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本作『サマー・パック』は、夏をテーマにした「サマータイム・マジック」と「フィールズ・ライク・サマー」の2曲を収録した、2004年の『Kauai』以来4年振りとなるEP盤。EP盤というと、通常4~6曲は収録されるものだが、特に何曲以上という規定はなく、大ヒットしたドレイクの『スケアリー・アワーズ』(2018年)など、2曲で構成されるものもある。昔懐かしい、両A面シングルみたいなものか。
チャイルディッシュ・ガンビーノは、今年5月にリリースしたシングル「ディス・イズ・アメリカ」が、自身初の全米No.1を獲得したばかり。日系監督のヒロ・ムライが担当した同曲のミュージック・ビデオは、頭に袋を被せられた黒人男性を背後から射殺するシーンや、ゴスペル隊を乱射する衝撃の内容が大きな話題となり、公開2か月で3億回視聴を超える大ヒットを記録した。
アメリカの社会情勢を深刻に訴えた「ディス・イズ・アメリカ」とは一転。新曲は、どちらも良い意味でサラっと聴き流せる、爽やかなサマー・チューン。両曲とも、「ディス・イズ・アメリカ」や前作『アウェイクン、マイ・ラヴ!』(2016年)をプロデュースした、ルドウィグ・ゴランソンとの共作。
「サマータイム・マジック」は、シンプルすぎるくらいシンプルに綴られたラブソング。サウンドも、ドライブやフロアで映えそうな、レゲエベースのエレクトロ・ポップで、チャイルディッシュ・ガンビーノらしからぬライトな仕上がり。さざ波の音や風通しの良いコーラスなど、夏らしい演出が曲のイメージをかきたてる。個人的にはこの“サマータイム”、セピア色の雰囲気を感じさせる「夏の夕暮れ」という印象を受けたのだが、みなさんにとってはどんな “サマータイム”だろうか。
一方の「フィールズ・ライク・サマー」は、マックスウェルやザ・ウィークエンドあたりを彷彿させる、オルタナティブ・R&B~ネオソウル。宙に浮くようなファルセットや強くきかせたエコーが、涼しさを音で体感させる。「ディス・イズ・アメリカ」ほど重くはないが、「世界が変わることを望んでいる」と社会問題についても軽く触れている。この曲の方が、今までのチャイルディッシュ・ガンビーノらしい。
この2曲と、大ヒット中の「ディス・イズ・アメリカ」が収録される新作は、今年中にリリースされる予定だが、発売日やタイトルなどの詳細は明らかになっていない。 チャイルディッシュ・ガンビーノは、その4作目となるスタジオ・アルバムが最後の作品になると宣言しているが、また違う名前でアーティスト活動を再開してくれるかもしれない。9月からは、レイ・シュリマーとアリーナツアーを開催する。
Text: 本家 一成
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