<ライブレポート>女王蜂 聖なる産声がもたらす独壇場――単独公演【アヴちゃん聖誕祭2025~GAL GAL GAL~】

2025年12月28日 / 19:00

 女王蜂、2025年のラスト単独ライブとなったのは、2年ぶりの開催となった【アヴちゃん聖誕祭2025】。副題に「~GAL GAL GAL~」と入るのも頷ける、ギャル成分高め、EDM~ダブ・ステップの要素を取り込んだ享楽的ダンスパートから、人間の情念がドロドロに注ぎ込まれたヘヴィかつグラマラスなロック・チューンまで、聖なる夜に祝福と悲鳴が口づけを交わす、そんなダイナミズムをおよそ90分のステージの中に凝縮。シンプルに見えて細部までこだわり抜かれた演出、ほぼノンストップながらブレることのないタイトな演奏、そして突出したエンターテイメント性を持ちながらエンパワーメントな気概を両立させるアヴちゃんの破格の存在感――それらが融合し、畏怖すら感じさせるシアトリカルな舞台を創造していた。

 この日は冒頭から、思いも寄らぬ怒涛の展開が繰り広げられた。まずは、やしちゃん(Ba.)、ひばりくん(Gt.)、サポートメンバーのながしまみのり(Key.)、山口美代子(Dr.)が登場~演奏し、「ハッピーバースデートゥーユー」のメロディに合わせて本日の主役、アヴちゃん(Vo.)がステージへ。ステージ後方には巨大なリボンのオブジェが吊り下げられる演出が。メンバーの衣装も、シャンデリアを“纏う”アヴちゃんをはじめ、5人それぞれが青黒のデニムにゴールドをあしらったゴージャス仕様で、そのビジュアルやコーディネイトからも聖誕祭ならではの特別感が溢れていた。

 1曲目として披露されたのは、ひばりくんのギターアルペジオに導かれるようにして歌われたバラード「燃える海」。いつだってそうだが、ひとたびアヴちゃんの変幻自在の歌声が轟けば、その場は一瞬で支配されてしまう。このグッと引き込まれる感覚は、女王蜂のライヴブの醍醐味だ。続けて同曲のダンス・アレンジ版「火然ぇるミ毎」(ヒゼンエルミマイ)へと繋げる予想外の流れにオーディエンスからもどよめきと歓声が入り交じる。やしちゃんとひばりくんも楽器を置いてお立ち台に上り、無表情でパラパラを踊る。さらにダンス・アンセム「超メモリアル」で狂騒は早くも限界を突破。スタンディングゾーンでは色とりどりのジュリ扇が多く乱舞していた。

 打ち込みも用いたディスコティックで強靭なビートが印象的だった前半で出色だったのは、〈「わたしが来たならもう大丈夫」〉〈「わたしが来たからもう大丈夫」〉と重ねる「首のない天使」。その歌詞をオーディエンスに訴えかけるように、勇気づけるように歌うアヴちゃんの姿には生命力が漲っていた。また、そうした感情やエネルギーを補完し強調する“赤”を印象的に用いたライティングも、5人のありったけの情熱を映し出していく。

 この日のライブの転換点として配置されていたのが、「あややこやや」。ステージ後方の黒幕が白バックの緞帳にチェンジすると、さきほどまでキュートでファンシーなリボンとして会場を彩っていたオブジェが、ライティングの変化もあり鈍く妖しげな光を放つ蝶のように変貌。戦慄の旋律とエキセントリックなボーカルを際立たせていた。アヴちゃんが黒ドレス×クリムゾンレッドのフェザーショールに衣装チェンジしたあとの後半戦でファンを驚かせたのは、ガレージ~GS歌謡を彷彿とさせる初期曲「鬼百合」だろう。「ファズ」というモロの単語も登場するが、ノイジーさを増しながら徐々に混沌へと誘う構成が、翻って美しく感じられるほどの衝動を放っていた。

 最終盤は、アニメ『アンデッドアンラック』を彩った「01」や「02」、『【推しの子】』第1期のエンディング主題歌「メフィスト」、1stシングル「ヴィーナス」など代表曲/人気曲で畳み掛け、ラストは「Introduction」をパフォーマンス。〈はじまらないからはじめた それだけ〉というフレーズには、改めて女王蜂という組織体の根幹が表現されているようであったし、はじめたものを続けることへの飽くなき欲望も描いていた。2年ぶりの聖なる誕生祭の締めくくりにこの曲を持ってきたこと、そしてアヴちゃんに宿る覇気を見て、完全復活やリスタートといった言葉が浮かんできたことは記しておく。

 MCはこの日も最低限であったが、「調子はどう?」「踊れる? 行くよ!」といった煽りや、関西のイントネーションがキュンとさせる「いつもありがとう」との感謝の言葉には本人の高揚感がのっていた。さらにライブの最後には「誕生日だからちょっと喋っちゃおうかな」と、2026年4月からの全国ホールツアー【PERSONAL DISTANCE】の開催が本人の口から発表され、歓喜が会場を包んだまま終演を迎えた。

 活動休止以降、音楽そのものに今まで以上に真摯に向き合う中で、薄皮が剥がれていくように本来の、いや、また新しいアヴちゃんが羽化しているような感覚がある。つまり聖なる夜、お台場に響いたのは、女王蜂の再生と進化を高らかに宣言する産声だったのかもしれない。

Text by 森樹
Photo by 森好弘

◎公演情報
単独公演【アヴちゃん聖誕祭2025~GAL GAL GAL~】
2025年12月25日(木) 東京・Zepp Divercity (TOKYO)

【全国ホールツアー2026「PERSONAL DISTANCE」】
2026年4月10日(金) 千葉・市川市文化会館 大ホール
2026年4月17日(金) 宮城・仙台サンプラザホール
2026年4月26日(日) 北海道・カナモトホール(札幌市民ホール)
2026年5月5日(火・祝) 埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール
2026年5月10日(日) 京都・ロームシアター京都 メインホール
2026年5月15日(金) 広島・広島JMSアステールプラザ大ホール
2026年5月16日(土) 福岡・福岡市民ホール 大ホール
2026年5月31日(日) 愛知・岡谷鋼機名古屋公会堂
2026年6月4日(木) 大阪・オリックス劇場
2026年6月5日(金) 香川・レクザムホール 小ホール
2026年6月14日(日) 新潟・新潟県民会館
2026年7月5日(日) 石川・金沢市文化ホール
2026年7月10日(金) 東京・東京ガーデンシアター


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