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マカロニえんぴつが2月から3月にかけて、全国6都市12公演の【マカロックツアーvol.19 ~いざvol.10のリベンジ!持ち寄ろう、それぞれのhope篇~】を開催した。2020年にコロナ禍で開催中止となったアルバム『hope』のツアーの“リベンジ”となる今回のツアー。アルバム『hope』の収録曲を中心としたステージによってマカロニえんぴつは、この数年におけるーー演奏技術、アンサンブル、舞台上でのアティチュードを含めーーすさまじい進化ぶりを改めて証明してみせた。
ステージの奥に“hope”の文字が浮かび上がるなか、いつものようにザ・ビートルズの「ヘイ・ブルドッグ」とともにメンバーのはっとり(Vo. / Gt.)、田辺由明(Gt. / Cho.)、高野賢也(Ba. / Cho.)、長谷川大喜(Key. / Cho.)が登場。はっとりのエレキギターと〈いま、求められる全てから/逃げたくなった僕はまるで〉というフレーズから始まる「ボーイズ・ミーツ・ワールド」でライブは幕を開けた。
セトリの中心はもちろん、アルバム『hope』の収録曲。「楽しむ準備はできてるか!」というはっとりのシャウトとミラーボールの光とともに放たれたのは「レモンパイ」。さらにエッジーかつポップなギターロック「遠心」、激しさと奥深さを共存させたバンドグルーヴが響き渡った「愛のレンタル」を続けざまに披露した。
「お仕事、学校、おつかれさまでした! あとは音楽とだけ向き合ってもらえたらいいから」「“hope”のツアー、コロナで飛んじゃったんです。でも、ずっと何してても心に残ってて。今日は“hope”の曲をたくさんやって、あの頃の気持ちに返ったり、これからのことを考えたり。そんな素敵なツアーにしたいと思ってます」(はっとり)というMCの後は、UKロックとJ-POPを有機的に結びつけた「恋人ごっこ」。そしてライブ前半のピークを演出したのは、「ブルーベリー・ナイツ」だった。2019年にリリースされたこの楽曲は、マカえんの初期の代表曲。歌詞の切なさに寄り添うように構築されたサウンド、メンバー全員のプレイヤビリティが発揮されたアンサンブルを含めて、タイムレスな魅力を改めて感じ取ることができた。
ライブ前半から、独創的なアイデアを織り交ぜた『hope』の楽曲をダイレクトに体現してみせた4人。もし2020年にツアーが行われていたとして、ここまで高いクオリティに至っていただろうか……と、考えてもしょうがないことが頭をよぎる。それほど、今のマカロニえんぴつのライブ演奏は素晴らしい。どの楽曲でもシンガロングが起こり、オーディエンスとバンドの距離が瞬く間に近づいていく様も印象的。そう、メンバーと観客の両方にとって、アルバム『hope』――マカえんの本格的なブレイクの始まりとなった作品ーーのツアーの“リベンジ”は特別な体験だったのだ。
ここからは、はっとりによる弾き語りのコーナーへ。まずは「たしかなことは」。アコギと歌によって、“ピント外れの恋”の最中にある二人の関係を生々しく浮かび上がらせる。「気づかない間に、都合のいい嘘を吐いていかないと、暮らしが苦しくなるって思い込んでるんだよね。この歌をどこかで歌うときは、嘘なきように」というMCからはじまったのは「嘘なき」。離れてしまった“君”への思い、そして、見失いそうな夢や日常をやり過ごすための嘘が歌となり、会場全体を包み込む。それを捕まえようと、はっとりを見つめているオーディエンスの姿も心に残った。
ここでメンバーがステージに戻り、はっとりはアコギを持ったまま「ヤングアダルト」へ。〈ハロー、絶望〉というフレーズを観客が大合唱し、歌を介した純粋なコミュニケーションがさらに濃くなっていく。
「今年、デビュー10周年なんですよ」と語り掛け、はっとりが観客に話しかける。マカロニえんぴつは、1月31日放送の『ミュージックステーション』で、出演キャンセルとなったOmoinotake の代わりにインディー時代の楽曲「鳴らせ」を披露。「江森さん(※所属レーベル「TALTO」代表)に発掘されて、(インディーズ・デビューの前に)“自分たちで自主企画をやってみて”と言われて。そのときに出てくれたのが、Omoinotake。感慨深いでしょ、10年経ってもお互いにがんばってて」と思いを語った。(ちなみにこのイベントには、Mrs. GREEN APPLEも出演していたとか)
ハードロック直系のセッションに導かれた「この度の恥は掻き捨て」(最後は全員で“おつかれさまー!”の大合唱)からライブは後半へ。ジャズとサイケとハードロックが混じり合う「Mr.ウォーター」(田辺の速弾きギターソロも炸裂!)、レトロフューチャー的なシンセのイントロから始まるキッチュなダンスチューン「STAY with ME」、頭打ちのビートと〈描いていた完成より不完全でいたいぜ〉という歌詞に導かれた「Supernova」、ポストパンク的なテイストを取り入れた「MAR-Z」などインディーズ時代の楽曲と『hope』の収録曲を織り交ぜながら圧倒的な高揚感を生み出していく。新曲「然らば」と「青春と一瞬」のつながりも印象的。“青さ”“青春”は今も変わらず、マカロニえんぴつの大事なテーマなのだ。
「あなたの前で“hope”の曲たちを演奏して、歌えて。まるで時間が止まったように動けずにいた“hope”の曲たちが、生き生きと動き出したような、そんなうれしい気持ちになりました。あなたがマカロニえんぴつになってくれたように、最後の曲はマカロニえんぴつが、俺たちが、俺が、あなたになります」(はっとり)。
そんな言葉とともに届けられたのは、アルバムのタイトル曲「hope」。エモーションの濃度をさらに高めたボーカル、熱量とテクニックがせめぎ合う演奏、〈手を繋いでいたいのだ〉というフレーズが響き合い、ライブはエンディングを迎えた。
6月14日と15日には、バンド結成の地・神奈川県の横浜スタジアムでキャリア史上最大規模となるスタジアムでのワンマンライブ【still al dente in YOKOHAMA STADIUM】を開催。10周年を迎えたマカロニえんぴつは今年、さらなる飛躍を果たすことになる。“hope”ツアーを体感したことで、その予感は確信に変わった。
Text:森朋之
Photo:酒井ダイスケ
◎セットリスト
【マカロックツアーvol.19 ~いざvol.10のリベンジ!持ち寄ろう、それぞれのhope篇~】
2025年2月4日(火)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
1. ボーイズ・ミーツ・ワールド
2. レモンパイ
3. 遠心
4. 愛のレンタル
5. 恋人ごっこ
6. poole
7. 裸の旅人
8. ブルーベリー・ナイツ
9. たしかなことは
10. 嘘なき
11. ヤングアダルト
12. この度の恥は掻き捨て
13. Mr.ウォーター
14. STAY with ME
15. Supernova
16. MAR-Z
17. 然らば
18. 青春と一瞬
19. hope
◎リリース情報
EP『いま抱きしめる 足りないだけを』
2025/3/12 RELEASE
◎公演情報
【still al dente in YOKOHAMA STADIUM】
2025年6月14日(土)、15日(日)
神奈川・横浜スタジアム
開場 16:00 / 開演 18:00
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