【芸能コラム】迫力の怪獣バトルの中に描かれる、戦うことの意味を問う物語「ウルトラマンZ」

2020年10月6日 / 19:20

 テレビ東京系で毎週土曜朝9時から「ウルトラマンZ」が好評放送中だ。シリーズ最新作となる本作は、数年ぶりとなる防衛組織の復活、「ウルトラマンオーブ」(16)の人気キャラクター、ジャグラスジャグラーの再登場など、数々の新機軸を盛り込み、見どころ満載の作品となっている。

 もちろん、最大の見せ場となるヒーロー、ウルトラマンゼットと怪獣のバトルも見応え十分。先輩ウルトラマン3人の力を借りてタイプチェンジするゼットの多彩な技や、防衛組織“ストレイジ”の主戦力となる対怪獣ロボット“特空機”の活躍が、怪獣特撮の醍醐味(だいごみ)を存分に堪能させてくれる。

 そして、物語がより深いところに踏み込んできたのが、第11話「守るべきもの」(9月5日放送)だ。採石場の作業の影響により、地中から怪獣レッドキングが出現。人々を守るため、主人公ナツカワ ハルキ(平野宏周)は、ウルトラマンゼットに変身する。

 その戦闘の最中、後を追うように二体目のレッドキングが出現。何とか一体目を倒し、二体目の迎撃に向かうゼット。だがそこで、レッドキングが自分たちの卵を守るために行動していたことが明らかに。自分がその命を奪ったことに気付いたハルキ(=ゼット)は、戦意を喪失してしまう…。この回は、ハルキの父親が、怪獣から人々を守るために命を落としたことも明かされており、ハルキの行動との対比が、強烈な印象を残した。

 さらに、続く第12話「叫ぶ命」では、これがトラウマとなったハルキが、怪獣グルジオライデンと戦えなくなるという驚くべき展開に。代わってとどめを刺したのが、ストレイジの特空機3号“キングジョー ストレイジカスタム”だった。

 迷いを見せるハルキをよそに、特空機1号セブンガーから特空機2号ウインダム、そして特空機3号キングジョー ストレイジカスタムへと、戦力を強化していくストレイジ。(デザインも次第に戦闘的に)しかし、そこにも葛藤はある。

 ハルキの先輩で特空機のパイロットとして怪獣と戦うヨウコ(松田リマ)は、ハルキとの会話で「今、この世界に怪獣の居場所はない。かわいそうだけど。だからこそ、誰かに押し付けちゃいけない。ちゃんと背負いたいんだ、命を奪う責任を」(第12話「叫ぶ命」)、「確かにキングジョーは強い。けど、こんな兵器を私たち人間が手に入れちゃって、本当にいいのかな……?」(第14話「四次元狂騒曲」)と、悩める心情を告白する。

 
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