ZAZEN BOYS ずぼっとはまった夜明けの超絶ブレイク

2012年9月15日 / 02:28

 9月8日に川崎市東扇島東公園で行われた都市型オールナイトのフェス【BAYCAMP 2012】。その大トリを務めたZAZEN BOYSが最新作『すとーりーず』からの楽曲を中心に相変わらずの超絶ブレイクを繰り広げ、圧巻のステージを見せてくれた。

 オールナイトフェスの大トリを務める彼らの開演時間は午前4:40。ステージを向いて背後にある海はほのかに明るくなり、太陽が昇り始めてきた。イベント開始から13時間ほど経ち、こんな時間まで観客は残っていられるのか?残っていてもZAZEN BOYSに立ち向かう体力は残っているのか?と少し不安もあったが、その不安はすぐに解消された。ステージ近くには大勢が詰めかけ、メンバーの登場を待つ。最後のアクトということもあり、会場に残ったほとんどの観客もスタンディングで彼らの音楽が鳴り始めるのを待っていた。

 開演時間よりも早くステージに上がったメンバー達は淡々と出音を確認する。思わず観客はサウンドチェックのセッションのリズムに乗り始める。他のアーティスト同様一旦下がるのかと思いきや、向井秀徳が「カワサキ・シティー!!」と観客を煽り、そのまま演奏がスタート。ライブの鉄板曲「HIMITSU GIRL’S TOP SEACRET」へ。あっという間に会場はヒートアップ。

 先日の【ROCK IN JAPAN FES】では新曲ばかり披露していたこともあり、今回は『すとーりーず』をそのままやってしまうのではないかという期待もあったが、そこは夏フェス。定番曲は外さない。やはり向井秀徳はギターを弾きながら歌う姿がカッコ良い。サウンドチェックの際も思ったが、彼のカッティングはもの凄く巧みで、先日の【SWEET LOVE SHOWER】で魅せてくれた山下達郎大先生のそれにもまったく引けを取らない。改めて「ギター上手いなー」と思わされた。スタートからバッキバキのブレイクの応酬は「Riff Man」でも同様に繰り広げられ、観客を圧倒していく。カシオマンもジャキン、ジャキン、バッサ、バッサと空気を切り裂くようにギターで音の塊を放つ。ぴりぴりと張りつめた空気の中で展開される演奏は心地よく、遊び疲れた身体はどんどん目覚めていく。

 そして、最新作『すとーりーず』の楽曲へ。先行配信された「ポテトサラダ」「サイボーグのおばけ」から披露。観客も「当然聴いてますよ!」と言わんばかりの歓声で応える。向井はギターから楽器をキーボードに変え、一音一音を確かめるように奏でる。緊張感の高い空気は密度を増し、会場全体を支配していく。ついには楽器を持つこともやめた向井が「はあとぶれいく」「気がつけばミッドナイト」をマイク片手にひょうひょうとした表情で歌う。その姿は会場から海の向こう見える工業地帯で夜通し働くロボットのようでもある。熱のこもった表情ながら淡々と演奏するメンバーも“呼吸を合わせる”というよりも“同期”という言葉がしっくりくる。

 手に汗握る緊張感はそのままに「暗黒屋」「サンドペーパーざらざら」を披露。彼らの変拍子コンビネーションの魅力に取りつかれた観客たちはそれぞれのリズムでゆらゆらと身体を揺らす。「泥沼」では向井の発する「ずぼっと」の合図に合わせて超絶タイミングでのブレイクの応酬。どこからどこまでを練習していたのか、はたまたアドリブで対応しているのか。凄すぎて笑えてくる。キーボードを操りながらバンドを指揮する向井秀徳の姿はどんどんマイルス・デイヴィスと重なっていく。

 そして、一気に後半戦「COLD BEAT」へ突入。「これでもか」と言わんばかりに各自が超人的なシンクロを魅せたが、修行僧が苦行を耐えるような形相(衣装も)でベースラインに音をねじ込む吉田一郎は今回一番の衝撃を受けた。常人のベーシストが奏でるであろうフレーズの倍以上の音数でリズムを埋め尽くし、バンドを引っ張っていた。

 ラストは「Asobi」。空も明るくなった頃、「遊び足りない」と歌う本楽曲はこの雰囲気にぴったりだった。昼から明け方まで踊り回り、飛び跳ね、もう体力の限界と思っていたが、そう言われるともっと欲しくなる。しかし、もう少しやって欲しいと思わせておいてステージを去っていく。大トリには許されていたはずのアンコールも無しに終演させる彼らは楽曲と同じく潔かった。

 重厚なのに軽やかな音の塊であった最新作『すとーりーず』はこれからツアーを重ねてどんどん研ぎ澄まされていくはずだ。進化していく楽曲達の今後を是が非でも見届けたくなった。

◎【BAYCAMP 2012】
9月8日(土)川崎市東扇島東公園 セットリスト:

01.HIMITSU GIRL’S TOP SECRET
02.Riff Man
03.ポテトサラダ
04.サイボーグのオバケ
05.はあとぶれいく
06.気がつけばミッドナイト
07.暗黒屋
08.サンドペーパーざらざら
09.泥沼
10.COLD BEAT
11.Asobi


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