<ライブレポート>アーティストデビュー5周年を迎えたNOA、クリスマスシーズンに届けた極上の贈り物【The Gift】最終公演

2025年12月16日 / 18:00

 NOAが開催する【NOA Billboard Live 2025 “The Gift”】が12月10日、東京都・六本木のビルボードライブ東京にて最終日を迎えた。NOAにとっては昨年に続いて2度目となるビルボードライブ公演だが、今年は東京も加わった初の全会場で開催。ライブは各日2部制で実施されており、本稿にてレポートするのは東京公演の第2部、すなわちファイナルステージだ。2025年のライブはこれがラストとなることもあってだろう、ライブ中、幾度となく「今日が最後だから」「もう今しかないよ」と客席に熱く呼びかけるなどNOA自身も意気込みMAXで臨んだこの夜は、まさにタイトルの“The Gift”を体現した、極上の贈り物だった。

 開演時刻の20時半ぴったりに暗転した場内。クリスマスツリーが飾られたステージにバンドメンバーが揃うと俄然、客席の興奮に拍車がかかる。今か今かと募る期待がいよいよピークに達しようかというその瞬間、NOAが姿を現した。なんとジャストなタイミング! スポットライトに照らされ、楽屋からステージまで1曲目の「TAXI」を歌いながら向かう彼をめがけて、たちまち凄まじい歓声が押し寄せる。ビルボードライブのラグジュアリーなムードにもよく映えるドレッシーなスーツスタイルが見目麗しく、一瞬たりと目が離せない。

「What’s up Tokyo! 盛り上がる準備はできてますか!」

 ビルボードライブのためにリアレンジされたスペシャルな「TAXI」を歌い上げてそう問うたNOAにまたしても凄まじい歓声とフロアいっぱい色とりどりに灯ったペンライトの光が応える。そうしてなだれ込んだのは、これまたビルボードライブ仕様のアレンジが施された「Bad At Love」だ。R&Bテイストの洒脱なアンサンブルに乗せて歌われる主人公の奥手な恋模様にキュンキュンさせられるこのポップチューン、右手を電話に見立てたキュートなジェスチャーをしてみせたり、いきなりステージにしゃがみ込んでは最前列の観客にいたずらっぽくアイコンタクトしてみたり、こうしてファンのみんなと一緒に過ごせていることが嬉しくて仕方がないと全身で喜びを表現するNOAに客席の嬌声が止まらない。NOAとファン、相思相愛の関係性が場内のボルテージを天井知らずに引き上げていく。

 ライブの中盤にはアメリカのポップデュオ・joanとの「superglue feat.NOA」や、カナダのオルタナポップバンド・Valleyとの「Natural – Japanese Version」、さらに今年発表されたraphとの「alright (NOA Remix)」と、NOAがこれまでにコラボレーションしたアーティストとの楽曲を立て続けに披露する、ファン垂涎のコーナーも。作詞、作曲のみならずダンスの振り付けまでを手掛け、日本語、英語、韓国語を操るトリリンガル・アーティストとして国内外から注目を集め、コラボレーションにも積極的に挑んできたNOAだが、サプライズゲストとして相手のステージで歌唱することはあっても、なかなか自身のライブでお披露目する機会がなかったと明かす。今年アーティストデビュー5周年のアニバーサリーを迎え、その来し方を振り返るに忘れることのできない大切な思い出、大切な楽曲たちを自らの手でファンのみんなに届けたい――そんな彼の切なる想いがビルボードライブという特別な場所で叶ったのだ。温かくもエモーショナルな歌声が客席の一人ひとりにたしかに手渡されていく光景、その美しさに刹那、涙腺が緩む。

 8月にはタイのバンコクで開催された【SUMMER SONIC BANGKOK 2025】ではTHONBURI STAGEのヘッドライナーとして出演するなどさらなる飛躍の年となったNOAの2025年、なかでもやはり印象深いのは9月に神奈川・横浜BUNTAIにて行った5周年のアニバーサリーライブ【NOA 5th Anniversary Special Live “LiGHTS”】だったと語った後半のMC。本番のステージ上ではかろうじて涙を見せなかったものの、ステージ袖で戻ってきたメンバーとハグした途端に号泣してしまったこと、そこからはボロ泣きで涙が止まらなかったと告白したNOAは「そのくらい、5年間のすべてを見せることができたライブでした。この5年間には光だけでなく暗闇もあったけど、それもすべてみんなの前でさらけ出せたとき、またひとつ自分の心のドアが開いた感覚もあった」と言葉を続け、「ライブのあと、みんなが“これからNOAがどんなところにいても私たちが絶対光になるから”ってメッセージを伝えてくれたのが僕は本当に本当に嬉しくて、すごく心強かった」と改めて感謝を口にした。

 さらに「同時にこのままではだめだと改めて思ったし、そういう意味も込めて次のツアー、のタイトルを“Reflection”にしたんです」と2026年1月に控えるホールツアー【NOA HALL TOUR 2026 “REFLECTiON”】にも言及、みんなが“LiGHTS”で僕を照らしてくれたから、次は僕がみんなを照らしたい、そうやってお互いを照らし合い、未来を照らしていきたいとの願いを込めたと告げる。真摯な彼の想いに贈られる満場の喝采のなか、BUNTAI公演で初披露した「Just Say It」が奏でられた。BUNTAIでの曲紹介は「好きな人のために好きな人をあきらめる、夏の終わりにぴったりの切ない曲」というものだったが、この日の「Just Say It」は痛みや悲しみ、切なさも全部抱えたまま、それでも前を向いて進んでいこうという潔い覚悟が滲んで、むしろとても晴れやかに聴こえた。そこからノンストップで突入したファンソング「Purple Sky」、オーディエンスも一緒にシンガロングした“No matter what happens to you and I”“そばにいれば必ず全て乗り越えていけると思うんだ”のフレーズがまたとても頼もしく胸に響く。

