<ライブレポート>「歌うことは私の天職」と45周年を迎えた涼風真世 贅沢な宝塚メドレーや心揺さぶるミュージカル曲で満たし、秋の大阪記念ライブ開催発表に沸いた一日

2026年4月28日 / 19:00

 タカラジェンヌとして晴れやかに初舞台を踏んだ45年前の春――。そこから歩みを止めることなく、数々のミュージカルやドラマに出演し、歌手、声優(テレビアニメ『るろうに剣心』緋村剣心役など)として“人々の記憶に残る”活躍をしてきた涼風真世が、4月11日(土)、【涼風真世 45周年記念ライブ Anthology】を、ビルボードライブ横浜で開催した。同会場での春のライブは5年連続。初夏のような陽気となった今年は、1stステージを【~空~】、2ndステージを【~海~】と題し、異なる構成のセットリストで45年の軌跡を振り返った。さらにライブ終盤には、10月24日(土)に、ビルボードライブ大阪でも45周年記念ライブを開催することを発表。大阪でのビルボードライブは4年半ぶりで、このサプライズに「ウワー!」と大きな歓声が沸き起こった。

 涼風真世の歌は別格だ。劇場の壁を震わせるような声量、地をはうような深く魅惑的な低音から、天空を突き抜けるような張りのあるソプラノまで自在に操り、何よりも歌詞の“ドラマ”を歌に宿らせる表現力が際立っている。努力に裏づけられた強靭な喉に、さらなる進化を感じさせるのも驚きだ。宝塚歌劇団の長い歴史において、ここまで歌唱力を磨き続けている元トップスターは稀有な存在といえるだろう。

 最近は人気ミュージカル【エリザベート】(皇太后ゾフィー役)の圧倒的なパフォーマンスが記憶に新しいが、ビルボードライブ横浜で味わう涼風の歌声は、もっと近くにその存在を感じ、いろいろな意味で“ゴージャス”。語り部のように神秘的で気高い雰囲気を放ちつつ、涼風自身のチャーミングな人柄からあふれ出る“ぬくもり”が、観客をあたたかく包み込む。今年は初舞台公演の楽曲から、下級生のときに与えられたソロ曲、月組トップスター時代の代表作など宝塚の曲がふんだんに組み込まれ、この宝塚メドレーのセットリストが、1stステージと2ndステージで異なっていた。さらに世代を超えて愛される名曲、大ヒットアニメの主題歌、涼風が愛するミュージカルの曲、オリジナルの新曲など、各ライブ20曲近くを歌い上げた。

 1st、2ndとも白一色の爽やかなパンツスタイルで現れた涼風。「初舞台から45周年を迎えました。いつも私を見守り支えてくださる皆さまのおかげと、心より感謝申し上げます。今日は私と一緒に45年振り返っていただきたく、よろしいですか!?」と茶目っ気たっぷりに語りかけると、大きな拍手が起きる。

 涼風をいつも音楽監督として支える三枝伸太郎(Pf.)、さらに4人のバンドメンバーが豊かな旋律を奏でるなか、崇高な響きのあるボイスで「見上げてごらん夜の星を」、流麗な高音フレーズが冴えわたる「夜明けのスキャット」、足踏みしながら力強く歌う姿が微笑ましい「あゝ人生に涙あり」と歌い上げていく。MCでは、テレビ時代劇【水戸黄門】の主題歌「あゝ人生に涙あり」の歌詞を、「高校生のとき自分に言い聞かせていました!」と、自身の応援歌だったと打ち明ける涼風。手拍子が沸き起こった会場の一体感も忘れられない。

 「シクラメンのかほり」「あなたに逢いたくて」という歌謡曲の名曲をしっとりと披露した後は、グリーンのライトが神秘的に舞台を染めるなか、涼風の表情が厳かに変化。深い森に祈りが響くような透き通るファルセットで「もののけ姫」を歌い上げ、聴く者を強く惹きつける。さらに、エネルギッシュな歌唱「ろくでなし」へと流れ込み、軽くステップを踏みながらの楽しいパフォーマンスを見せて、場内の熱量がぐんと高まった。

