DREAMS COME TRUE、8年ぶり開催【ウラワン】で見せたドリカムのライブバンドとしての真価

2024年9月24日 / 18:25

 【DREAMS COME TRUE 35th Anniversary ウラワン 2024/2025】(通称ウラワン)が、9月22日、23日のさいたまスーパーアリーナ公演からスタート、そのオフィシャルレポートが到着した。

 ショーが始まる直前の会場内には、独特のムードが漂っていた。それは一言で言えば、嵐の前の静けさ、に似ていた。ウラワンは、前年に行われた4年に一度の大規模ドームツアー【史上最強の移動遊園地DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2023】と表裏を成す。つまり、表がワンダーランドで、それに対して裏のワンダーランドということでウラワン。ワンダーランドとウラワンの違いは、まずは何と言ってもセットリストだ。ワンダーランドのセットリストがファンのリクエストをもとに構成される「ベスト・オブ・ドリカム」とも言うべきメガヒット連発のものになる一方で、ウラワンは、吉田美和と中村正人が強くやりたいと思った曲やファンの人に聴いてほしいけど普段はなかなか演奏する機会のない曲が並ぶ。本人たち曰く「自己主張強め」であり、今回に関していえば、MCでも吉田が言っていたように、「ド渋」であり「ド裏」なセットリストとなるのだ。

 さらにもうひとつは演出面。ワンダーランドは常に日本のライブ・エンターテインメントの最新基軸を更新していくものであり、代名詞ともなっている3Dフライトなど、大掛かりな演出をふんだんに盛り込んだショーになっている。しかし、(あくまでワンダーランドに比べて、ということだが)ウラワンの場合は、歌と演奏とダンス、この掛け算による肉体表現の限界値に挑むものとなっているのだ。

 だからこそ――なのだ。ウラワンこそが、ある意味でのドリカムの本質、及び、真骨頂が味わえるショーだということが言える。そして、ワンダーランドと違い、どんな曲が演奏されるのか、その予測はかなり難しい。嵐の前の静けさ、というのは、そうした「どの曲が演奏されてもしっかりキャッチしますよ。準備はできていますよ」といったウラワンならではのムードなのだ。それをも含めてライブ前から楽しめるライブ、それがウラワンだ。

 しかも今回のウラワンは、3回行われたこれまでに比べて、かなり新しい要素が加えられ、進化を遂げたものとなっていた。ツアーが始まったばかりの今の段階で全てを明かすことはできないが、ひとつだけ最も重要なポイントを挙げるとすれば、女性パフォーマーチームのD-FAIRIESの4人が初めてウラワンに参加し、吉田美和と組んでメインでパフォーマンスをするということだ。このことで、楽曲の表現は全く違う色合いと感触になり、聴いたことのないドリカム、見たことのないドリカムを体験できる。特にウラワンには、人間の心の繊細な部分を表現した楽曲が多く、吉田美和とD-FAIRIESのパフォーマンスによって、吉田の描く深淵なる歌詩世界のさらに向こう側へと誘われることになるのだ。そしてそこに、世界的なデザイナーであるKEITAMARUYAMAの衣装が重要な役割を担っていることも見逃してはならない。見た目に派手な演出はないが、総合芸術としての強度と深度は増している、と言っても過言ではない。

「8年ぶりとなったウラワンツアーへみんなほんとにほんとにほんとにようこそ!」(吉田)
「しかも35周年とバチっと重なった奇跡のウラワンです!」(中村)

 8年ぶり、と聞いて、改めてウラワンが開催されることへの感慨が呼び起こされた。2019年に行われたワンダーランドの翌年、2020年にウラワンを開催するはずだった。しかし――ご承知のとおり――コロナによって、それは叶わなかった。そうした、ある意味で我々が等しく経験した“大きな時間”を含んでいることで、今回のウラワンがより感動的なものとして迫ってくるのだ。それは、ようやくここから本当の意味で新しい一歩を踏み出せる、という確信が得られるからだ。

 高らかに勝利を告げる鐘のように響く演奏を聴きながら、もう後戻りすることはないのだと思えた。そして、大きな時間の流れは螺旋を描きながら新たな旅立ちの地点へと行き着く。まるで宇宙船に乗って旅をしているような壮大な気分だ。

「みんなのおかげで35周年を迎えられています。もっといっぱいがんばるよ」と、アンコール前、最後のMCで吉田美和は約束してくれた。

 これまで見た、どんなドリカムのライブよりも、歌い倒し、踊りまくる吉田美和がいる。スペシャルゲストドラマーの神保彰と中村正人が織りなすリズム隊に導かれたバンドグルーヴは、これまでの最高到達点を軽々超えるほどの隙のなさと強靭さで迫ってくる。

 DREAMS COME TRUEは、タフなライブバンドである――そのことを嫌というほど見せつけられたウラワンの初日だった。

Text by 谷岡正浩
Photos by TAKU FUJII, YUKITAKA AMEMIYA


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