コニー・フランシス、「可愛いベイビー」のバイラル・ヒットに「寿命が延びたような気持ち」と語る

2025年5月29日 / 18:00

By: Steve Knopper / 2025年5月20日 Billboard.com掲載
Photo: Silver Screen Collection/Getty Images

 TikTokがなければ、コニー・フランシスが1962年に発表した、軽快なオルガンが特徴のキャッチーな「Pretty Little Baby」(邦題:可愛いベイビー)は永遠に埋もれたままだったかもしれない。当時、この楽曲はヒットせず、米フロリダ州パークランドの自宅で電話取材に応じたフランシス自身もそのレコーディングについてほとんど覚えていなかった。「確認するために聴かなければなりませんでした」と87歳のポップ音楽のレジェンドは告白する。彼女は1960年7月に「Everybody’s Somebody’s Fool」で、女性ソロ・アーティストとして初めて米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で1位を獲得した。これを含め、フランシスは3曲の全米No. 1を獲得している。

 「そして当然の成り行きとして、自分がそれを7つの言語で歌ったことを思い出しました」と彼女は続けている。

 最近、友人がフランシスに「Pretty Little Baby」がTikTokで“バイラル・ヒット”として現れ、カイリー・ジェンナーやキム・カーダシアンを含む人々が赤ちゃん、子犬、子猫、そして“花に聞いてみればいい”という歌詞にふさわしく花を披露するときの明るいサウンドトラックとして使われていると教えてくれた。フランシスは、「それって何?」と返した。ある意味、TikTokは1960年代の米テレビ番組『アメリカン・バンドスタンド』をテクノロジーでアップデートさせたものとも言える。当時、このディック・クラークのTVカウントダウン番組のチャートは毎週800万人の視聴者を集め、楽曲を自動的にヒット曲に変えていた。「ディック・クラークがいなければ、コニー・フランシスも存在しなかったでしょうね」とフランシスは言う。

 「Pretty Little Baby」は、1961年8月に4日間にわたって行われたレコーディング・セッションでフランシスが録音した40曲のうちの1曲で、2017年に出版された自伝『Among My Souvenirs: The Real Story Vol. 1』にも記載されている。この楽曲は、彼女のアルバム『Connie Francis Sings Second Hand Love & Other Hits』に収録されている。

 今年の4月10日、「Pretty Little Baby」は米国で週に17,000回ストリーミング再生され、1か月後には240万回と7,000%以上の増加となった。この楽曲はTikTokで100億回の再生回数を記録し、同プラットフォームの“Viral 50”と“Top 50”チャートで1位にランクイン。最近ではストリーミングでも成功を収め、世界中で1,400万回の再生回数を記録し、Spotifyの“Global Top 100”で67位にランクインした。フランシスのレーベル、Republic/UMeは、1962年に彼女のレーベルだったMGMが米国以外の地域でヒットを狙ってリリースした、スウェーデン語、日本語を含む多言語バージョンを再リリースした。

 今年3月にFacebookのフォロワーに対し、痛みを伴う股関節の治療のため幹細胞療法を待っていることを明かしていたフランシスだが、そんな彼女は米ビルボードとのインタビューで「Pretty Little Baby」「Who’s Sorry Now」に加え、かつて恋人だった故ボビー・ダーリンを題材にしたヒット・ブロードウェイ・ミュージカル『ジャスト・イン・タイム』や、人を操る人物だった父親、故ジョージ・フランコネロ・シニアの支配的な性格について語った。新たな人気急上昇について彼女は、「“TikTokの現象になっていますよ”とあちこちから電話がかかってくるんです」と語っている。

――最近「Pretty Little Baby」を聴いた時、この楽曲のレコーディングの記憶はよみがえりましたか?

はい。聴いたら思い出しました。幼稚園の子どもたちが私や私の音楽を知っているなんて本当に幸せです。とても感激しています。

――あの曲は『Connie Francis Sings Second Hand Love & Other Hits』に収録されています。タイトル曲はフィル・スペクターが共作しました。

はい、それはフィル・スペクターの最初のTOP10入りしたレコードでした。

――彼との仕事について、何か覚えていますか?