 続いての宝塚メドレーに入る前には、15歳で宝塚歌劇を初観劇し「この舞台に絶対立つ!」と決意したこと、1981年に宝塚歌劇団に入団した喜びなどを明るくトーク。そして1stステージでは、初舞台公演【宝塚春の踊り】【ファースト・ラブ】の曲をアップテンポに届けたのに始まり、「山の雫」「この時この愛を」など月組下級生時代の思い出の曲を次々と披露する。客席には涼風の同期生が見守っているということで、嬉しそうに手を振る場面もあった。

 「愛のかけら」「思い出は遠く」「炎のオルフェ」「週末ダイナマイト」と、涼風が新人公演で主演した【二都物語】や、バウホール初主演作【スウィート・リトル・ロックンロール】の曲で瑞々しい歌声を放つ姿は、“歌の妖精”と称されるにふさわしい輝きだ。そして1stステージ【~空~】宝塚メドレーのラストを飾ったのは、月組トップスターお披露目公演【ベルサイユのばら】で、涼風オスカルのために作られた曲「我が名はオスカル」。マントを翻した男装の麗人・オスカルが、颯爽と大階段に登場するさまが目に浮かぶ、凛々しく正義感に満ちた声色。ここまで歌い切った涼風の表情は充実感に満ちていた。MCでは当時のお披露目公演を思い出し、「各組のトップさんが特別出演してくださり、初舞台生もいて、奇跡のような公演でした。ちょうど今ごろ、春の公演でした!」と懐かしむ。

 この宝塚メドレーが、2ndステージ【~海~】では少し趣向が違い、深みを増した男役像が浮かび上がる曲がメインとなっていたように感じる。1曲目は、バウホール単独初主演作【夢の彼方に】で、アンデルセンを演じたフェアリーな雰囲気で始まったものの、そのあとは情熱的な恋愛を紡ぐ「赤と黒のバラード」、メフィストフェレス役で涼風の人気を決定づけた「悪魔の涙」で、危うさを帯びた三白眼の視線も送り、深い美声を響かせる。歌い終わると「キャー!」という観客の歓声がやまない。涼風は、「こんな私に歓声をありがとうございます!」と照れながらも喜びの表情。そして当時を振り返り、「男役って包容力よね」と男役の楽しさに開眼した思い出を、豊富なエピソードを交えて披露した。

 続いて、【ベルサイユのばら】の中の娘役の名曲「青きドナウの岸辺に」を、どんなエトワールにも勝るような素晴らしいソプラノで歌い上げたのには驚愕。オスカルが貴族も平民もみな同じだという思いを込めて歌う「人は皆幸せに」には、まさに言霊が一音一音に宿り感動の波が広がる。「夢人」「川霧が流れる」を歌い終わった後には、【川霧の橋】の大工・半次役のカツラ秘話などを披露し、「懐かしいですね!」と笑顔が絶えない。

 オスカルの次に演じた涼風のもうひとつの代表作、【銀の狼】からは、「悪夢」「旅立ち」を。ミステリアスで複雑なメロディに、記憶を失った男の叫びがこだまする。深い低音から高音へとクレッシェンドしていくなかに、芯のある強い声色と切ないロングトーン、相反するものが混じり合う。涼風のドラマティックな歌唱の真骨頂をあらためて感じた。そして2ndの宝塚メドレーラストも「我が名はオスカル」。この曲なくして、涼風は語れない。歌い終わった涼風は「この【ベルサイユのばら】をご覧になった方は?」と問いかけ、かなり多くの人が手を挙げると、「皆さん、親戚みたい!」。当時の公演について、「すべてがキラキラしていた!」と語る涼風の瞳もキラキラと輝いていた。

 宝塚メドレーが終わると、退団後の女優や声優、さまざまな仕事を振り返ってのトークに。そのなかで「やはりミュージカルが大好きです。歌で心を表現できる。これは自分の天職かなと思っています」と。そのミュージカルナンバーより、涼風が選んだ1曲目が、昨年秋に発売されたアルバム『Fairy ~この風の向こうまで~』にも収録されている、【王様と私】の「シャル・ウィ・ダンス」。軽やかに舞うような美しい歌唱で届け、途中から男性パートの声(録音)とデュエットする形となるが、それもまた涼風自身の声。涼風は、「あれ? かなめ(涼風の愛称)くんがいましたね」と笑い、「自慢じゃないのですが、男性キーも出るんです」と明かすと、場内は大きな拍手に包まれる。通常のミュージカルナンバーを、男性キーのまま歌える涼風の“至芸”は、40周年記念アルバム『Fairy ~A・I~ 愛』にも活かされていて、男性パート&女性パートを両方こなすデュエットがほかにも収録されている。

