<ライブレポート>syudou、夢の舞台で見せた正直さの美学「これからも臆することなくさらけ出していく」

2025年6月6日 / 11:10

 syudouが、2025年5月31日東京・日本武道館にて【syudou Live 2025『美学』】を開催した。

 syudouにとって、武道館はライブ活動を始めてからずっと目標に掲げてきた場所だ。そんな夢の舞台で見せたのは、彼がずっと貫いてきた「美学」だった。

 開演時間を迎えると、ステージにはバンドメンバーと共に仮面をかぶり旗を掲げるダンサー4人が登場。これまでの軌跡を振り返るようなオープニング映像が流れ、会場の熱気が高まるなか、大歓声と拍手に迎えられてsyudouがポップアップで登場した。

 オープニングナンバーは「邪魔」。2018年に発表されたこの曲は、当時はまだ会社員だったsyudouが注目を浴びるきっかけとなったターニングポイントの楽曲だ。syudouは飛び跳ねながら両手を大きく広げ、力強く歌い上げる。客席は上までぎっしりと満員。サビでは「ラララ~」の大合唱が響き渡る。かなりの熱気だ。

 「今日は長年の野望だった武道館ワンマンライブ、僕とみんなの夢の舞台。まずはこの曲でみんなと乾杯したいと思います」と告げ、続くは「へべれけジャンキー」。「カンパーイ!」のコールで一体感が生まれたこの曲から、早口のラップを繰り広げる「取扱注意」へと続く。バンドメンバーはKuboty(G)、ホリエマム(Dr)、長島涼平(B)、モチヅキヤスノリ(Key)という初ライブから不動の布陣。yudouを象徴するフラミンゴのアイコンが背後に光り、円形の照明トラスが何重にも頭上に広がる豪華なステージセットも印象的だ。きらびやかなライティングの演出もステージの躍動感を生み出していた。

 集まった観客に挨拶しMCで目薬をさすというファンにはお馴染みのムーブで喝采を浴びたsyudouは「最後まで一緒に盛り上がってくれますか!?」と声をかけ、縦ノリのロックナンバー「リヴァーサル」、ダークなメロディの「コールボーイ」を続け、「アタシ」ではセンターステージに駆け出してシャウトする。

 「この曲も武道館でやりたかった」と告げて披露した「インザバックルーム」では、歌詞の「眠れぬ夜や消えぬ後悔が 何度も何度も何度も何度も 何度もあったがここで歌っている」というフレーズの後に「武道館!」と叫び、大きな歓声が生まれていた。MCでも「武道館でライブをやりたいがために、半年前まで武道館の近くに住んでたんですよ」と思いの強さを語っていたsyudou。深夜のランニングで九段下の駅から陸橋を登り武道館を睨みつけていたら警備員に不審者に間違われたというエピソードも明かしていた。

 続いては「フラミンゴ」やピアノと歌だけのアレンジから始まるバージョンで披露した「命綱」へと、感情を込めた歌声を響かせる。創作への思いを吐露した「恥さらし」も含め、中盤はsyudouの信条を表現したナンバーを続ける展開だ。武道館公演の前日にリリースされたばかりの新曲「心が風邪をひく日には」もそういう曲だろう。「その時の自分の気持ちに素直に曲を作るというのを美学として貫いてきたので。近々で思っていたことをこの曲に込めました」とsyudouは語る。ピアノと共にエモーショナルなメロディに乗せて率直な心情を綴った楽曲を披露し、大きな拍手に包まれた。

 暗転すると、ビジョンにはパソコンに向かい、街を歩き、酒を飲むsyudouの姿を描いたインタールードの映像が映し出される。後半は「やっちゃったわ」からスタート。ステージに運び込まれたベッドに横たわったスーツにネクタイ姿のsyudouが登場し、起き上がって歌い出す。続く「ワークアウト」は椅子に座り机に置かれたパソコンに向かい合う場面から歌い始め、曲後半では「ララララ~」と大合唱が生まれる。花道からセンターステージへと歩み出て客席をぐるりと見上げたsyudouは「この景色を見るためにこの曲を作った気がします」と感慨深い表情を見せた。

