ray>
PCCA.06055 / 5500円(tax in.)

◎ツアー情報
【Official髭男dism one – man tour 2021-2022 – Editorial -】
2021年9月4日(土)~2022年4月17日(日)
https://event.higedan.com/feature/at20_tour2122


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