進化するPOLYSICS・9年ぶりの対バンとなるヘルマンH 大阪ライブレポ"FIGHT OR DIE! RESTART OR DIE!"

2013年11月6日 / 12:29

 去年は結成15周年ということで、ゲストを多数迎えた記念盤とオリジナル、2枚のアルバムを発表するなど、派手な動きの多かったPOLYSICS。ひと区切りついての今年は後半になって、また激しいツアーが始まった。 《対バンツアー2013 帰ってきたULTRA FIGHT OR DIE!!!》と銘打たれた今回のツアー。各地で競演相手を迎えているが、大阪篇はサブタイトルに《ヒサス! Come On, Toisu! Ha!!》とあるとおり、実に9年ぶりの対バンというHermann H. & The Pacemakersがゲストだった。

 出番は、そのヘルマンから。’99年にインディーズ・デビュー。その後、メジャーに場を移し、2枚のフルアルバムを発表したあと、メンバーチェンジが相次ぎ、’05年に活動を休止していた彼ら。昨年2月におこなわれた1日限りの復活ライブを経て、正式に活動再開を発表し、脱退していたギタリスト平床政治も再加入という経緯を持つ。オリジナルメンバーは、そのギターの平床とボーカル&ギターの岡本洋平、そして「Wolf」という謎のパートを受け持つ若井悠樹の3人。ライブサポートは、ドラムスをマシータ(Heavenstamp、BEAT CRUSADERS)、ベースをTOMOTOMO club(THE BEACHES、Jerry Lee Phantom)、キーボードを細萱あゆ子(frills、THE BEACHES、Jerry Lee Phantom)が務めている。

 ともあれ、なにしろブランクが長かった。活動していた期間と同じくらいストップしていたわけだから、果たしてあのヘルマンがどうなっているのか、いささか不安な気持ちで開演を待っていたわけだが、心配は要らなかったようだ。

 1曲目「東京湾」の、ややグループサウンズを思わせるギターリフが聞こえてくると、ああ、このちょっとひねくれた感じ、確かにHermann H. & The Pacemakersだと感じるものがあった。スピード感を倍加させるギターカッティング、流れるようなコード運び、フックの効いたリズム、日本語のものと英語のものが入り交じった多彩な楽曲群。どれもが健在で、以前より厚みを増したんじゃないかと思わせる演奏である。
 そしてやはり特筆すべきは(せざるを得ないのは)「Wolf」の存在。首から上こそ、「ふつうのおっさん感」が出ているものの(失礼!)、全身の動きはまさしくWolf。白の3本線が入った赤いジャージパンツに、NEW KIDS ON THE BLOCKの《THE MAGIC SUMMER TOUR》のTシャツという絶妙に90年代感の漂う出で立ちで躍りまくり、客を煽り倒していた。
 後半には新曲「Mr. Memento」も披露。ラストはWolfがバンドフラッグを打ち振るい、盛り上がりを約束するナンバー「Rock It Now!」でフィニッシュ。客席の熱狂は最初から最後まで途切れることがなかった。

 ’80sポップやエレクトロ系のBGMが流れるなか、ステージ転換を終えると、激しくうねる出囃子SEに乗って、POLYSICS登場。このSEはおそらく、公演の数日後にアナウンスのあった、来年早々に発売されるニューアルバムのタイトル曲「ACTION!!!」。

 続いて実質的なオープニングを飾った曲も、10月初めにリリースされたばかりのEPのリード曲「MEGA OVER DRIVE」だった。イントロから繰り返されるシンセのシーケンスが中毒性を帯びるハードテクノ。POLYSICSが二枚目路線(?)で突破を試みてきた印象。と思いきや、ここで早くもキラーチューン「Let’s ダバダバ」、三のセンもがっちりアピールして会場の盛り上がりはいきなりピークか。
 しかしこの、露わになることを恐れないところがPOLYSICSの格好いいところ。テクノであってもアンビエント系の匂いはまるでない。POLYSICSは、なによりもまず”バンド”なんだと思う。それもライブバンド。だから汗をかく。マシーンに代行させてラクをしているのではなく、マシーンに負けないくらいに動く。しかし表情は努めて涼しい顔。それが–特にトリオになってからの–彼らのプレイであり、そのスタイルもますます洗練されてきたように感じる。

 MCでは、今夜の対バン相手、Hermann H. & The Pacemakersの話題も出た。ハヤシいわく、「ヘルマンとはよく呑んだ」「大阪だと2002年に千日前マザーホールでやったことがある」「そのときは(シメのラーメンを食べに)《神座》まで行ったからね」などなど。
 今回、ヘルマンのサポートを務めているメンバーも、BEAT CRUSADERS、Jerry Lee Phantomと、最初のキャリアをスタートさせたのは「1997年前後」という顔ぶればかり。皆、POLYSICSと同期なのである。独特の盛り上がりには、そういう面もあったかもしれない。しかしそこでベースのフミが力強い言葉を挟む。「だからって、ただの同窓会ムードじゃ終わらせねえぞ!」実に男前である。

 そうなのだ。POLYSICSでボーカル・シンセ等を担当していたカヨが3年半前にバンドから”卒業”していった。以来、封印されていた人気曲のいくつかが、この夏のフェスの頃からレパートリーに復活してきているのだ。
 そのうちのひとつ、「I My Me Mine」は、イントロの救急車のサイレン音が流れてきただけで大歓声。サビでカヨが吹いていたリコーダーに替えて、フミがカズーを吹くというアレンジ。
 もう一曲、「Baby BIAS」は全篇フミがヴォコーダーヴォイスで歌ってみせた。まったく、「懐かしいね」だけで終わらない”進化”をPOLYSICSも遂げているのだ。

 15周年イヤーだった去年の年末にリリースしたアルバムからのタイトル曲「Weeeeeeeeee!!!」で本篇をシメたあとのアンコール。実はハヤシが張り切りすぎて(?)本篇中の曲を1曲飛ばしてしまっていたことが判明。その曲「Oh! Monaliza」(転機のひとつとなった’05年のアルバム『Now is the time!』収録)も加えて3曲を披露して70分オーバーのステージは終了。

 ハヤシ、フミ両名ともに、地声用のマイクと、ヴォコーダーヴォイス用のツインマイクを巧みに使い分け、ヤノは尋常ならざるペースでドラムスを蹴り、叩き、ビートをキープし続ける。できることを、また増やした新生POLYSICS。いや、もう新生と呼ぶ必要もないだろう。

 余談になるが、この日のステージに関わった面々が、皆、’97年前後にバンドを始めているという話はなかなか感慨深い。1997~98年というのは、日本におけるCD売上のピークの年であり、その後、レコード産業は基本的に縮小傾向にある。そんな時代を15年も彼らは生き抜いているのだ(ま、ヘルマンは少し休んでいたけれども)。そうやってサヴァイヴすることができた理由を覗かせてもらったような、痛快なライブだった。
 年明けには、POLYSICSは1年ぶりの、Hermann H. & The Pacemakersに至っては10年ぶりの、新作アルバムがそれぞれリリースされる。これもまた痛快なニュースである。

TEXT:大内幹男

◎ライブ概要
【POLYSICS 対バンツアー2013 帰ってきたULTRA FIGHT OR DIE!!!
~ヒサス! Come On, Toisu! Ha!!~】
ゲストアクト:Hermann H.&The Pacemakers
2013年10月29日(火)@梅田クラブクアトロ

◎POLYSICS オフィシャルサイト
http://www.polysics.com/

◎Hermann H.&The Pacemakers オフィシャルサイト
http://www.herumaru.com/


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