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生田絵梨花が単独ライブ【Erika Ikuta Premium Billboard Live 2025】を1月7日、神奈川・ビルボードライブ横浜にて開催した。1stミニアルバム『capriccioso』発表を機に、初のホールツアー【Erika Ikuta Tour 2024「capriccioso」】開催、NHK『みんなのうた』に提供した新曲「かくれんぼ」や初のクリスマスソング「モンブラン」の配信リリースなど、精力的な音楽活動を展開した昨年を経て、2025年最初に行われる今回のライブ。17:30スタートの1st stageと20:30スタートの2nd stageという1日2公演が実施され、ビルボードライブ横浜という観客との距離感が近い会場でこの日限りのスペシャルなステージが展開された。本稿では2nd stageの模様をお届けする。
定刻が過ぎた頃、会場が暗転するとまずはバンドメンバーがステージに登場。続いて生田がひとりステージに姿を現し、笑顔で会釈すると客席から温かな拍手が鳴り響く。ピアノの前に座り、ひと呼吸置いてから華麗な演奏を始めると、その流れから「かくれんぼ」にてライブをスタートさせる。軽快なバンドサウンドに乗せて、生田は軽やかなピアノ演奏と歌声を会場に響かせていく。最初こそ彼女の歌やピアノにうっとりとしていたオーディエンスだが、曲が進むにつれてクラップも自然発生し、親密な空間の中で一体感を高めていった。
続く「Laundry」ではラグジュアリーな楽曲テイストに合わせて、煌びやかなミラーボールが回転。スウィングするビートに合わせて、生田は伸びやかな歌声を客席に届け続ける。その後、「ビルボードライブ、楽しんでいきましょう!」の一言に続いてアップテンポの「I’m gonna beat you!!」に突入すると、観客のクラップとともに大きなグルーヴを生み出していく。生田は客席に笑顔を振り撒きながら、力強い歌声と豪快なピアノプレイで観る者を惹きつけた。
3曲歌い終えると、客席に向けて新年の挨拶をする生田。リラックスモードのトークで場を和ませながら、「このあとは冬にぴったりの曲をお届けしたいと思います」の言葉に続いて、昨年11月に配信された「モンブラン」でライブを再開。ウッドベースやアコースティックギター、鍵盤ハーモニカなど温かみのあるサウンドに、生田は繊細な歌声とピアノを重ねてドリーミーな空間を作り上げていく。続いては、過去にもカバーしたことのある桑田佳祐の名曲「白い恋人達」。マイクを片手にスツールに座った生田は、透明感の強いシルキーボイスでこの曲を彼女らしく染め上げる。さらにこの日は、椎名林檎がともさかりえに提供した「カプチーノ」という、もうひとつのカバー曲も用意。リズムに乗せてステージ上を動き回り、会場中のオーディエンスに目線を送る彼女は、曲のクライマックスでは美しいファルセットを会場中に響かせる。
再びスツールに腰掛けた生田は、「モンブラン」にちなんだクリスマスの話題に加え、「白い恋人達」「カプチーノ」といったカバー曲の魅力について解説。その流れから、自身も日本語吹替版で声優を務めた作品『ウィッシュ』の劇中歌「ウィッシュ~この願い~」へつなげると、それまでのポップス調の歌唱スタイルから、ミュージカルを思わせるドラマチックなボーカルで会場の空気を掌握する。まさに彼女の真骨頂と言わんばかりの歌声に、客席からは惜しみない拍手が送られた。
ライブも折り返しに差し掛かると、この日が初披露となる新曲ブロックに突入する。最初に届けられた「無視」は、自身の怒りのパワーを軽やかなビートに乗せてポップに届ける1曲で、ノリやすいビートも相まって初めて聴いたオーディエンスは気持ち良さげに体をゆすりながら、クラップでライブを盛り上げていく。2曲目の「上出来」はジャジーなスウィング感を取り入れつつ情熱的な側面を強めた楽曲で、生田は低音から高音まで幅のあるメロディを緩急つけながら歌ってみせる。サビの〈上出来 上出来〉というフレーズはシンガロングにぴったりで、今後のライブにおける大きな武器になりそうだ。さらにもうひとつの「黄昏マジックアワー」は、前2曲とは異なり穏やかなサウンドが特徴的で、生田は日の出前の美しい空模様=マジックアワーの儚さを美しい歌声で表現してみせた。
