時代を超えて受け継がれるエレファントカシマシの熱いロックスピリット

2014年6月20日 / 14:14

今回の『FaRao Music Discovery』でフィーチャーするのは、6月11日にドラマ主題歌のニューシングル「Destiny」をリリースしたエレファントカシマシ。今年1月にさいたまスーパーアリーナで行なわれたバンド史上最大規模のデビュー25周年スペシャルライヴも大成功。今年行われた数々のフェスでも若いオーディエンスを熱く盛り上げ、長いキャリアを経て、今なおロックシーンの最前線に立ち続ける4人組だ。アーティストの縦横に広がる音楽のつながりを解き明かすこの連載。今回はソングライター宮本浩次のルーツ、そしてエレカシに影響を受けたバンドを通して、時代を超えて受け継がれるロックスピリットを探っていこう。

東京北区赤羽出身の宮本浩次を中心に、中学校の友達同士で集まって結成されたエレファントカシマシ。都内ライヴハウスに出演するようになったのは高校一年の頃だったという。88年にアルバム『THE ELEPHANT KASHIMASHI』でデビュー。この頃に影響を受けていた音楽について、宮本はつい先日行なわれたさいたまスーパーアリーナのライヴのMCで、こんなふうに語っていた。
「昔、デビューの時に、『この人たちは5個ぐらいしかレコード聴いてないんじゃないか、でも、そこがいい』って言われて。実際それに近いものがありましたね。レッド・ツェッペリン、ドアーズ、ローリング・ストーンズ、T・レックスと、そういう洋楽のそうそうたる人たちが大好きで、しょっちゅう聴いてました」
実際、宮本浩次はこれらのバンドからの影響について、たびたび語っている。『月刊カドカワ』1996年4月号の記事でも、上記の4つにビートルズを加えた5つのバンドをフェイバリットに挙げている。中でも「常に聴いていたのがこのアルバムだったように思います」と語っていたのが、レッド・ツェッペリンの『プレゼンス』だ。
「僕が感じるカッコ良さっていうのは、男っぽさや一生懸命さがバンド自体からのいろんなエネルギーとなって、みんなでガッと音を出した時に凝縮されてダッとこっちに伝わってくる、そのダッとくるパワーじゃないですかね」と、同記事の中でレッド・ツェッペリンの魅力について解説している宮本浩次。その言葉はそのまま、エレファントカシマシのバンドが持つカッコ良さに通じるものと言っていいだろう。
エピック・ソニー在籍時の初期の荒々しいロックな方向性から、ポニーキャニオンへのレーベル移籍を経て、97年にドラマ主題歌となった「今宵の月のように」で一躍ブレイクしたエレファントカシマシ。東芝EMIへの二度目のレーベル移籍となった99年に発表した『ガストロンジャー』は、デジタルな打ち込みとヘヴィなサウンドを大々的に導入した一大転機作となった。
この頃に宮本浩次が影響を受けていたのが、90年代アメリカのヘヴィロックやインダストリアルロック。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやナイン・インチ・ネイルズを聴くようになったことが、バンドの音楽的な方向性にも影響を与えたという。また、この頃に宮本浩次は免許を取得して車を運転するようになり、そのことも曲作りの発想を変えたと、2009年『エレカシ自選作品集』リリース当時のインタビューで語っている。
そんなエレファントカシマシは2007年に現在の所属レーベルであるユニバーサルミュージックに移籍、さらに数々の名曲を生み出している。2012年には宮本浩次の左耳が聞こえなくなり、急性感音難聴と診断されるというアクシデントでライヴ活動休止を余儀なくされたが、2013年には無事復活。孤高の歩みを続けながら、まさに日本のロックの王道を体現している存在となったわけである。
というわけで、そんなエレファントカシマシに憧れ、影響を受けて育ったアーティストは非常に多い。そのことを分かりやすく示すのが、2枚のトリビュートアルバムだ。

2003年にリリースされた初のトリビュート盤『エレファントカシマシ カヴァーアルバム 花男 ~A Tribute To The Elephant Kashimashi~』では、ストレイテナー、怒髪天、銀杏BOYZ、石野卓球らが参加。その10年後にリリースされた『エレファントカシマシ カヴァーアルバム2 ~A Tribute to The Elephant Kashimashi~』では、10-FEET、BRAHMAN、秦 基博、Dragon Ash、THE BACK HORN、曽我部恵一、グループ魂らが参加している。

幅広いミュージシャンから愛されるエレファントカシマシだが、やはりトリビュートに参加している中心的なメンツはバンドマン。それも10-FEETやTHE BACK HORNなど日本語で熱い情熱を歌い上げるタイプのロックバンドだ。高校時代にエレカシのコピーバンドをやっていたという秦 基博も、ファン歴20年以上というグループ魂の暴動(=宮藤官九郎)も、エレカシのナンバーを直球でカバーしている。
こうして数々のアーティストを聴いていくとよく分かる。世代を超えて受け継がれているのは、10代の宮本浩次少年を虜にしたものときっと同じ。ロックバンドが放つ「パワー」や「エネルギー」、そのものが持つ熱なのだろう。

TEXT: 柴 那典


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