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いぎなり東北産のツアー【2024春ツアー TOHOKU-SAN EXPO】が、4月6日の東京・豊洲PITにて最終日を迎え、その公式レポートが到着した。
東京と大阪、そして彼女たちの活動の拠点である地元・宮城の3公演で行なわれた今回の春ツアー。ファイナルの豊洲では、TikTokで彼女たちと同じアイドルの子たちがこぞってダンス動画を投稿し話題となった「わざとあざとエキスパート」「沼れ!マイラバー」をはじめとして、本ツアー初公開となったユニット曲や、本公演と同じ4月6日にリリースされたばかりの3rdアルバム『東北産万博』収録曲などを約2時間にわたって披露した。
ツアータイトルで【TOHOKU-SAN EXPO】と謳っているとおり、本ツアーは万国博覧会(万博)がテーマ。万博で我々を楽しませてくれる様々な趣向を凝らした各国のパビリオンのように、いぎなり東北産のいろんな魅力を提示する、ということだろう。開演時間となって客電が落ち、オープニングムービーがスタート。ステージ上の紗幕に新ビジュアル(アルバム『東北産万博』のビジュアル)のメンバーがひとりずつ表示されるたびに、オーディエンスからは大きな声援が上がる。
豊洲のステージで、いぎなり東北産の9色が混ざり合い、そしてひとつになる。ステージ上空に設置されたミラーボールを頂点として形作られる光のピラミッド。その下でパビリオンガールをイメージしたピンクの衣装に身を包み、いぎなり東北産が姿を見せる。大歓声で迎え入れる中で、オープニングを飾った「Let’s シンガソング」の歌詞のような満天の星空の眩さがステージに描き出される。一方、メンバーは豊洲を埋めたカラフルなペンライトの輝きを目の前にして笑顔になる。
「本日は、【TOHOKU-SAN EXPO】にお越しいただきありがとうございます!」
足元のスモークだけでなくシャボン玉の特効も飛び出すなど【TOHOKU-SAN EXPO】が華々しくスタートを切ると、さっそくパビリオンではなく“可愛さの沼”に足を踏み入れたのかと勘違いしそうになる2曲目「沼れ!マイラバー」へ。メンバーがステージから四方八方に可愛さを放出すると、悲鳴のような興奮と歓喜の声がフロアの至るところで巻き起こる。
さらに律月ひかるが「皆さま、本日は【TOHOKU-SAN EXPO】にようこそ。こちらには様々なパビリオンがございます。まずはじめにご案内させていただくのは、無限に広がる“宇宙”でーす。」と、来場した皆産(東北産のファンの総称)に「宇宙に行こう!」をご案内。衣装に合わせたピンクのショルダーバッグやファイル(案内板)を手にしたパビリオンガールたちが誘ういぎなり東北産のエンターテインメント。その楽しさはまさしく宇宙である。そうかと思えば、伊達花彩のアカペラから始まる「恋愛フィルター」など、わちゃわちゃとした楽しい面と、しっかりパフォーマンスで魅せるという緩急の付け方で、彼女たちは確実にオーディエンスを自分たちの世界に引き込んでいく。さらにアトラクションのような盛り上がりで観客は安杜羽加の手のひらに転がされる感覚にも陥る「BUBBLE POPPIN」。安杜が「おい、豊洲! 四の五の言わずに暴れるよー!」と客席を煽れば、激しいコールや振りコピとともに会場の熱気は“ズン、ズズン”と上昇していく。一方、春の軽やかな風を感じさせる「桜プロミス」では、会場一体となっての盛り上がりを形成していた。
本ツアースタート前からファンの間でホットなトピックとなっていたのは、ツアーに合わせて用意されたユニット曲の存在。メンバーは、最初のMCタイミングを使ってパビリオンガールの衣装からグループ初となるお腹を露出させた、従来比で肌面積多めな新衣装へと衣装チェンジを行ない、さっそくその注目曲たちを披露する。
「ラブソング?」という一言以外の情報が出せなかったため、「ずんだクレープでも食べながらライブ披露を待て!」と、さりげなく曲のキーワードを盛り込んだ形で、これまでの速報などでもお伝えしていた、葉月結菜、安杜羽加、藤谷美海のユニット曲「トーホク・ラブ・ストーリー ~恋はいつも突然に~」。ツアー初日、この3人が突然ミュージカルを始めるなんて想像できた人はどれだけいただろうか。藤谷美海の演じる“みうおくん”と葉月結菜が演じる“ユナちゃん”、そして安杜羽加演じる“ギャル杜”の三角関係(?)の物語。いぎなり東北産らしさがこれでもかと盛り込まれたエンターテイメントと、隠れギャル好き属性の“みうおくん”に待ち受ける運命には、豊洲でもしっかりと笑いが起きていた。
