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続いて、『ステージ・マザー』。
テキサスの田舎町に住む主婦メイベリン(ジャッキー・ウィーバー)は、長い間疎遠だった息子のリッキーの訃報を受け、サンフランシスコへ。そこで彼女は、息子がドラァグクイーンでゲイバーを経営していたことを知る。メイベリンは、息子が遺した経営難のゲイバーを再建するために立ち上がる。
保守的な初老の女性が、息子を理解しないままに亡くした後悔から、自らを見つめ直し、やがて偏見や差別を乗り越えて、ドラァグクイーンたち“皆の母”になっていく様子が描かれる。
そして、それを見ているこちらも、メイベリン同様、最初は、正直なところ、偏見の目で見ていた彼らの一人一人が、だんだんと、いとおしく思えてくる。彼女と一緒に見る側も変化していくのだ。
だから、ラストの、ボニー・タイラーの「愛のかげり」に乗って、メイベリンを中心に皆が歌い踊る姿に、ひときわ感動を覚えさせられる。
つまり、このカナダ映画も、フランス映画の『MISS ミス・フランスになりたい!』同様、性別を超えた共同体を描いていることになる。そんな2本の映画が、日本で同時に公開されることに、不思議な縁のようなものを感じた。(田中雄二)