【週末映画コラム】映画や映画館への愛にあふれた2本 映画好きな高校生の苦悩を描いた『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』/映画館の存在意義を問う『キノ・ライカ 小さな町の映画館』

2024年12月27日 / 08:00

『キノ・ライカ 小さな町の映画館』(12月14日公開)

(C)43eParallele

 フィンランドの鉄鋼の町カルッキラに、映画監督のアキ・カウリスマキと仲間たちが誕生させた町で初めての映画館キノ・ライカ。深い森と湖、そして現在は使われなくなった鋳物工場しかないこの町で、住民たちは映画館への期待に胸をふくらませ、映画について口々に語り始める。

 カウリスマキと共同経営者の作家ミカ・ラッティが2021年に映画館をオープンさせるまでの様子や、住民たちがインタビューに応じる姿などをヴェリコ・ヴィダク監督がカメラに収め、カウリスマキが自ら館内の内装や看板設置などの作業に勤しむ姿も映しだす。

 映画館が完成するまでの様子を緩い感じで追っていくドキュメンタリー。さまざまな町の住民たちに加えて、カウリスマキ監督の『希望のかなた』(17)に出演した人々や『枯れ葉』(23)に出演した女性デュオ、盟友ジム・ジャームッシュ監督らも登場し、カウリスマキとの思い出や映画への思いを語る。現地に移り住んでいる日本人による日本語の歌も流れる。

 こうして住民たちが映画館に期待を寄せる姿を目にすると、改めて映画館の存在意義について考えさせられるし、北欧らしいデザインで建てられたこの映画館に行ってみたくなる。

(田中雄二)

 

  • 1
  • 2
 

Willfriends

page top