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西アフリカ・ソンゴイ族出身の4人(親子のメンバーも含む)によるロック・バンド=ソンゴイ・ブルースのデビュー・アルバム『Music in Exile』がリリースされた。デーモン・アルバーンが中心になって製作されたアフリカ・エクスプレス・プロジェクトのアルバム『MAISON DES JEUNES』(2013)にもフィーチャーされていたグループであり、そんなデーモンらの交流のお陰もあって近年は西アフリカのミュージシャンが数多く紹介されているが、このソンゴイ・ブルースはとりわけ鮮烈で尖ったロック・サウンドが印象的なグループである。
ソンゴイ族は、遡れば彼の地に帝国を築いていたという歴史を持ち、その後幾度となく繰り返された戦乱と統治を経て、現在は/デザート・ブルース・バンドと言えばトゥアレグ族出身のティナリウェンが有名で、こちらは1970年代に民族自治を求めて政府と戦った人々をルーツにしているのだが、ソンゴイ・ブルースも歴史的・政治的に複雑なバックグラウンドと現実を抱えていると言えそうだ。それゆえか、強く土着の音楽を匂い立たせながら、同時にパンク・ロック的なソリッドなサウンドを鳴らしている。
アルバムのオープニングを飾る「Soubour」は、先に触れたコンピレーション盤『MAISON DES JEUNES』にも収録されていたナンバーで、NYのヤー・ヤー・ヤーズに籍を置くギタリスト=ニック・ジマーが参加している(ニックはマーク=アントワーヌ・モローと共に『Music in Exile』のプロデューサーも務めている)。ここから冒頭3曲のロックなエネルギーが渦巻く内容は興奮を禁じ得ない。4曲目の「Sekou Oumarou」は、一転して深みのあるコーラス・ワークを絡めながら悠久の時の流れを伝えるデザート・ブルース風のナンバー。6曲目の「Ai Tchele Bele」は恐らくアルバム随一の強力なトライバル・ビートを備えたグルーヴィーなナンバーで、演奏者としてのバンドの実力をまざまざと見せつけてくれる。フォーキーな「Petit Metier」も、豊穣な歌心を伝える美しい一曲だ。
西洋のオルタナティヴなアーティストたちとタッグを組んだ作品であるため、欧米のロック/ポップ・ミュージックに馴染んだ耳にも極めてフレンドリーで、キャッチーなアルバムに仕上げられている。ソンゴイ・ブルースはただルーツ・ミュージックを奏でているのではなく、そもそも彼らはロックやヒップ・ホップを聴き育った現代人だ。あくまでも自分たちの世代感覚に沿った音楽を奏で、歌い、そこからナチュラルに滲み出る土着感や歴史があるからこそ素晴らしい。ジュリアン・カサブランカス&ザ・ヴォイズのオープニング・アクトにも抜擢されていた、エネルギッシュなロック・バンドの声に、耳を傾けて欲しい。
Text:小池宏和
◎リリース情報
『ミュージック・イン・エグザイル』
2015/03/25 RELEASE
HSE-39812 2,095円(tax out.)
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