エンターテインメント・ウェブマガジン
Mrs. GREEN APPLEのファンクラブツアー【Mrs. GREEN APPLE 2023-2024 FC TOUR “The White Lounge”】が3月3日に東京ガーデンシアターで終幕した。
昨年12月20日に始まった本ツアーには、白いアイテム着用を勧めるドレスコードがあり、会場は白を基調としたツアーグッズやオールホワイトのコーディネートを楽しむ観客で埋め尽くされた。開場中には米南部をイメージさせるブルースが響き、ホテルのラウンジに見立てたステージにはすでにキャスト達がパーティーを始めていた(仮面をつけたキャストが場内を歩き回るという雰囲気づくりもあった)。
静かにサポートメンバーが着席し、さらに若井滉斗(Gt)と藤澤涼架(Key)がステージ下手に登場。そして、ドアベルが鳴り、このショーのストーリーテラーを担う大森元貴(Vo / Gt)がドアを開けて入ってきた。オープニングを飾るのは、今回のFCツアーのために書き下ろされた曲だ。旅行かばんを手に、「どこから来たの?」という問いかけには「どこだろう……」とはぐらかす。
この書き下ろし楽曲を含めた計16曲が、MCなしの二部構成で披露された。アナログテレビのスイッチオン/オフとともにシーンが切り替わり、いくつかの愛が描かれていく。恋人との別れを悔やみ、自己嫌悪と鼓舞のくり返し(「君を知らない」「ダンスホール」「ツキマシテハ」)や、勇気を出して本音を伝えた後に訪れたハッピーエンド(「ニュー・マイ・ノーマル」「PARTY」)、片思いに胸を焦がす場面(「Just a Friend」)、フィクションで溢れたこの世の中(舞台)でちっぽけな自分はどう演じ、どう生きていくか(「ケセラセラ」「Soranji」)など……ストリングスや管楽器が加わったアレンジは、とても新鮮で、楽曲にシームレスに入っていく導入や、歌詞に合わせた小道具と演出にハッとさせられる楽しみもあった。
ミセスが普段のライブスタイルとは異なるコンセプチュアルな公演を行うのは今回が初めてのことではない。筆者を含め、今回のFCツアーに初めて参加した観客の中には、想像をはるかに超えた構成とパフォーマーとしての3人の姿に驚き、舌を巻いた方も多いだろう。いわゆるロックバンドが歌い、踊り、演技もするなんて、誰が想像しただろうか。固定概念や当たり前を取っ払い、もはや歌うだけのバンドではないミセスは、ある種、パイオニアだ。フェーズ1の頃から追いかけているファンも、ここ最近ミセスのファンになった方も大森のダンスは何度も目にしているだろうが、本職以外のパートもこなした若井と藤澤のマルチプレイヤーぶりにも拍手を送りたい(二人もショーの登場人物になりきっていた)。
このライブが映画上映されることが発表されており、上映を楽しみにしている人のために、パフォーマンスの詳細は記載しないでおこう。ネタバレ解禁とともに拡散した様々な考察や感想を読んでいると、「そういう意味だったのか!?」と気づくものが多々あった。「なぜこの曲が選ばれたの?」「あの演出の意味は?」といった質問には、あえて正解を出さないのが正しい答えかもしれない。
全てのパフォーマンスが終わり、緊張がほぐれたカーテンコールでは、計22公演を終えた率直な感想が述べられた。藤澤は「年末にいろいろな番組に出演させてもらいながら、同じ時期に始まったこのツアーを無事終えることができて本当によかったという気持ちでいっぱいです」、若井は「ホールツアーでは最長となり、久々の場所や初めましての場所にも訪れて……僕たちにとっても濃密で、思い出として絶対残る大切なツアーになりました。皆さまのおかげです。ありがとうございます!」と、やり切った達成感と感謝の気持ちで溢れていた。
そして大森は1月に公表した左耳の突発性難聴にも触れる。「僕にとってはちょっと特別です……ご心配をおかけしましたが、終えることができて本当によかったです。素晴らしいキャストやバンド、スタッフの方々に支えられました。超楽しかった!」と包み隠さず、心境を報告。続けて、バンドを代表して、「自分たちがいいと思えるものや体験を届けることは変わらずにやっていきたいです。皆さんに頼って、こういうツアーに挑戦させてもらいました。本日からファンクラブもリニューアルしまして、おもしろいと思ってもらえるものをもっと作っていけたらと思います。どうぞ今年もよろしくお願いします!」と意気込みを語った。
ボーダーレスな考えや個人を重んずる楽曲を通して、慣例を変えてきたMrs. GREEN APPLEが【The White Lounge】で届けたエンターテインメントは、「こういう見せ方もある」という、彼らのこれからのスタンダードになっていくのではないだろうか。ライブハウスで一体感を作り上げるミセス、ドームや大規模会場でスペクタクルなライブを展開するミセス、SNSやバラエティ番組で見せる等身大のミセス、皆に寄り添ってくれる音楽を通して伝えるミセスに、こういったシアトリカルでコンセプチュアルな姿も見せられるミセスが加わったと思えるライブだった。
Text by Mariko Ikitake
Photos by 田中聖太郎写真事務所(金谷 龍之介)/ 古溪一道
◎セットリスト
【Mrs. GREEN APPLE 2023-2024 FC TOUR “The White Lounge”】
1. The White Lounge(書き下ろし楽曲)
2. Folktale
3. 君を知らない
4. ダンスホール
5. ツキマシテハ
6. Coffee
7. ニュー・マイ・ノーマル
8. PARTY
9. 春愁
10. Just a Friend
11. Attitude
12. Feeling
13. ケセラセラ
14. Soranji
15. The White Lounge -reprise-
16. フロリジナル
洋楽2024年11月22日
故マック・ミラーの遺族が、2020年にリリースされた最初の遺作アルバム『サークルズ』の5周年を記念して、2枚目の遺作アルバムをリリースする予定だ。『サークルズ』は、2018年に急逝したミラーが生前に制作していたアルバムだった。 米ピッツ … 続きを読む
J-POP2024年11月22日
Eveが、TVアニメ『アオのハコ』エンディングテーマとして書き下ろした「ティーンエイジブルー」のミュージックビデオを公開した。 現在配信中の本楽曲は、11月27日発売のニューアルバム『Under Blue』にも収録される。 ◎映像情報 … 続きを読む
J-POP2024年11月22日
TM NETWORKのドキュメンタリー映画『TM NETWORK Carry on the Memories -3つの個性と一つの想い-』が、2025年春に劇場公開される。 1984年4月21日に、シングル『金曜日のライオン』でデビュー … 続きを読む
J-POP2024年11月22日
モーニング娘。’24の一発撮りパフォーマンス映像『モーニング娘。’24 – 恋愛レボリューション21 / THE FIRST TAKE』が、2024年11月22日22時にYouTubeプレミア公開される。 一発撮りのパフォー … 続きを読む
J-POP2024年11月22日
tuki.が、2025年1月8日に1stアルバム『15』を発売する。 同作は、tuki.が15歳を迎えるまでに作ったという楽曲が収録されたアルバム。「晩餐歌」をはじめ、「一輪花」「サクラキミワタシ」「ひゅるりらぱっぱ」といった既発曲のほ … 続きを読む