森 大翔、故郷への想いを胸に次の未来へ 初のツアー【Mountain & Forest】東京公演レポート到着

2023年11月27日 / 12:00

 11月22日、森 大翔の初のツアー【Mountain & Forest】の東京公演が、渋谷WWWにて開催された。以下、同公演のオフィシャルレポートを掲載する。

 今から振り返れば、約半年前、森の20歳の誕生日である6月9日に渋谷eggmanで開催された初のワンマンライブは、彼の10代の歩みの集大成を示す場であったといえる。今回の公演も、5月にリリースした1stアルバム『69 Jewel Beetle』の収録曲を軸にセットリストが構成されている点は同じであったが、それらの楽曲に加えて、その後にリリースされた新曲や現時点では未発表の曲が披露され、結果として、絶え間なく変化・成長を重ね続ける森の最新のモードを色濃く反映した公演となった。

 ライブの幕開けを飾ったのは、インストナンバー「Eureka」だ。サポートメンバーが鳴らす激烈なバンドサウンドの中で輝かしい存在感を放つブルージーなギタープレイ、また、速弾きや高速タッピングをはじめとした超絶技巧の数々によって、ギターヒーローとしての華々しい姿を超満員のフロアに見せつけていく。続けて、一度暗転したステージでスポットライトを受けながら、エレキギターの弾き語りで「すれ違ってしまった人達へ」を歌い出す。高い天井の会場に伸びやかに広がる彼の歌声は、6月のワンマンライブの時よりも堂々たる響きを放っていて、この短期間における彼のシンガーとしての大きな成長を感じた。また、「みんな、ブルースのあの曲は好きかい?」と観客に問いかけた後に披露した「オテテツナイデ」では、「まだいけるか!」と力強くフロアを煽る一幕も。観客を巻き込みながら熱い一体感をつくりだしていくライブアーティストとしての姿がとても頼もしかった。

 この日初めてのMCでは、今回のツアー初日にあたる札幌公演で、デビューした頃によくライブをしていたPLANTのステージに約1年半ぶりに立ったことを振り返った。彼いわく、懐かしのライブハウスで久々にライブをした時、「高校生の頃の自分が重なった。」という。今がいっぱいいっぱいになると、どうしても昔のことを忘れてしまうけれど、自分は確かにここにいた。辛かったことも、嬉しかったことも、これまで経験してきたこと全てが、今ここに繋がっている。そのように胸の内の想いを語った森は、高校生の頃から披露し続けている楽曲「君の目を見てると」を披露する。ラストの〈また明日から 強くなれる気がした〉という言葉が特に印象的で、これまでの歩みをしっかりと噛み締めたからこそ、次の未来へ進めることを深い確信をもって伝える名演だった。また、目の前の観客へ向けて〈この歌が届くといいな〉という切実な願いを歌い届ける「歌になりたい」も、彼のポップミュージシャンとしての揺るがぬ決意が滲む素晴らしいパフォーマンスだった。

 続けて、彼の出身である羅臼町が舞台の曲「知床旅情」のカバーを、エレキギターの弾き語り&独奏で届ける。そして、バンドメンバーと共に、大切な故郷を思いながら書いた楽曲「いつか僕らは~I Left My Heart in Rausu~」を披露。森は、「皆さん、一緒に歌ってくれますか?」と観客に呼びかけ、そして、フロアから巻き起こった歌声を自らのエネルギーに替えるかのように、深いサスティンが効いた渾身のギターソロを炸裂させていく。

 ここから、未発表の新曲が2曲連続で届けられる。1曲目は、「アイライ」。タイトルの由来は、「愛が来る」で、「自分が好きなことを自信をもって発信すると、愛が返ってくる」という意味が込められているという。この曲は、会場を鮮やかに照らす水色とピンク色のライティングと相まって、カラフル&ダンサブルなポップナンバーとして響き渡っていて、未発表の楽曲にもかかわらずフロアからは大きな歓声や手拍子が巻き起こっていた。一転、2曲目の「雪の銀河」は、ピアノの伴奏による静謐な歌から幕を開け、その後、まるでロックオペラのようにダイナミックな展開をみせる圧巻のナンバーだった。彼は、この2曲について、「新曲の温度差よ」「サウナゾーン」と語っていて、まさに、彼が誇る表現の幅の広さを高らかに示す時間になっていたように思う。