ステージ上空からいくつも降り注ぐ光の筋に照らされて浮かび上がる伊達花彩と桜ひなの。彼女たちのユニット曲「轟」は、「メタハンマー」「結び」といったいぎなり東北産楽曲を手掛けた園田健太郎の提供作品。グループを歌唱面で引っ張る伊達と桜のボーカリストとしての一面にフォーカスし、乱反射する光の粒子とマントをたなびかせる風を受けてふたりは歌い上げる。それはただエモーショナルなだけでなく、音源に忠実に歌うだけでもない。言い表すなら静と動、冷静と情熱。そんなふたりだからこそ成立する歌唱表現のバランスは、オーディエンスの目と耳とハートを鷲掴みするには十分すぎた。
可愛さと美しさに全振りしたステージングで魅せるのは、吉瀬真珠と北美梨寧の「イヤギハジャ」。北美が心酔するK-POPテイストをふんだんに取り入れて、先に披露された「トーホク・ラブ・ストーリー ~恋はいつも突然に~」とは違った意味で、これまでのいぎなり東北産にはない楽曲となっている。男の子をパーティーに誘う情景を表現するふたりのキュートな仕草と歌声を目の当たりにして、手に持ったペンライトを振ることも忘れて、ただステージに見惚れているだけになってしまっている観客がフロアのあちこちで目撃できた。
王道アイドル(この楽曲では白を表現)の橘花怜と独自のアイドル世界観を進む(この楽曲では黒を表現)律月ひかるのユニット曲「ぱんださん」。2人の白と黒をイメージするパーティションとともにパフォーマンスされた。いぎなり東北産史上初の“ガチ恋口上”推奨曲は、初披露となったツアー初日の仙台公演の時から観客によるコールがいつの間にか大量に追加投入されているという進化・成長(?)を見せていた。それぞれの理想とも重なるアイドルとしての姿を描いた歌詞、とりわけ象徴的な「私はアイドルだ」というフレーズでスポットライトを浴びて輝くふたり。そしてそこに観客の熱量や気持ちも重なっていく。そんな双方の願いや想いが込められた、熱を帯びたパフォーマンスが展開された。
ところで、会場の各所に設置された10台以上のカメラによる映像演出は、ツアーファイナルならではのものだった。そしてこの演出を最も効果的に用いていたのが、「真っ直ぐに、明日がある」。桜ひなのから歌いつなぐ形に歌割りが変更されたこの曲では、ステージを覆った紗幕に歌唱メンバーの映像をひとりずつ投影する一方、紗幕の向こう側にいるメンバーに照明を当てることで紗幕を透過させ、まるでテレビ映像のような景色を映し出す。そうすることで、歌詞に込められたメッセージをより幻想的に、印象的に客席へと届けた。
マイクスタンドも用意されて、万博の華やかさを想起させる「Trophy Girl」に、回替わり曲となった豊洲での「うぢらとおめだつ」、そして律月ひかると大森靖子が令和のアイドルシーンに産み落としてしまった最狂のラブソング「狂くるどっかーん」と盛り上がった後には、これまたいぎなり東北産らしい企画コーナーが用意される。
「東北産masterは誰だ?もっと深堀りパビリオン」と題された今回の企画は、お題に対する答えでメンバー間での一致を目指す、というもの。しかし、さっそくの1問目「いぎなり東北産が海外進出するとしたら?」というお題に対して、メンバー全員が見事なまでにバラバラな国と地域名を挙げてしまう事象が発生。そんなミラクルに客席もメンバーも歓喜する中、ひとりコーナーを軌道修正しようとしていた司会の葉月結菜だった。
さらに、観客の中での東北産masterを目指すクイズ企画も実施。「今朝一番早く起きたのは『ひかる』か『わか』かどっち?」「新幹線電車移動とワゴン車移動、いぎなり東北産はどっちが好き?」といったクイズで、客席に紛れ込んだ、純粋培養されたガチガチのいぎなり東北産コアファンを浮かび上がらせた。
そしてここで、ニューアルバム『東北産万博』にも収録されている新曲「東京アレルギー」をライブ初披露する。イントロが始まるとともに、何かのスイッチが切り替わったかのように、彼女たちの眼差しに鋭さが宿る。
メンバーだけでなくスタッフの東京での経験談もきっと散りばめられているであろうこのロックチューン。地方出身者なら誰しも抱いたことがある「東京」への憧れ。パシフィコ横浜、そして日本武道館公演を目指すチームいぎなり東北産にとって、東京は憧れの地であると同時に、闘いの場でもある。“アレルギー”が出てしまうほどの辛いことがあっても、憧れの日本武道館に立つ日を目指して皆産と一緒に闘う。「東京アレルギー」は、いぎなり東北産がそんな“覚悟”を決めた歌だ。
「夢を叶えるなら東北産と皆産とがいい。」