 2曲目のミュージカルナンバーは、壮大なメロディの伴奏から引き込まれる「レベッカ」。亡き女主人・レベッカへ強い想いを募らせるダンヴァース夫人が、情念をぶつけるように歌い上げる大曲で、涼風が出演した【レベッカ】やコンサートで何度も歌ってきたドラマティックな1曲だ。涼風がこのナンバーを歌うと、物語の舞台・マンダレイの景色が見え、亡くなったはずのレベッカが立ち現われそうな感覚に包まれる。心の奥をえぐるような、陶酔の極致。その圧倒的な歌唱に、割れんばかりの拍手が送られた。

 この曲を生んだ、ミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイの作品には、【モーツァルト!】【マリー・アントワネット】など数多く出演している涼風。ふたりとの出会いに感謝を述べる。そして「私にはもうひとつ、歌手・涼風真世の顔があります。その中から、この曲をお聴きください」と、「空だけはそこにある」を伸びやかに歌い上げた。白いスポットに照らされる姿は神々しく、会場を見渡しながら手を差し伸べる姿に、広い空でつながる大切な人、ファンへの想いがにじみ出ていた。さらにミラーボールが回るなか、彼女の出身地・東北地方の復興支援ソング「花は咲く」を歌唱。このあと初めて舞台奥へと姿を消し、衣装チェンジへ。

 その間、舞台上にスクリーンが下り、涼風のプライベートフォトが次々と映し出される。2026年から1960年(誕生)へとカウントダウン。愛らしい赤ん坊のときの写真、ご両親や姉との記念撮影、自宅でのリラックスショット、運動会、宝塚音楽学校の入学式……。これまで涼風が育んできた大切な時間を振り返る貴重な写真の数々に、デビュー45周年にいたるまでの幸せな道のりを実感した。

 そして柔らかなピンクの色味のロングワンピースで現れた涼風は、昨秋発売のアルバムに収録されている新曲「この風の向こうまで」を初めて披露。アコースティックギターやピアノの優しい音色に合わせ、少し体を揺らしながら優しい表情で、〈あなたがいてくれるだけで 光が射す場所がある〉〈一緒にこのまま 歩こう〉と、大切な人へのあふれる想いを語るように紡いでいく。今ライブでもひときわ輝きに満ちた時間が流れ、その稀有な歌声をじっくりとかみしめるひとときとなった。涼風は、松井五郎作詞・三枝伸太郎作曲のこのオリジナル曲を、「宝物がまたひとつ増えました」と紹介し、満面の笑顔。

 最後は、涼風が還暦を迎えたときに自ら作詞した「A-YU-MI(歩み)」で締めくくる。彼女が手を振ると、手を振り返す観客たち。長年築いた信頼関係が確かに垣間見え、ラストのフレーズ〈ありがとう〉では、それまで涙を見せなかった涼風の目元に、キラリと光るものが。「今日まで歌い続けてこられたのは、私を愛し、信じ、見守り、支え続けてくださった皆さまのおかげです」「これからも歳を重ねることはいいことだと思って生きていきましょう!」という言葉に、たくさんの笑顔とあたたかな拍手が会場を包み込む。〈迷うことなくA-YU-MI(歩み)続けよう〉と進んできた45年。その感謝の想いが渾身のパフォーマンスとなって、ビルボードライブ横浜の空間に広がる濃密な一日だった。次の10月24日(土)、4年半ぶりとなるビルボードライブ大阪ではどんな歌声を披露してくれるのか。「45周年、今日のライブでは歌いたい曲が入りきらないんですよ!」と話していた涼風。また新たな趣向で魅せてくれるに違いない。

Text by 小野寺亜紀
Photo by 小林邦寿

◎公演情報
【涼風真世 45周年記念ライブ Anthology ~空(1st Stage)& 海(2nd Stage)~ in YOKOHAMA】
2026年4月11日 神奈川・ビルボードライブ横浜 ※公演終了

【涼風真世】
2026年10月24日 大阪・ビルボードライブ大阪


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