エンターテインメント・ウェブマガジン
昨年11月にビルボードライブ東京で初のワンマンライブを成功させた俳優/シンガーの三浦透子。そこで彼女は信頼する2人のミュージシャン、小田朋美(Pf.)、有元キイチ(Gt.)をサポートに選び、小田の自宅に3人で集まって、時間をかけてアレンジを練って本番に挑んだ。そして今回、三浦は3人編成のライブで掴んだ手応えをもとに、新たに山本連(Ba.)と上原俊亮(Dr.)を加えた新編成でライブに再挑戦。大阪と横浜でツアーを開催した。
ビルボードライブ・ツアー最終日となった3月10日。本稿では、1stステージの模様をお届けする。すでに大阪でライブを行なったこともあってか、ステージに立ったバンドはリラックスしているように見えた。すると突然始まった激しいドラムソロ。昨年の親密な雰囲気のライブとは違ったものになるという宣言のようだった。ドラムソロが終わると三浦がおもむろに「漂流」を歌い出す。この日、彼女は衣装を黒色で統一。昨年の白で統一したスタイルのイメージを大きく変えて、大人っぽくてドレッシーなのも大きな変化だ。2曲目「FISHANDCHIPS」はドラムのリムショットから始まり、ファンキーなベース、ハネるようなキーボードが絡むなか三浦は体を揺らせて歌う。リズム・セクションが入った5人編成のバンドの魅力を伝えるアレンジだ。そして、そこから代表曲「グランドエスケープ」へ。シンセベースの音色をアクセントにして、ループさせたピアノのフレーズが緊張感を高める。曲の後半ではドラムがエモーショナルな演奏を聴かせ、テンションがどんどん上がる演奏に乗って、三浦の歌声が力強く飛翔する。
畳み掛けるように3曲聴かせて三浦は観客に挨拶。大阪でのライブを経てこのバンドが大好きになったこと、そして今夜は原曲とガラッとイメージを変えた曲を楽しんでほしい、と観客に気持ちを伝えた。そして、イントロなしで歌い出した「通過点」は、R&B風のダンサブルな演奏にのって艶やかな歌声を聴かせる。「intersolid」はラテン風のアレンジで、小田の情熱的なピアノの演奏は三浦とデュエットしているようだ。打ち込みとドラムが躍動感を生み出す「blur and flower」では、有元がアフロ・ミュージックのようなギターソロを聴かせたりと、曲ごとに多彩なアレンジで楽しませてくれる。「風になれ」はギターを軸にしたロックバンド的なアレンジで、歌うようにメロディーを奏でる山本のベースも存在感を発揮。三浦の歌声が軽やかに駆け出していく。続く「すっぴん」は雰囲気をガラリと変えてソウルフルなサウンド。指を鳴らした音をビートにして、山本と上原のリズム・セクションがヒップホップ的なグルーヴを生み出す。余白をたっぷりとった演奏は三浦のニュアンス豊かな歌声を際立たせていて、「アップルジュース」という歌い回しにゾクゾクさせられた。
ここで2度目のMCタイム。三浦は「それぞれの土地のエネルギーをもらった」とメンバーとともに楽しかったツアーを振り返る。有元は「音に身をまかせて弾いています」と語ったが、メンバーが音の交流を楽しんでいることが演奏から伝わってきた。三浦の歌声を支えるための演奏ではなく、5人が同じような関係性で音楽を奏でている。だからこそ、そこに開放感があり観客もまた音楽に身をゆだねることができるのだろう。以前、三浦、小田、有元に取材した際、有元が3人の関係を「兄弟みたい」と表現したのが印象的だったが、今回のバンドは兄弟が増えたようなアットホームさがある。
そして、ライブはクライマックスに。ブルージーな「蜂蜜」では上原がパーカッションのように手でバスドラを叩き、小田のキーボードがピアニカのような哀愁を帯びた音色を奏でて、三浦の気怠げな歌声が夜のムードを醸し出す。歌のヒロインを演じているようなところもあって、三浦の俳優としての一面も感じさせた。そして、ラストナンバーは三浦が子守唄のような暖かな歌声を聴かせる「点灯」。曲の後半に演奏が高まっていき、三浦は即興のスキャットで歌い上げる。ジャズ・シンガーのような三浦のパフォーマンスで観客をわかせてステージは幕を閉じたが、拍手は鳴り止まない。ステージにバンドと戻ってきた三浦は観客に感謝を告げて、「今日を振り返る気持ちで歌います」と「愛にできることはまだあるかい」を歌った。演奏者それぞれが即興的にフレーズを弾き、サビになるとピタッと合わせる。音が離れたり、重なったり。5人の遊び心あふれる、そして、息が合った演奏は何年も一緒にやっているバンドのようだ。そして、「僕にできることはまだあるよ」という歌の最後の一節は、三浦の音楽に対する想いのように聞こえたりもして、昨年よりもさらにシンガーとしての輝きを増した三浦の魅力に触れたライブだった。
Text:村尾泰郎
Photo:板場 俊
◎セットリスト
【三浦透子 at Billboard Live Tour 2025】
2025年3月10日(月)神奈川・ビルボードライブ横浜
1stステージ
1. 漂流
2. FISHANDCHIPS
3. グランドエスケープ
4. 通過点
5. 私は貴方
6. intersolid
7. blur and flower
8. 風になれ
9. すっぴん
10. 蜜蜂
11. 点灯
En1. 愛にできることはまだあるかい
J-POP2025年5月10日
スターダストプロモーション所属の7人組ボーカル&ダンスグループukkaが、グループ結成10周年を記念したプロジェクトの始動を発表。その第1弾として、ユニット企画がスタートすることが発表された。 まず、TEAM CUTEとして結成された宮 … 続きを読む
J-POP2025年5月10日
Mr.Childrenが、2025年6月25日にLIVE DVD&Blu-ray『miss you LIVE』をリリースする。 今作には、ホールツアー【Mr.Children tour 2023/24 miss you】の大阪・フェステ … 続きを読む
J-POP2025年5月10日
HAN-KUN(湘南乃風)が、2025年7月23日にニューアルバム『VOICE MAGICIAN VI ~THE SIX SENSE~』をリリースする。 約5年ぶり、通算8作目のオリジナルアルバムとなる今作は、“VOICE MAGICI … 続きを読む
J-POP2025年5月10日
横山裕(SUPER EIGHT)が、新曲「ロックスター」を配信リリースし、ミュージックビデオを公開した。 1年間限定のソロプロジェクト「ROCK TO YOU」を立ち上げた横山裕。新曲「ロックスター」は、2025年6月9日にファミクラス … 続きを読む
J-POP2025年5月10日
YOASOBIが、新曲「PLAYERS」のライブ映像を公開した。 新曲「PLAYERS」は、PlayStation(R)の30周年記念プロジェクト「Project: MEMORY CARD」とのコラボ楽曲。“プレイステーションの記憶をY … 続きを読む