本稿最後にあらためて触れるが、本公演ラストMCで橘花怜はそう口にした。今年の年末の“パシフィコリベンジ”も「夢まで徒歩14分」。チームいぎなり東北産として、皆産も「グリコチヨコレイト」でともに進み続けてほしい。
メンバーが激しさとともに披露して豊洲PITを揺らすと、終盤にかけて畳み掛けるように「NIWAKA」「メタハンマー」「天下一品」「いただきランチャー」などなど、これでもかと熱く盛り上がる曲ばかりを立て続けに大放出。イントロが流れた瞬間に歓声が上がり、NIWAKA人形は豊洲を舞い、色とりどりのペンライトの明かりは力強く弧を描く。メンバーのシャウトが空間を引き裂けば、観客からのコールが空気を震わせる。本編最後の「飛ぶぞ!」で、橘花怜が「高く高く、人生で一番飛ぶぞ!」と力のかぎり叫べば、伊達花彩も「これがラストの曲だ! 一緒に飛んで盛り上がろうな!」と煽り、いくつものタオルが回される光景が豊洲に広がっていった。
なお、「東京アレルギー」初披露の模様は、すでにYouTubeにてライブ映像が公開となっている。
アンコールでは、2023年のアイドルシーンとTikTokで話題となった彼女たちのテッパン曲「わざとあざとエキスパート」でひとしきり沸かせた後、本ツアーのラストを締めくくる、うちわを手にしての「ワンダフル東北」。
いぎなり東北産の様々な魅力を発信した【TOHOKU-SAN EXPO】は、最後に彼女たちの故郷について高らかに歌い上げて、その幕を下ろした。
「今回の春ツアーは3公演だったんですけど、どれも本当に濃い思い出です。ライブを通していつも思うのは、皆さんがいてこその私たちだし、このキラキラした私たちを作ってくれるのは、いろんな人たちがあってこそだなって。これからもいぎなり東北産という大切な居場所をみんなに伝えていけるように、仲間を増やせるように頑張りたいと思います。このツアーで、みんなのことがもっともっと大好きになりました。」── 葉月結菜
「このツアーは3公演のみで終わるのがもったいないって思うんですけど、アルバムも出て、新たなメンバーの一面を見れたり、私自身もユニット曲とか見ていて、このメンバーすごいな、強いなって誇りに思うことがあったので、そんなつよつよな東北産の一面をもっと全面に出して、私たちらしいエンタメを皆さんにお届けできたらと思います。私はこのメンバーと皆さんと作り上げるライブが大好きで恋しいので、そんなライブを今後も作っていきましょう。」── 安杜羽加
「今回のツアーはですね、今まで一番っていうくらい皆さんとひとつになれた気がして。東北産の曲は元々好きなんですけど、皆さんの声が合わさることで本当にさらにひとつになって、みんなと一緒に最高の瞬間を作り上げていく。そんな機会に立ち会えたこと、皆さんに出会えたことをうれしく思います。私は、東北産と皆産と一緒にいると、無償に「あ、もう幸せ」って思う時があるんですよ。そう思える人に出会えたこと、すごく嬉しいなと思うし、夢を叶えるなら東北産と皆産とがいいので、これからも夢の先を一緒に描いて行けるように頑張っていきます。今回のツアーが終わりまして、前哨戦があったり、パシフィコ横浜、そしてその先にある日本武道館。皆さんと一緒に進んでいけるよう頑張ってまいります。本日も一緒に過ごしてくれて、幸せをくれて、キラキラにしてくれて本当にありがとうございました。皆産、大好きです。」── 橘花怜
なお、いぎなり東北産は7月26日に【東京ワンマンライブ~年末への前哨戦~】と題した公演をかつしかシンフォニーヒルズモーツァルトホールにて行なうことを本公演最後に発表。年末のパシフィコ横浜公演ソールドアウトを狙うための具体的なアクションをいよいよ実行に移していく。
取材・写真・文:Yosuke TSUJI
◎公演情報
【2024春ツアー TOHOKU-SAN EXPO】
2024年4月6日(土)東京・豊洲PIT
<セットリスト>
1. Let’s シンガソング
2. 沼れ!マイラバー
3. 宇宙に行こう!
4. 恋愛フィルター
5. BUBBLE POPPIN
6. 桜プロミス
7. トーホク・ラブ・ストーリー ~恋はいつも突然に~
8. 轟
9. イヤギハジャ
10. ぱんださん
11. 真っ直ぐに、明日がある
12. Troghy Girl
13. うぢらとおめだづ
14. 狂くるどっかーん
15. 東京アレルギー
16. NIWAKA
17. メタハンマー
18. 天下一品 ~みちのく革命~ 2020ver.
19. いただきランチャー
20. 飛ぶぞ!
アンコール
21. 出囃子
22. わざとあざとエキスパート
23. ワンダフル東北
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