 会社員だった5年前からいろんな出会いを経て現在に至っていると語ったsyudouは、「一番感謝すべきなのは初音ミクなんじゃないかと思います」と語り、続いての「ビターチョコデコレーション」は「愛すべきボーカロイドカルチャー、初音ミクに敬意を込めて」と初音ミクとのデュエットで披露した。

 終盤はエネルギッシュなナンバーを次々と披露する展開だ。に「ラブトリップサマー」はオーディエンスがタオルを振り回し、「ギンギラギン」ではシンガロングで会場が一つになる。ギターを抱えて歌い上げた衝動的なロックナンバー「あいきるゆぅ」ではギターソロでsyudouにあわせてオーディエンス全員がヘッドバンギングし、「ギャンブル」では「オイ!オイ!」というコールが巻き起こりこの日のクライマックスの盛り上がりが生まれていた。

 歌い終えたsyudouは「自分の気持ちに正直に向き合うことを美学として貫いてきました」と告げる。「欠けてるところをさらけ出すのは勇気がいるけれど、その美学からできた関係性はこれだけ強固で大きなものになるんだとステージからの光景を見て思います」と感慨深げに語った。

 そして「武道館を経て進んでいく道をみんなと共有したくて作った曲です」と本編ラストに披露したのは「マイマイノリティ」。「欠けてる人間だし、たいした人間じゃないけど、これからも臆することなくさらけ出していくんで!」と告げてsyudouは歌い始める。「混ざれないままラララ」というフレーズを全員が声を合わせて歌い、銀色の紙吹雪が舞う。ドラマティックな瞬間を生み出しsyudouはステージを降りた。

 割れんばかりの歓声に迎えられてアンコールに登場したsyudouは「スペシャルゲストに来てもらってます!」とMori Calliopeを紹介。ビジョンに登場したMori Calliopeとのデュエットで「罪と蜜」を披露した。巧みなラップを披露したMori Calliopeは歌い終え「誘ってくれてありがとうございます! 私は2018年からずっとsyudouさんのファンだから、武道館ライブは本当に素敵で、エモくて、感動した」と嬉しそうに語る。「これからどこでも行けると思う。次のライブはアメリカで見たいよ」とエールを送った。

 「なにかに媚びることなく、屈することなく、ありのままでここまでこれました」と達成感に満ちた表情を見せたsyudou。情感たっぷりに歌い上げた「笑え」に続けて、ラストは「爆笑」。「湿っぽく終わるのは俺らしくないので、最後は笑って締めたいと思います」と告げてのパフォーマンスに、オーディエンスはサイリウムと拳、それぞれの形で熱狂を示す。「この名前くらいは覚えて帰れ」の歌詞に続けて「俺がsyudouだ!」と叫び、大歓声が応えた。大きな興奮に包まれて終演となった。

 syudouにとって、武道館でのライブはこれまでの歩みのひとつの集大成になったはずだ。しかし、最後のMCでsyudouは「俺はまだまだ売れたいです。もっと進んでいきたいし、モテたいし、金も稼ぎたいし、行ったことないところに行ってみたい、楽しいことめちゃめちゃしたい」と語っていた。そんな正直な思いを率直に表現することも彼の“美学”だろう。
その先に広がる景色がさらに楽しみになるような一夜だった。

Text:柴 那典
Photo:Shingo Tamai / toya

◎公演情報
【syudou Live 2025「美学」】
2025年5月31日(土)
東京・日本武道館

<セットリスト>
01.邪魔
02.へべれけジャンキー
03.取扱注意
04.リヴァーサル
05.コールボーイ
06.アタシ
07.インザバックルーム
08.フラミンゴ
09.命綱
10.恥さらし
11.心が風邪をひく日には
12.やっちゃったわ
13.ワークアウト
14.ビターチョコデコレーション
15.ラブトリップサマー
16.ギンギラギン
17.あいきるゆぅ
18.ギャンブル
19.マイマイノリティ
En1.罪と蜜 feat. Mori Calliope
En2.笑え
En3.爆笑

セットリストプレイリスト:
https://syudou.lnk.to/bigaku


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