エンターテインメント・ウェブマガジン
2008年9月以来約5年ぶりとなる来日公演を行ったエドガー・ウィンター。今回は40年来の盟友リック・デリンジャーをゲストに迎えてのスペシャルな公演である。
ちょうど前回の来日時にリリースされた『レベル・ロード』以降新作のリリースはないが、その後もダグ・E・ラップス(ギター)、ココ・パウエル(ベース)、ジェイソン・カーペンター(ドラムス)とのレギュラー・バンドでコンスタントにライヴ活動を続けており、今回の公演でもこれまで同様に盤石のパフォーマンスを見せてくれたのは言うまでもない。
オープニングの「タバコ・ロード」から全編まったくスロー・ダウンすることなくすさまじいハイ・テンションでオーディエンスをノックアウトしてくれた。エドガーはハンド・マイクでリード・ヴォーカルを取るだけでなく、時にはショルダー・キーボード、時にはアルト・サックス、時にはティンバレスとさまざまな楽器を持ち替えつつケレン味たっぷりのアクションを交えて演奏、その旺盛なサーヴィス精神に心底感服させられた。
中盤で登場したリックはザ・マッコイズ時代の「ハング・オン・スルーピー」やソロでのファースト・ヒットとなる「ロックンロール・フーチー・クー」などおなじみの代表曲を、やはりエドガーに負けず劣らずのテンションで熱演している。
『レベル・ロード』からは「ザ・パワー・オブ・ポジティヴ・ドリンキング」を演奏したのみで、「『ゼイ・オンリー・カム・アウト・ナイト』の40周年記念だぜ」とMCでも言っていたとおり、「アンダーカヴァー・マン」や「フランケンシュタイン」、「フリー・ライド」といった彼のクラシックスを、短い演奏時間ながらも惜しみなく披露してくれた。
インストゥルメンタル曲であるにもかかわらず全米ナンバー1ヒットとなった「フランケンシュタイン」を筆頭に、エドガーの書く楽曲はブルースをベースにしつつもそれだけにとどまらない、実に幅広い音楽性を内包しているのはよく知られるところだろう。また、ステージでド派手なパフォーマンスをしていても決してエドガーひとりが目立ち過ぎるわけではなく、演奏されるサウンドのすべてに彼一流の感性が行き届いていたのも印象的だった。豪快なアメリカン・ハード・ロックではあるが、そのマルチな才能が息づいているからこそそれだけにとどまらない唯一無二の輝きを放っている――そんなことを改めて認識させられたステージだった。
Text: 鮎沢裕之
2013/6/6 2nd stage
※写真は6/6 1st stage撮影
◎公演情報
エドガー・ウィンター・バンド with special guest リック・デリンジャー
日時:2013年6月5日(水)~6月6日(木)
会場:ビルボードライブ東京
日時:2013年6月8日(土)
会場:ビルボードライブ大阪
More Info:http://billboard-live.com
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