この作品で彼とは一緒に仕事をしていません。彼はそのセッションにも参加していませんでした。

――Facebookに「それって何?」と投稿してから、バイラル・ヒットやTikTokについて知りましたか?

はい(笑)。 今は知っています。

――舞台でグレイシー・ローレンスがあなたを演じる『ジャスト・イン・タイム』をご覧になりましたか?

観に行くつもりです。

――ローレンスは米ナイロンのインタビューで、あなたの楽曲で歌うのが一番難しいのは1958年の「Who’s Sorry Now」だと語りました。彼女は、「感情を込めて歌い、(コニーが)毎晩経験する心の痛みを体験しながら、一分の隙もない完璧なパフォーマンスを届けたいとも思っているーーこのバランスを取るのは、本当に難易度の高い任務です。これはコニー自身がキャリアの頂点でこの楽曲を歌っていた際にも切り抜けていた課題だったと思います。彼女は裏で感情的に酷使されていたのでしょう。そのことをよく考えます」と述べています。これに共感できますか?

はい、共感できますね。

――レコーディングしていた時にその感情をどのように乗り越えたのでしょうか?

私はその曲を録音したくなかったんです。父が「Who’s Sorry Now」を録音するよう主張しました。自分に割り当てられていた4時間の録音時間内に「Who’s Sorry Now」にたどり着けないように、私はまず他の3曲を録音しました。録音時間が残り16分になった時に私は、「はい、お疲れさまでした。皆さん、『Who’s Sorry Now』を録音する時間はないですね」と言いました。父は、「マイクにくぎで固定してでも、(お前に)少なくとも1テイクは“Who’s Sorry Now”を録音させる」と言いました。だから私はそうしたんです、「Who’s Sorry Now」を1テイク。そしてこれまでの録音でいつもやっていたように、誰かを真似ようとはしませんでした。14歳の頃にはデモンストレーション音源を作っていて、音楽出版社から「コニー、パティ・ペイジのあの素晴らしい声を出してくれ」「ケイ・スターのあの素晴らしい声をちょうだい」「テレサ・ブリュワーの素晴らしい声を」と言われていました。私はまだ自分のスタイルを持っていませんでした。しかし、あまりにもその曲に嫌気がさしていたので、「Who’s Sorry Now」では誰かを真似ようとはしませんでした。初めて自分らしく歌えたのです。そして、それはヒットしました。

――つまりあれはチャートで躍進しただけでなく、あなたにとってクリエイティブな面での躍進だったのですね。

はい、そのとおりです。

――あなたは本の中で、さまざまな都市のラジオ局や“レコード・ホップ”(50~60年代に流行したダンスイベント)間を移動する“骨の折れる仕事”について、「一泊3ドルか4ドルのわびしく気のめいるようなホテルから次のホテルへ」と記述しています。そのわびしく気のめいるようなキャリアの時期はいつ終わったのでしょうか?

「Who’s Sorry Now」で終わりました。1泊4ドルのホテルに泊まる心配もなくなりました。

――あなたは本の中で、「ボビー(・ダーリン)は単なる人物ではなく、体験そのものでした」と書いています。もし俳優と女優が、あなたとダーリン氏を演じるためのアドバイスを求めてきたら、どのように答えますか?

そうですね、ボビーはとてもクールでした。そして私はとても世間知らずでした。彼が「いいね(I dig)」と言った時、私は「本当ですか? どんな会社で(掘るのですか)? 石油を?」と言ったくらいです。

――「Pretty Little Baby」のプロモーションをする計画はありますか? インタビューやイベント出演は?

ツアーに出る気はありません。

――テレビ番組は?

はい、テレビは出ます。

――音楽業界で何が恋しいですか?

ステージが恋しいですね。

――またパフォーマンスをする機会はありますか?

そんな日々はもう終わりました。過ぎ去ったことです。

――健康上の理由ですか? または手配が難しすぎるからですか?

さまざまな理由があります。手間がかかりすぎるからです。

――新しい「Pretty Little Baby」のファンに、他に何か伝えたいことはありますか?

皆さんにありがとうと言いたいです。寿命が延びたような気持ちです。


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