<ライブレポート>HAGANE、圧巻のサウンドと歌で魅了したバンド初の全国ツアーファイナル 2026年冬アルバム発売も発表

2025年12月29日 / 12:00

 HAGANEが、【HAGANE Full Album Release Tour「TOP OF THE TOWER」】のツアーファイナルを2025年12月25日に東京・Zepp Shinjukuにて開催した。圧巻のサウンドと歌で満員のオーディエンスを魅了して、2025年を締めくくった。

 今回の自身初の全国ツアーは、現体制初のフルアルバム『TOP OF THE TOWER』を携えて5月15日の仙台公演からスタートした。全公演ソールドアウトしたことを受けて、全国8か所9公演の追加公演が行われるという、バンドの勢いを示す大盛況ぶりだ。この日のツアーファイナルもソールドアウト。初めてニコ生独占生中継も実施された。

 会場に入ると、ステージセットに驚愕。中央にはHAGANEのロゴと剣が描かれたバックドロップ、ステージ両サイドには、左右それぞれに巨大な剣を模したオブジェが天に向かって伸びている。場内にはボン・ジョヴィ、ヨーロッパ、ヴァン・ヘイレンなど、80年代HM/HRへのリスペクトを感じさせるBGMが流れており、気分を盛り上げていた。

 開演時間の18時30分、場内が暗転すると「With a Dream」が流れ、スクリーンにはツアー各地でのライブ、インストアイベント、各地への移動やバックステージの様子など、ロードムービーが映し出された。映像が終わり、SE「Top Of The Tower」の勇壮なサウンドに乗って、剣士(HAGANEファンの総称)たちから手拍子が沸き起こると、JUNNA(Dr)、Sayaka(Ba)、Sakura(Gt)がステージに登場して、それぞれお立ち台に上がりアピール。大きなフラッグをなびかせながら、艶やかな和装ファッションの凪希(Vo)がステージに上がると、「さあ、今夜はファイナルです! 盛り上がる準備はできてますか!?」と叫んで、ニューアルバムからの「Start Our Journey」からライブがスタートした。

 JUNNAが叩くドラムに合わせてライトが瞬き、フロアにギッシリ詰まったオーディエンスがタオルを一斉に回しだした。凪希が初めて作詞したこの曲は、鉄壁のアンサンブルで描くサウンドスケープが、ライブでより一層際立っている。SakuraがフライングVを縦に構えてソロを弾くとドッと歓声が上がり、凪希がマイクをフロアに向けると「Hey! Hey!」と拳が突き上げられた。幾何学的なギターリフから怒涛のツーバスが急かすようにリズムを刻み、「天下五剣」へ。情感豊かな凪希のボーカル、JUNNAとSayakaが支える強烈なボトム、Sakuraが繰り出す速弾きフレーズと、HAGANEの魅力全開で会場は熱狂に包まれた。

 続く「Catch the star」では「まだまだ声出せますよねー!?」と凪希が煽り、さらに熱気が上昇。JUNNA初作詞による〈新しい光の中に 飛び立って行け〉と強い意思を表明する歌を支える楽器の3人が、間奏でジャムセッション風にリズムチェンジして、世界が広がっていくような展開のカタルシスが心地いい。

「みなさん、改めましてこんばんは、HAGANEです! 本日は私たちのアルバム『TOP OF THE TOWER』のツアーファイナルZepp Shinjukuにお越しいただき、本当にありがとうございます。みなさんのおかげで無事ソールドアウトになりました!」

 凪希のMCに称賛の拍手が沸き起こった。メンバー紹介では、JUNNAが1年前の会議でツアーファイナルの会場を決めるとき、「Zepp Shinjukuでやりたい」と声を上げたことを振り返り、「この1年、すごくドキドキしながら過ごしていたんですけど、1年前の自分に『後悔せずにあの時ああ言って本当によくやった』と言いたいです。褒めてやってください。本日12月25日、Zepp Shinjukuソールドアウト。本当にありがとうございます!」と熱く語り、大喝采を浴びた。

 「ステージから見るとフロアって意外とそんなに広く見えないんですけど、Zepp Shinjukuはヤバい! こんなにたくさんのみなさんがいらっしゃると思ったのは、今日が初めてです」(Sayaka)、「久しぶりに緊張しております。今日は剣士のみなさんのことを、自分の好きなボンゴレだと思って見ます!」(Sakura)とそれぞれコメントすると、凪希は「今日はみなさんにとって最高のクリスマス、最高の年末になるように、我々4人で頑張っていこうと思っております! 盛り上がる準備できてますか? みんなで声出していきますよ!」と、隅々まで声出しを求めてから「剣のレコード -Records of TSURUGI-」へ。ベースの弾むリフからギターがユニゾンで加わる。メンバーの名前をもじった歌詞や曲中でのベースソロ、ドラムソロ、ギターソロを織り交ぜた遊び心満載の曲で楽しませた。和テイストが色濃いムードを醸し出す「Kagome」では会場中から掛け声が上がり、「Hero Time」ではブラストビート、高速タッピングソロでハイスピードメタルを体現。アルバム曲の幅広さと圧巻の演奏力、歌唱力で魅了した。

 MCでは、JUNNAのドラムセットがちょっと昇った山の麓のようになっているという話題から、凪希が「頂上、“TOP OF THE TOWER”」と呟いて、メンバー、剣士たちから「おぉ~!」と称賛を集める場面も。凪希が見事なアカペラでサビから歌うライブアレンジで披露された「Not Lose」で力強く疾走すると、インスト曲「Over the fate」へ。凪希の歌唱力と、3人それぞれの卓越した演奏力が、HAGANEを形作っていることを改めて示した曲順に感じられた。凪希が加わり、静かなストリングスとピアノが流れる導入部から爆ぜる「Salvation」でシンフォニックな様式美を表現した。

