X


不要不急だから音楽は素晴らしい!コロナ以降を感じさせてくれた5曲

不要不急だから音楽は素晴らしい! コロナ以降を感じさせてくれた5曲 (okmusic UP's)

コロナウイルスによるイベント自粛が始まってもうすぐ4カ月ですが、依然として苦境が続くエンタメ業界。そんな中、アーティストたちは配信でライヴ、あるいはトーク企画などを行なったりと変化を模索し、日常を取り戻すための未来への歩み方が少しずつ見えてきている気もします。というわけで、今回のテーマは“コロナ以降を感じさせてくれた5曲”。不要不急だからこそ音楽って素晴らしいと改めて思えた、この現実と向き合ったことがうかがえる新曲をピックアップしてみました。
「タタカエブリバディ」(’20) /ウルフルズ

緊急事態宣言下、5月6日の深夜にフジテレビ系で放送された氣志團・綾小路翔が主催の家フェス『STAY HOME,STAY STRONG〜音楽で日本を元気に!〜』。その中で特にグッときたのは、新曲「タタカエブリバディ」を朗らかに届けたウルフルズのパフォーマンスでした。自粛で悶々としている人たちに《おい どんな感じ?》と気兼ねなく呼びかけてくれるこの親しみやすさを、心が軽くなってまた歩いていこうと思えるようなこのビートを、自然体でスマートなこういうメッセージを、僕らは求めていたのかもしれませんね。レッド・ホット・チリ・ペッパーズの「ギヴ・イット・アウェイ」のオマージュがしれっと入っていたりするユーモアも最高。
「新世界」(’20)/RADWIMPS

こちらも緊急事態宣言下の5月8日、テレビ朝日系『ミュージックステーション』で“今届けたい歌”として初公開、翌日の配信リリースも話題となったRADWIMPSの「新世界」。明るく《僕と君なら きっと越えて行けるさ》と歌えもしたけれど、そうやって多くの人を励ます希望に満ちた楽曲にするのはやめて、そこはかとなく漂う違和感を、これまで惰性で進んできた世の中の現実を、聴き手へ突きつけるように表現しているのが彼ららしくて素敵です。《僕ら長いこと 崩れる足元を 「上向いて歩けよ」と 眼をそらしすぎた》——大切なことから目を逸らさず、未来を真剣に考えるきっかけが生まれるのなら、そんな辛辣な一節に心揺さぶられるのも悪くない。
「SayHello」(’20)/あっこゴリラ

valknee、田島ハルコ、なみちえ、ASOBOiSM、Marukidoとのマイクリレーソング「Zoom」も注目を集めたラッパーのあっこゴリラが5月13日に配信リリースした新曲。「SayHello」では“うちらはみんな当事者”をテーマに掲げ、コロナの影響で浮き彫りになったあれこれを痛快に吐き出しまくっていくのですが、常日頃から政治や差別の問題についてフラットに言及している彼女ゆえの説得力が凄まじい! 《「怒るのはナンセンス」 スマイルで言えるあいつ 背後にみえる政府 脳がされてくレイプ》と、ジャンクかつダンサブルなビートに乗せたキレキレのフロウもたまりません。心が折れてしまいそうな時、聴いてほしい。ここから本領発揮という気分になれるはずなので。
「SMILE SMILE」(’20) /夜の本気ダンス

6月10日に配信リリースされた夜の本気ダンスの新曲。コロナウイルスの影響を受けてリモート制作となったMV(メンバーの姿を映したスマートフォンをマネキンと組み合わせてミニチュアで演奏シーンを表現)も話題を呼びました。「SMILE SMILE」の歌詞が出来上がったのはコロナ感染が拡大する前だったそうですが、《散々な日々には笑うといい》《悲しい心に BYE BYE BYE》など今の世界にしっくりくるラインが満載で、ちょっぴり懐かしい気持ちを誘うメロディー、この先の未来へ向かえるようなポジティブなエナジー、イントロから冴えわたるブラスアレンジも素敵。肩肘張らないモードを取り戻せて、自然と笑顔になれる曲だと思います。
「エンタテイメント!」(’20) /佐野元春&ザ・コヨーテバンド

“Black Lives Matter”運動に呼応して公開された「新世界の夜」のMVやコロナ禍で疲れた人たちを応援する新曲「この道」も素晴らしかった佐野元春&ザ・コヨーテバンド。中でも、苦境にあえぐ音楽業界をやさしく照らすような清々しいビートロックナンバー「エンタテイメント!」は染みました。不安な時代を踏まえた凛としたメッセージに触れるうち、エンタメの役割について考えられて、音楽には今みたいな難局を乗り切る力がある、普段見過すごしがちなことを気づかせてくれる力があると実感できるはず。後半の《もう泣かなくていい》で泣けてしまいます。デビュー40周年を迎えてなお、こんなにピュアな曲が書けるなんて。脱帽。
TEXT:田山雄士

田山雄士 プロフィール:フリーのライター。元『CDジャーナル』編集部所属。同誌の他、『okmusic UP’s』『ナタリー』『bounce』など、雑誌/WEBを中心にお仕事をしています。日本のロックバンド以外に、シンガーソングライターとか洋楽とか映画とかも好きです。

音楽ニュースMUSIC NEWS

平野紫耀、2年ぶり出演「ムヒシリーズ」新TVCMが放映開始&メイキング映像も公開

J-POP2024年5月7日

 平野紫耀(Number_i)がイメージキャラクターとして2年ぶりに出演する、池田模範堂「ムヒシリーズ」新TVCMの放映がスタートした。  「僕らの夏は、液体ムヒS。」篇では、地元に帰省する“お兄ちゃん”を演じ、麦わら帽子に虫かご、虫捕り網 … 続きを読む

<ライブレポート>りりあ。、等身大の歌で届けた初ワンマン Aru.(ミテイノハナシ)とのデュエットも披露

J-POP2024年5月7日

 りりあ。が初の単独ライブ【First OneMan Live「記録の記憶」】を4月29日、東京・青山月見ル君想フにて開催した。これまで配信ライブや限られたイベントにのみ出演してきたりりあ。だが、彼女が人前に出て本格的なライブを実施するのは … 続きを読む

エド・シーラン、“最初はあまり好きではなかった”『X』収録曲とは?

洋楽2024年5月7日

 「Thinking Out Loud」「Don’t」「Sing」などのヒット曲を生み出し、大成功を収めたエド・シーランの2ndアルバム『X(マルティプライ)』のリリースから10年が経った。  現地時間2024年5月2日、ロサン … 続きを読む

ラナ・デル・レイ、キャリア初となる米単独スタジアム公演を発表

洋楽2024年5月7日

 ラナ・デル・レイによる音楽フェスのヘッドライン・ステージを観たことがあるなら、彼女が多くのオーディエンスを魅了できるのは知っているだろう。そんな彼女が、現地時間2024年6月20日に米ボストンの象徴的なフェンウェイ・パークにて、アメリカで … 続きを読む

【米ビルボード・ソング・チャート】テイラー・スウィフト×ポスト・マローン首位キープ、トミー・リッチマン/シャブージー初TOP10入り

洋楽2024年5月7日

 テイラー・スウィフトの「フォートナイト feat. ポスト・マローン」が2週目の首位を獲得した、今週の米ビルボード・ソング・チャート。  先週(2024年5月4日付)自身12曲目、初登場としては通算7曲目の1位を獲得した「フォートナイト」 … 続きを読む