<インタビュー>Nathy Pelusoが語る、最新EP『MALPORTADA』とサルサという“宮殿”

2025年11月24日 / 18:00

 アルゼンチンに生まれ、現在は世界的に注目を集めるシンガーソングライターとしてジャンルを越境し続けるナティ・ペルソ(Nathy Peluso)。ラテン、フラメンコ、ポップ、ヒップホップを自在に横断してきた彼女が、最新EP『MALPORTADA』で挑んだのは、長年学び、恋に落ちたというサルサ。これまで男性視点が支配してきたこのジャンルに女性的な語りを導入し、強く危険で、情熱的な女性像を描き出している。現地時間2025年11月13日に米ラスベガスで開催された【ラテン・グラミー賞】では、サルサの女王=グロリア・エステファンと華やかなステージを披露した彼女が、EP『MALPORTADA』にかける熱い思いを語ってくれた。

――最新EP『MALPORTADA』では、どんな感情を呼び起こしたかったのでしょうか?

今作では、ドラマや情熱、強い感情を呼び起こしたかったと思います。たとえそれが心地よくない感情でも、強く感じるときって、自分でも正体が分からない何かと戦っているような感覚がある。でも、そこから学ぶことができるんです。

私にとってサルサは、感情を通して学ぶ方法です。サルサはいつも、美しい場所へ向かうための手段であり、自分を説明し、自分をケアし、そして自分をまったく違う場所で再構築する方法でもあります。サルサは、私にとって“宮殿”のような存在なんです。

――伝統的なサルサ音楽に挑戦しようと思ったきっかけは?

私は長年サルサ音楽を勉強し、そしてその音楽と恋に落ちてきました。はじめて出会ったのは、レイ・バレットのレコードを買ったときです。そこから本気でサルサについてリサーチし、楽曲を作ったり、このジャンルの中で自分自身を築き上げてきました。だから、今がひとつのプロジェクトとしてまとめられる準備ができた瞬間だったんです。正直、誇りに思っています。

――今回のEP収録曲で、制作が一番難しかった曲は?

作曲のプロセスは本当に楽しくて、まったく難しいとは感じませんでした。歌詞もメロディーも、自然にスッと出てきたんです。わたしが心から愛していることだから、とても自然でした。でも、もし選ぶとしたら「INSENSATA」か「QUE LLUEVAN FLORES」ですね。この2曲はホーン・アレンジが特に多くて、その部分の制作は濃密でした。でも難しいというより、作曲家として成長するために必要な挑戦という感覚でした。

私のサルサのヒーローは、みんな男性です。歌詞も語られるストーリーも、いつも男性視点。でも今回は、そのジャンルと物語を女性的な視点に変換するという、とても興味深いプロセスでした。たとえば「A CABALLO」に登場する女性像は、危険でパワフル。わたしはサルサにその感覚を取り入れたかったんです。女性が歌うサルサって、いつもセンチメンタルで、感情的、悲しみや失恋、ロマンティックさが多い。でもわたしは、これまで男性が語ってきたような物語を、女性の視点から語りたかった。とても面白い挑戦でしたね。

――そして先月は、デビュー・アルバム『Calambre』の5周年でしたね。振り返ってみてどうですか?

そうですね。すごく不思議な気分です。だってあの作品は、私がはじめて【ラテン・グラミー賞】を受賞した作品だから。いま思い返すと、本当に美しい思い出ばかりです。そこから起きたすべての出来事は恵みのようで、とても感謝しています。音楽のキャリアを通して学び続けられていることは、当たり前じゃない。特別なことです。だから心から恵まれていると感じています。


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