 初めての全国ツアーとなった今年だが、「2026年もいろいろ準備していますので、来年もHAGANEを応援してもらえればと思います。よろしくお願いします!」との凪希のMCから、「With a Dream」へ。キャッチーでストレートなポップロックが新鮮に感じられる。マイクをフロアに向けると会場中が「Oh, oh」とコーラスを取り、手を振る剣士たち。英語詞による「Heart Scream」では、再びフロア中がタオルを回す光景で埋め尽くされて、フロントの3人はステージ上を動き回り立ち位置を替えながらパフォーマンス。凪希は「最後、一緒に歌ってくれますか!?」とマイクを向けてコーラスを求めると、大合唱を受けて豪快にシャウトしてみせた。

 ライブは終盤へと向かい、1人ずつツアーを振り返る。「22公演、めっちゃ叩いたし、1音1音、全公演を本気で全力でやってきたからこそ、Zepp Shinjukuのステージは自信いっぱい、自分を信じてやることができました! 2026年もこの4人でもっともっと大きなステージにみんなを連れて行きたいと本気で思っているので、また来年もたくさん一緒にライブを楽しみましょう!」(JUNNA)

「SakuraちゃんからメリークリスマスってLINEが来たのが2年前のクリスマス。私は来年こそライブハウスでクリスマスを祝うぞって言っていて。去年のクリスマスはこのメンバーで生配信をやってました。そして今年、メンバー4人揃ってステージにいて、ここに1,000人以上の剣士のみんながいる。なんて幸せなことでしょう! 2026年、HAGANEはもっともっと大きく活躍していきます。みなさんも今まで以上にもっともっと応援してください!」(Sayaka)

「2年前には想像できないような景色が本当にうれしくて、改めてプロとしての意識をちゃんと持った瞬間が今だっていうことに気づきました。私たちの意識が変わったというか、また違う感じに生まれ変わった気がしています。来年もこの4人で突っ走っていこうと思いますので、ぜひみなさんついてきてくれー!」(Sakura)

「剣士のみなさん、1年半前に震えた足でステージに立った私を温かく迎え入れてくれて、本当にありがとうございます。『Over the fate』のときに舞台袖からメンバーの真剣な表情を見て、本当にこの人たちに出会えてよかったってすごく思っています。JUNNAちゃん、いつも思いっきり後ろで叩いてくれてありがとうね。Sayakaちゃんもいつも本当にお話いっぱい聞いてくれてありがとう。Sakuraちゃん、私の音域まで理解してくれて、その上で最高の曲を作ってくれて本当にありがとうございます。HAGANEを作ってくれてありがとう。来年8周年を迎えますが、ずっと最初から応援してくださっている方もいれば、今日初めてHAGANEのライブを見た方もいると思います。すべてのみなさん、本当に大好きです。これからも私たちを信じてついてきてくれたらと思います!」(凪希)

 「BlackCult」でライブを再開。華やかな照明が飛び交うステージで、タイトな演奏で一体となったバンドが放つ音の塊の中から超ハイトーンで伸びていく凪希の歌声が空気を震わせる。切迫したスリリングなメロディーとラウドなサウンドを叩きつけた「Out of the Darkness」は、左側が青、右側が赤のライティングから全体が明るく照らされて、会場一体となるコーラスで感動的な1曲となった。

 アンコールは、ドラマティックなメロディーに惹きつけられる「Amour Chain」からスタート。JUNNAが頭を振りながら怒涛のリズムを叩き出し、Sayakaがステップを踏みながら太いビートをうねらせて、Sakuraが変幻自在なギタープレイを放つ。圧倒的な声量で歌い上げる凪希。4人の音が1つになって、1,000人を超えるオーディエンスを一瞬たりとも離さない。最後は1stミニアルバム『EpisodeO』(※)からの「Wintrysky」を現在の4人で聴かせてステージを降りた(※Oにストロークが付いた文字が正式名称)。

 終演かと思いきや、スクリーンに「Amour Chain」のミュージックビデオが映し出され、その後「2月に新曲の配信リリース」「6月23日恵比寿LIQUIDROOMにてワンマンライブ開催」「冬にニューアルバム発売」と、2026年の予定が一気に告知されて、割れんばかりの拍手が沸き起こった。Tシャツ姿でダブルアンコールに応えた4人は、「Life goes on!」で縦横無尽にステージを動き回り、タオルを回すオーディエンスと一体になる大盛り上がり。最高にハッピーなエンディングでツアーファイナル、2025年を締めくくった。記念撮影から、4人が肩を組んで生声で「ありがとうございました!」と感謝を伝えてステージを後にすると、スクリーンにはサンタに扮した4人からの「Merry Christmas」のメッセージが映し出されていた。

Text by 岡本貴之
Photos by Takashi Konuma

◎セットリスト
【Full Album Release Tour「TOP OF THE TOWER」】
※2025年12月25日(木)Zepp Shinjuku (TOKYO)公演
SE:Top Of The Tower
1. Start Our Journey
2. 天下五剣
3. Catch the star
4. 剣のレコード -Records of TSURUGI-
5. Kagome
6. Hero Time
7. Not Lose
8. Over the fate
9. Salvation
10. With a Dream
11. Heart Scream
12. BlackCult
13. Out of the Darkness
〈アンコール〉
1. Amour Chain
2. Wintrysky
〈Wアンコール〉
1. Life goes on!

◎公演情報
8周年記念ワンマンライブ
2025年6月23日(火)東京・恵比寿LIQUIDROOM
※詳細は決まり次第、オフィシャルサイトにて発表

◎リリース情報
「Amour Chain」
2025/11/12 DIGITAL RELEASE
https://nex-tone.link/A00204796


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