 ハードロック調のリフ、メタルからの影響を色濃く感じさせるライト&レフトタッピング、また、切れ味鋭いカッティングプレイなどを織り交ぜたギターソロパートを経て、いよいよライブはクライマックスへ。11月にリリースされたばかりの新曲「ラララさよなら永遠に」は、この日の数あるハイライトの中でも屈指の名演だった。言葉にして届けたい想いを、歌にして届ける。言葉にならない想いを、ギターに託して鳴らしていく。その2つの表現は彼の中で一つに繋がっていて、歌うようにギターを奏で、ギターをかき鳴らすように感情を爆発させて歌う森の姿に、改めて彼のシンガー&ギタリストとしての真髄を見た気がした。また、本編を締め括った勇壮なライブアンセム「たいしたもんだよ」「剣とパレット」の2連打は、まるで残されたエネルギーの全てを放出するような非常に熱烈なパフォーマンスで、その熱い余韻が本編終了後もいつまでも胸の中に残り続けた。

 アンコール1曲目は、原点の一曲「日日」。本編の大半のパフォーマンスは、頼もしいバンドメンバーたちによって支えられていたが、この曲は一人で弾き語りで披露してみせた。たった一人の手による演奏とは思えないほど豊かな響きを放つアコースティックギターの音色は、思わず息を呑むほどの美しさを帯びていた。MCでは、今回のツアーから初のグッズを販売開始したこと、また、来年の春に新しいツアーを開催することを告げ、フロアから温かな拍手が巻き起こる。その後、再びバンドメンバーをステージに迎え入れ「台風の目」へ。ストリングスの音色を大胆にフィーチャーした音源とは異なり、バンドサウンドの熱量と気迫を感じさせるエネルギッシュなパフォーマンスで、クライマックスに向けてさらなる高揚感を生み出していく。そして、今回のライブは、「ありがとう」「また雪が溶ける頃に会えますよ」という言葉を添えて披露した「明日で待ってて」で幕締め。〈そしてきっとすぐに 暖かな未来が来るから 君は明日で待ってて〉という歌詞が、まるで、この日集まった観客との約束の言葉のように響いていて、とても感動的だった。

 この日の公演の中で発表されたように、来年3月には新しいツアー【Mountain & Forest “愛来”】の開催が控えている。東京公演の舞台は、渋谷CLUB QUATTRO。彼自身が凄まじいスピードで変化・進化を重ねているのに合わせて、動員も右肩上がり、ライブ会場も次々とスケールアップを果たしている。今回のライブを観て、始まったばかりの森の20代の歩みに、改めてとても大きな可能性と希望を感じたし、きっと彼なら、今はまだ想像もできないような大きな景色を見せてくれる予感がする。総じて、これから先の未来へ向けた期待が際限なく高まるような、とても素晴らしいライブだった。

Text by 松本侃士
Photo by 関口佳代

<公演情報>
【森 大翔 1st Tour 「Mountain & Forest」】
2023年11月22日(水)東京・渋谷WWW

<セットリスト>
01.Eureka
02.すれ違ってしまった人達へ
03.オテテツナイデ
04.君の目を見てると
05.歌になりたい
06.知床旅情(カバー)~エレキギター弾き語り
07.いつか僕らは~I Left My Heart in Rausu~
08.アイライ
09.雪の銀河
10.エレキギターソロ
11.ラララさよなら永遠に
12.たいしたもんだよ
13.剣とパレット

EN1.日日
EN2.台風の目
EN3.明日で待ってて


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