生田から新年早々の思いがけないプレゼントに、観客は喜びのあまり鳴り止まない拍手を響かせる。そんなオーディエンスを前に、生田は「今日こうやって皆さんに新曲を3曲も聴いてもらうことができて、とても嬉しいです。またいつかライブで聴いていただけるように……もちろん記憶の中でも音楽を覚えていてくれたら嬉しいですけど、また(音源として)形にしていけるよう一歩一歩頑張っていきますので、再び聴いていただける日を私も楽しみにしています」と挨拶。そして「次の曲が最後。去年のツアーを回っている最中に作った曲です」と告げて、曲中に登場するクラップパートを観客にレクチャーしてから本編ラストナンバー「シンフォニー」を披露。ライブに来てくれた人たちと心をひとつするために制作されたこの曲では、観客のクラップとアーシーなバンドサウンド、ハートウォーミングな歌声が見事に重なり合い、会場中が多幸感いっぱいの空気に包まれていく。ステージ上も客席も笑顔で満ち溢れたところで、ライブは一度幕を下ろした。
その後、生田の歌とピアノでシンプルにスタートする「No one compares」でアンコールに突入。切々と言葉を紡ぐ彼女のピアノ弾き語りに合わせて、途中からバンドサウンドが加わり、この曲が持つ繊細な世界観に華を添える。そして、再びマイクを手にした生田は「普段、皆さんのことを考えていると『いつかこの曲を届けよう』とか『あれもこれもやりたいな』とかいろんなことが思い浮かんできて、それが次への楽しみやエネルギーに変わっていく。それをこうしてステージで聴いてもらう瞬間、『このために私は日々を過ごしてきたんだな』と報われるんです。そんなふうに私はいつも皆さんからたくさん力をもらっています。本当に次の曲が最後になってしまいますが、私の最大限のエールを込めてお届けします」と挨拶して、ラストナンバー「だからね」をプレゼント。エモーショナルなサウンドと歌声はライブのクライマックスに相応しく、オーディエンスはそんな彼女のまっすぐな歌声を真正面から受け止め、瞳を輝かせる。観客から受け取ったものを音楽で返していくという、ポジティブなパワーの交換のような1曲でライブの熱気は最高潮に達し、約90分におよぶステージはフィナーレを迎えた。
現在もミュージカル『レ・ミゼラブル』に出演し、多方面で活躍し続ける生田だが、このレア感の強いライブで幕を開けた2025年も「アーティスト・生田絵梨花」にとって充実の1年になること間違いなし……この日のライブはそう予感させるに十分な内容だった。ここで得たポジティブなパワーを、今度はどんな形で昇華させるのか、これからの彼女の動向に注目したい。
Text:西廣智一
Photo:マスダレンゾ
◎セットリスト
【Erika Ikuta Premium Billboard Live 2025】
2025年1月7日(火)神奈川・ビルボードライブ横浜 2ndステージ
01. かくれんぼ
02. Laundry
03. I’m gonna beat you!!
04. モンブラン
05. 白い恋人達
06. カプチーノ
07. ウィッシュ~この願い~
08. 無視
09. 上出来
10. 黄昏マジックアワー
11. シンフォニー
アンコール
12. No one compares
13. だからね
◎リリース情報
EP『bitter candy』
2025/3/5 RELEASE
<初回生産限定盤A(CD+Blu-ray+アートワークフォトブック)>
SRCL-13192~13194 / 7,700円(tax in.)
<初回生産限定盤B(CD+Blu-ray+ライブフォトブック)>
SRCL-13195~13197 / 7,700円(tax in.)
<通常盤(CD)>
SRCL-13198 / 3,000円(tax in.)
【CD(全形態共通)】
・上出来
・無視
・黄昏マジックアワー
・モンブラン
・かくれんぼ
他
【Blu-ray(初回生産限定盤A)】
・2025年1月7日(火)に神奈川・ビルボードライブ横浜にて行われた【Erika Ikuta Premium Billboard Live 2025】のライブ映像を特別編集で収録
・「bitter candy」ジャケット撮影メイキング映像
【Blu-ray(初回生産限定盤B)】
・2024年9月20日(金)に神奈川・パシフィコ横浜国立大ホールにて行われた【Erika Ikuta Tour 2024 『capriccioso』 FINAL】のライブ映像を特別編集で収録
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