「沁みるなぁ、今日は本当に。この1年、今は最高だったって思えるけど、その時その時にはもちろん嫌なことや大変なこともあって。でも、それを乗り越えてこられたのは、こうしてみんなに会える日があると信じていたからです。いつも支えてくれて本当にありがとう。みんなも大変なことはいっぱいあると思います。でも僕のライブや曲がみなさんの力に少しでもなれているなら、アーティストになってよかったと思うし、これからも続けていきたい。今から10周年目がけて頑張りますので、みなさん、一緒についてきてください」

 新たな誓いを立てたあとは「ここからはクリスマスムード全開でみなさんにプレゼントをお届けします!」と一気呵成に終盤戦へ。ステージ背後を覆っていたカーテンがゆっくりと開き、観客の目の前にイルミネーションにあふれた六本木の夜景が広がるなか、最初に演奏されたのは「Ticket」だ。鈴の音がシャンシャンと鳴るクリスマスらしいアレンジに否が応でも祝祭ムードは高まる。さらに自身のYouTubeチャンネルに“NOA COVER”としてアップしたばかりの最新カバー曲、サブリナ・カーペンターの「santa doesn’t know you like i do」がドロップされたのだからたまらない。歯切れのよい甘美なボーカリゼーションで場内のファンをもれなく至福へと誘ったNOAは、本編ラストの「Christmas Lights」でついにステージから降りると客席の通路を練り歩きながら存分にその喉を震わせて2ndステージで一番の一体感を築き上げていく。ステージと客席の距離がこのうえなく緊密なビルボードライブならではの演出、全身全霊でファンを喜ばせようとするNOAの情熱的なパフォーマンスに“The Gift”の真髄を見た気がした。

 アンコールはディスコティックなファンクナンバー「Highway」からスタート。サンタ帽を着用して再登場したNOAと観客の息もぴったりなコール&レスポンスであっという間に最高を塗り替えていく。しかしNOAは追撃の手を緩めず「みなさん、まだ声出せますよね? 今年最後だから出し切って帰ってもらわないと。なんの悔いもないように。声出せますか? 盛り上がれますか? 本当ですか?」と畳み掛けると、アッパーなシンセポップチューン「Red Light」で再び客席へと飛び出した。それに呼応してファンが手にしたペンライトの光も一斉に赤に切り替わり、熱狂はクライマックス! コーラスパートの“Red Red Red light”を観客も一緒になって繰り返し歌い上げて一旦、楽曲はエンディングを迎えたものの、NOAはまだまだ足りないとばかりに、さらにそのブロックを2回もおかわり。客席を駆け回りながら、その途中でグッズのミニタオルをラッキーな2名に手渡しでプレゼントするという粋なサプライズにも場内が沸く。

「今日は盛り上がりがすごいな。熱が伝わってきます。じゃあ、せっかくサンタ帽かぶってるし、もう一回、あの曲を。今年最後の曲になります」

 オーラスを飾ったのは「Christmas Lights」だった。場内をあれだけ走り回った直後とは思えないほどにシルキーな歌声がオーディエンスを柔らかく包み込んでいく。1年の憂さも鬱憤もそっと浄化してくれるような優しさと煌めき――それがNOAというアーティスト、その音楽に宿った本領なのかもしれない。ともあれ、【NOA Billboard Live 2025 “The Gift”】のラストとして、そして今年を締めくくる1曲としてこれほどふさわしい大団円もないだろう。

「今日は本当にありがとうございました。どんなことがあっても乗り越えて、また来年の年末、こうやって一緒に過ごせるよう頑張ります。来年から始まる旅も一緒に楽しんでいきましょう。メリークリスマス!」

 名残惜しそうに手を振りながら、ステージを去ったNOA。だが、前述した通り、年が明ければすぐにホールツアー【NOA HALL TOUR 2026 “REFLECTiON”】が始まる。しかもツアー初日の1月10日はNOAの記念すべきデビュー日だ。【The Gift】で受け取った情熱の余韻を抱きしめながら、NOAが踏み出す次の一歩を心待ちにしていたい。

Text:本間夕子
Photo:鳥居洋介

◎セットリスト
【NOA Billboard Live 2025 “The Gift”】
2025年12月10日(水)東京・ビルボードライブ東京
1. TAXI
2. Bad At Love
3. Don’t Waste My Time
4. YBOM (You’ve Been On my Mind)
5. superglue
6. Natural
7. alright
8. Just Say It
9. Purple Sky
10. Ticket
11. santa doesn’t know you like i do
12. Chiristmas Lights
En1. Highway
En2. Red Light
En3. Chiristmas Lights

◎公演情報
【NOA HALL TOUR 2026】
2026年1月10日(土)大阪・東京建物 Brillia HALL箕面(箕面市立文化芸能劇場)大ホール
2026年1月17日(土)愛知・岡谷鋼機名古屋公会堂 大ホール
2026年1月25日(日)宮城・仙台電力ホール
2026年1月30日(金)、31日(土)東京・LINE CUBE SHIBUYA


Noa

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