雨の降る情景。物語が見えるRain Song 5選♪

2023年6月26日 / 18:00

雨の降る情景。物語が見えるRain Song 5選♪ (okmusic UP's)

天気や自然って不思議。ギラギラの快晴でも、チラつく雪の日も、飛ばされそうな風の時も、そんな事こそ、通常の思い出をオプションとしてより印象的に記憶に残してくれる。今回“雨”というテーマでいろいろ曲を聴いてみて、それぞれのアーティストで同じ題材でも連想するものが違う、というとこがまず面白いなと。雨→傘、雨→心模様、雨→部屋から見てる、雨の中で歌う。でも、共通して言えるのは、やっぱり雨の曲はストーリー性があるものが多い気がする、ということ。あなたはどんな雨の日を思い出す?
「傘」(’19)/King Gnu

Billboard JAPANダウンロード・ソング・チャートにて、初動で1位を獲得したKing Gnuの「傘」。ブルボン「アルフォート」のCMソングとして書き下ろされたこの曲、なんと言うか…すごいなぁ、と。センスの塊感ととにかく耳に残る。中世的な井口理の声質に、ぴったり寄り添っている常田大希の声の絶妙な心地良さ。歌声もこの曲を構成しているひとつのパーツのようだ。そして、ぜひMVを観てもらいたい。傘を持って誰かを待つという近頃ではあまり見かけなくなった光景を、人生を眺めるように観てほしいと、ジャケットに使用されているイラストをモチーフにしたアニメーションとなっているのだが、同じ視点で見えている風景が一曲終わる頃にはあちらこちらで年月を重ねている。まるで間違い探しをするように、何度も注意しながら観たくなるという不思議な作品。そして、歌詞の中では心に降る土砂降りの雨から守る傘さえ持てずにいるが、雨が強くなったり弱くなったりしながら、最後は待ち人が来て傘を差し出して終わってゆく。曇りガラス越しのあなたには何も届かなかったかもしれないけれど、それで良かったのかもしれない、なんて思わせてくれる素敵な一曲。
「雨ふり」(’06)/mark muffin

Vo&Gu.西野顕人(ex.NEED,Pt.)、Gu.森山昌幸(Wyse)、Ba.黒柳能生(SOPHIA)、Dr.RONZI(BRAHMAN)という、異色な組み合わせで2005年に結成されたmark muffinの1stマキシシングル「メランコリー」1曲目に収録されている「雨ふり」。詞・曲ともに西野が担当したこの曲、メンバーそれぞれのそれまでとはちょっとイメージが違うタイプの、穏やかなミディアムナンバーだ。どことなく気だるさを纏ったヴォーカルと曲全体に漂う湿度感が、雨そのものというよりも“ある雨の日”の部屋の中を感じさせる。《傘を忘れて今日も会えないや》という歌い出しを初めて聴いた時、え、傘ないと会えないの!? それはちょっと淋しくない!?…と思ったけれど、雨がきれいで“たおやか”という表現に、なんだか雨の日も悪くないなという気にさせられた。そして、歌詞の中に何気なく混ざり込んでくる関西弁もまた、個人的には和んで◎溜息も流れて消えるような、夜が終わった暑い夏、今なら傘を常備していつでも好きな時に会いに行けてるんだろうな。今も君に降る雨はたおやかですか?
「Singin’ in the Rain」(’98)/ L’Arc〜en〜Ciel

湿ったピアノと雨の降る中で歌うイメージを想定してhydeが作ったという、アルバム『HEART』収録の「Singin’ in the Rain」。雨音が跳ねるようなピアノの音色と、軽やかに歯切れよく弾むkenのギターが印象的な、情緒あふれるジャジーなナンバー。個人的にも2020年に“『ARENA TOUR MMXX』でドエルが聴きたい曲5選!”として一度紹介させてもらっているが、そこからさらに2年、2022年5月に開催された記念すべき『30th L’Anniversary LIVE』にて、なんと24年振りに披露され話題に! 会場後方のサブステージで360°をファンに囲まれながら、おもむろに特性ビニール傘を広げて手を傘の外にかざし“雨が降ってきた”と歌い始める演出も素敵だったが、それもまんざら嘘ではない。客席のほとんどが手にしていた、コロナ以降声を出せないファンに楽しんでもらいたいとグッズ販売した、バットマラカスライト(音を鳴らせる七色に切り替えられるペンライト)の点灯は、見事に水色一色でメンバーを包み込んでいた。約5万人がシステム制御もなく同じ想いだけでつながっている光景は、柔らかで伸びやかな歌声と同じくらい美しい光景でした。いつかまた雨の中で、優しく包まれたその歌を聴かせてほしい。
「雨に抱かれて」(’90)/男闘呼組

雨は好きじゃない。できることなら雨の日に外へは出たくない。でも、窓の外で降る雨を部屋の中から眺めてるのはちょっと好きかも。そう思うようになったのはこの曲に出会ったから。男闘呼組3rdアルバム『参』の最後に収録されている「雨に抱かれて」。ちょうど彼らが全曲を自身で手がけるようになる移行期で、この曲はBa.高橋一也(現:和也)が詞を書き、ヴォーカルをとっている。降りしきる雨音で始まり、そこに重なっていくアコースティックギターの、弦の一本一本が感じられるような音色、そして高橋の声。そのどれもがとても清らかで《青い月明かりに 照らされて眠る十八の夏》という詞もまた、静寂の中に差し込む青白い光が見えるようで、その透明感の純度をより高めている。この世に歌の上手い人はたくさんいるし、歌唱力という言葉の基準は人それぞれで違う部分もあるかもしれないが、個人的には最高のNo.1ヴォーカリストだと思っている。それは、彼の歌がテクニックではなく感情で表現されているから。ちょっとマニアックかもしれないけれど、他メンバーのハモリも美しいこのバラード、ぜひ現在行われているツアー『THE LAST LIVE』のアコースティックコーナーでいかがですか?
「雨唄」(’13)/GReeeeN

実は雨にまつわる曲を探していて見つけたこの「雨唄」。MVに芳根京子が出演したことでも知られる、シングル「イカロス」のカップリングということだが、これはカップリングではもったいなかったんじゃないかという気がしてならない。正直、GReeeeNというと元気ではつらつとした曲のイメージだったが、こんなタイプもあるのかと。しっとりと切なく、けれど静かに熱い。聴く人の状況とリンクして、共感してもらえるような歌詞を意識している彼らだけに、誰もが在りし日の自分と重ね合わせことだろう。また、サビの《二人が過ごしたこの雨の日》と《二人が離れたこの雨の日》の対比が、同じ雨の日でありながらこうも違う、無情の境地に立つ悲しみをとてもわかりやすく表現しているように思う。ふたりで過ごすことを止めたこれからの雨の日々が、きっと少しずつ記憶を上書きして、思い出に変えてくれることを祈りつつ、いい曲に出会えた嬉しさを記してみました。あなたの雨の記憶は何?
TEXT:K子。

K子。 プロフィール:神奈川・湘南育ち。“音楽=音を楽しむ”ことを知り、好きな音楽の仕事がしたい!とOLをやめてオリコン株式会社に9年所属。旅行業界に転職後、副業で旅・エンタメ関連のWEBで執筆するも、音楽への愛が止められず出戻り人に。愛情込めまくりのレビューやライヴレポを得意とし、ライヴシチュエーション(ライヴハウス、ホール、アリーナクラス、野外、フェス、海外)による魅え方の違いにやけに興味を示す、体感型邦楽ロック好き。最愛のバンドと過ごす残りの時間が愛しくてたまらない。


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