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2023年11月、向井太一名義での活動を終了し、TAILとしての活動をスタート。そこから約一年半、TAILとしての初のツアー【TAIL ASIA TOUR 2025】が開催された。TAILの楽曲と向井太一の楽曲が交錯し、TAILの新章がスタートしたことがひしひしと伝わるメモラブルなツアー。初日の東京・渋谷WWWでのライブをレポートする。
向井太一時代からの付き合いであるSatoshi Yamashita(Dr/MOP of HEAD)とYudai Ohi(Key/SANABAGUN.)が演奏をスタートし、TAILが「What’s up! 渋谷!」と言ってステージに登場。最新EP『blend』の冒頭を飾る洒脱なソウル・R&B「Sha la la」から記念すべき初ツアーを始めた。躍動的なアンサンブルとグルーヴィーな〈Sha la la la la〉というフレーズに呼応するように、オーディエンスは自然と手を揺らして応えた。TAILはとても楽しそうに手を上下に振り、〈誰彼かまわず歌え〉〈皆踊れ 皆踊れ〉と歌ってアジテート。早速大歓声が巻き起こった。
「こんばんは! TAILです。楽しむ準備はできてますか?」と呼び掛けるともちろん「YES」という想いがこもった歓声が上がる。続いては2022年に向井太一としてリリースした「Celebrate!」を披露。TAIL曲と向井太一曲が交差し、新たなステージに踏み込んだライブが始まりを告げた。TAILのソウルフルな歌声とバンドの強靭なグルーヴにオーディエンスは体を揺らす。サビの〈声あげて Let’s celebrate!〉で一気に会場の熱気が上昇した。
コール&レスポンスが巻き起こった『blend』収録の「Heart」、ゴスペル調の向井曲「Ups & Downs」、久々に歌われたキュートな手触りの向井曲「BABY CAKES」──ナチュラルに楽曲が混ざり合い、ステージもフロアも一体となり、音楽を通じて親密なコミュニケーションが生まれていった。
中盤、TAILはこんなことを話した。「TAILとして生まれ変わって1年半経って『blend』の制作の時に感じてたことがあります。向井太一として活動してきた約8年間がとても大切で、生まれ変わってもこうして会いに来てくれる人がいるのがとてもありがたいと思いました。(1stEPの)『flex』の時は、TAILはこれ、向井太一はこれって明確に違いを出してたんです。『blend』を作る時、TAILという人格と向井太一という人格が交じり合ってる気がした。『flex』の時とも向井太一の8年間とも違う新しいことができてる感覚があります」。そして、次に披露する曲がいかに重要かということを口にした。「『blend』のコンセプトを作るきっかけになった曲です。ずっと温めていた曲で、今だったらこの歌が歌えるな、この歌が表現できるなと感じさせてくれた曲」。歌われたのは『blend』の収録曲「いつまでも」だ。向井太一としてのメジャーデビュー前に制作されていた楽曲をTAILとして生まれ変わらせた曲であり、君への想いをまっすぐに届けるシンプル極まりないバラード。〈いつまでも僕は いつまでも君を いつまでも愛し続ける〉。曲に込めた想いを120%表現するかのような至高の歌が響き渡った。原曲が生まれてから約10年。TAILになったことでそもそも表現したかったことが形になり、TAILが開放されたような特別な響きを放っていた。
その後、2018年にリリースした向井太一の代表曲「リセット」を繋げた流れは今のTAILの心情を象徴していた。〈走り出せればほら 掴めるから 一度離した 明日へのチケット この場所から 始まるから 取り戻すため もう一度リセット〉。TAILは想いを振り絞るように再出発の曲「リセット」を歌う。最後、〈踏み出す力が僕を満たすから もう一度 走り出すスタート〉と歌った後、とても晴れやかな表情でおじぎをした。『blend』収録の「最後の夜」を続け、さらにTAILと向井太一の境界線を漂白してみせた。
TAILが「最高です。ありがとう。みんな掌を見せてくれますか?」と言うとたくさんの手の掌が上がり、ビートに合わせて左右に揺れた。向井曲「Break up」だ。サビで照明が明るくなり、たくさんの手が揺れる光景が目に入る。〈終わりじゃない 今夜ふたり それぞれ新しい始まり〉。新たな始まりのためにそれぞれの道を選択する決意を歌うTAILの歌声には、どんな選択肢でも肯定してくれそうな力強さが宿っていた。
本編ラストはセカンドシングル「Toxic」だ。ケンモチヒデフミプロデュースのアップリフティングなダンスビートと官能的な世界観でTAILとしてのアティチュードを突き付けた曲に合わせてオーディエンスが楽しそうに手を挙げて踊る。曲が終わり、TAILは満面の笑顔で「Thank you! ありがとう!」と感謝を伝え、ステージを去った。
アンコールでは「初めてのツアーをやっとできて、やっと長い時間みんなの前で歌うことができてめちゃくちゃ嬉しいです」と伝えた後、「向井太一としてメジャーデビューして、ファーストアルバム『BLUE』のリリースワンマンライブがここ渋谷WWWでした。Satoshiもドラムを叩いてくれてました。TAILとしてワンマンをやるならWWWがいいなと思って、それが叶って嬉しいです」と話した。TAILとしての新章を示すために相応しい場所で吐露された想いに、場内は充足感が満ちていった。「この場所だからこそこの曲なのかなと」と前置きして歌われたのは『BLUE』に収録された「Blue」のアコースティックヴァージョン。〈仲間と話せば心が晴れる 僕はそう ひとりじゃない〉〈結局何度も 何度も投げ出しても 悔し涙も 力に変えてきただろう この道で生きるんだと 決めたから 後は上にあがるだけさ〉。約8年前にしたためた始まりの決意を、TAILとしてのまた新たな始まりの決意に変えて歌われた「Blue」。大きな解放を迎えたTAILは次にどんな景色を見せてくれるのだろうか。
Text by 小松香里
Photo by シェイク ソフィアン
◎公演情報
【TAIL ASIA TOUR 2025】
2025年5月16日(金)東京・渋谷WWW
<セットリスト>
01. Sha la la
02. Celebrate!
03. Heart
04. Ups & Downs
05. BABY CAKES
06. Happy Song
07. Siren
08. Fundus
09. Another13
10. Gimme
11. 思い出のままに
12. 眠らない街
13. いつまでも
14. リセット
15. 最後の夜
16. Break up
17. Toxic
En. Blue(Acoustic Ver.)
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